八重の桜 第26話 「八重、出陣のとき」

八重ら家族は時尾の祖母を迎えに行き
それから時尾の隣の家に住んでいる日向ゆきの下に向かった


ゆきは八重の出で立ちを見て驚いた

八重はお城で戦うのだと


ゆきは城に向かうため
家族と共に急ぎ準備を始めた

だが
ゆきの祖母が登城するのを渋った


「年寄りがお城に上がっても穀潰しになるだけだ」

ゆきは祖母を置いて行けず説得に手間取った




滝沢本陣に陣取っていた
容保らの下にも新政府軍からの攻撃を受けた


「最早猶予はならぬ!
お城に戻るぞ!」


容保は
弟・定敬に戦線から離脱するように促した


ならぬことはならぬ
そう言って弟を説得すると
鶴ケ城に向けて容保は撤退を始めた

「わしは城と命運を共にする」






会津の長い1日が始まった







八重ら家族は無事入城出来た


「わだすは行く
わだすはここに戦いに来たんだから」

「戦に出て行くおなごにかける言葉なんて知らねぇもの」

母はただただ娘を見送るしか出来なかった


「さすけねぇ
必ず無事に戻るから」



そこで八重は照姫ら一行と遭遇した


おなご達は八重の出で立ちを見て驚いた

「八重か」

「はい」

「勇ましい姿じゃな」


「これは伏見で亡くなった弟の形見でごぜぇます

わだすは弟の魂と共に戦う覚悟にござりまする」


「ではその鉄砲に会津武士の魂を込めよ」

「はい」

「八重さん・・・」

「時尾さん・・・」


時尾は以前八重がこう話していた事を思い出した

『時尾さんに何かあったらいつでも駆けつけるから』


『鉄砲担いで?』


『うん』


「いっでぐる」


八重は早速戦うために城内を歩きまわった


城には城外にいた佐川官兵衛も戻ってきた

敵の動きがあまりにも早く戻るのが精一杯だったらしい


佐川も神保内蔵助も
城下に近づけさせまいとして城を出て戦うつもりだが
家老・梶原平馬はこれでは城の守りが手薄になり
城内は子供と年寄りばかりで鉄砲を撃てる者がいないと意見した


「わだすが鉄砲隊を指揮致します
やらせてくなんしょ」


八重が声をあげた


「おなごに戦は出来ぬ」

八重の進言を退ける神保・佐川両名に対して
八重は怯むことはなかった


「出来る!

今この時にそったな昔ながらの考えで何しますか?

これは男達ばかりの戦いではねぇなし!

男もおなごもねぇ!

これは会津全ての戦いだ

戦いを放棄したも同じ事

わだすは山本覚馬の妹だ

鉄砲のことなら誰にも負けねぇ

敵に城は渡さぬ

黙って見ているつもりはねぇ

わだすたちの大事な故郷

会津はこの手で守る!」


この場にいた諸将は皆八重の言葉に胸を打たれた

「だら心ゆくまで頼む」



「会津武士の姿
目に焼き付けてくれる」





日向ゆきら一行は城に入ろうと城門までやってきたのだが
もう城に入れなかった


「後ろから襲われたら逃げらんべ
いくべ
こんなとこでは死にたくね
いくべ」

そうしてゆきは家族を連れて城から離れた


そこで日向ゆきらは逃げる途中
新政府軍の兵に遭遇したが

そこで黒河内先生が十文字槍で敵兵を撃退した

そして急ぎ村に逃げるようにゆきらを促した

その言葉にしたがって
ゆきは家族を伴って村の方へ走った






中野竹子ら薙刀隊は
照姫様が城内に入られた事を知り
照姫の下へ向かう事を決めた


そこに神保雪が呆然としながら歩いてきた


この付近のおなご達は皆
自刃して果てられたと言う

自分もこのまま果てるべきではと考える雪に対して
竹子は言う


「修理様の仇
討たなくてもよいのですか!」


彼女は新政府軍と最後まで戦うつもりだった




防衛を任された
八重は年少の子達に鉄砲の調練を始めた


そこに
鶴ケ城の外堀が破られたとの報せが届いた


八重は部隊にいる健次郎に念を押すように言った

「いいが
うまく出来ねぇ子は決して連れてきてはなんねぇ」


城壁の傍までやってきた八重ら年少の部隊

「敵はすぐ外だ
よぉぐ狙えば必ず当たる」

「だらいくべ!」


「構え!」
「狙え!」
「撃て!」

「次!」

「構え!」
「狙え!」
「撃て!」


城には旧式の銃や火縄銃ばかりであったが
八重はそれらの銃の特性を把握して部隊に
的確に指示を出して大手門より迫る新政府軍を銃撃した



西郷頼母は無事
城に戻ることができた


そして西郷は容保公が無事に城内に戻った事を聞いて安堵していた



その頼母の下に
頼母の嫡男・吉十郎がいた

母から城に一人で向かうように申し使ったらしい

「そうか
そう決めたか」


そう語る頼母は押し黙った



板垣退助らは誰もいないと思われる屋敷に来ていた

そこを拠点にして会津・鶴ケ城を攻めようと


ふと板垣は人の気配を感じた

気配のする方へ向かうと
そこには白装束のおなご達が自刃していた


それは西郷家の邸宅であった

千恵も頼母の母も
娘たちは皆自刃していた

一人声を出すものがいた

刺しどころが悪かったか
うまく死ねなかったようだ

「敵か・・・味方か・・・」

「味方や」

そのおなごは板垣に対して懐剣を差し出した

「よし
楽にしてやる」

「母上は・・・」

「皆立派な御最期やった」


そうして板垣はそのおなごを楽にしてやった


この日
自決した藩士家族は200人とも言われ
新政府軍の指揮を鈍らせた





その頃
白虎隊の者達は新政府軍からの追撃を逃れ
飯森山に着いた


城下街は燃えていたが城はまだ燃えてなかった


このまま敵に捕まったら恥の恥だ
生き恥を晒しては殿に面目が立たぬ


そう言って皆々自刃の準備を始めた

「お先に参ります」

城の方角へ頭を下げると
皆脇差を抜いた

「お先にごめん!」

遅れを取ってはならぬと皆々自刃した

悌次郎もまた皆に遅れまいとして
己の脇差を己の腹に突き立てた―――――






家老・田中土佐と神保内蔵助はとある邸宅に逃げ込んだ

「斬るか」


二人はここで死ぬつもりだった


「今斬る腹をあんときに斬っておけば

家老一同腹斬ってお断りすれば
会津はこげな道を辿らずにすんだ」

「言うな
もうよかんべ

おら最後に
徳川のためでも
幕府のためでもなく
会津のための戦をしたのだ
これ以上名誉な事はね」

「我らは幸せもんだ
修理も腹斬った時はきっと同じ思いだったべ」

「だら
修理も本望だったか」


「大蔵
官兵衛
平馬

皆会津を頼む」


「ではさらばだ」


「だら生まれ変わる時はまた会津で」


そうして二人は自刃していった




次々と会津の人達が死んでいく


その中で八重は部隊を指揮して必死に戦った




「お城は渡さぬ
ならぬものはならぬのです」


「八重さん!」


尚之助がやってきた

「やはり来ましたね」

「はい」



尚之助は
城内に大砲があったので修繕していたと言う



だが城内からは大砲で
狙える視野がなく城外に出なければ
この大砲は使えなかった


だが外に出たら間違いなく撃ち殺される


思案した八重は思いついた

城壁をこの大砲で穴を開けて
砲撃する視野を確保すると



そうして会津の長い1日が終わった



新政府軍はこの城を一気に攻め落とすつもりだった



だが簡単に落ちる気配はなかった


精鋭部隊は皆城から出払っており
中は年寄りと子供ばかりのはずだが・・・


そう思って侮っていたところもあったのだろう


「一気に攻めるつもりやったけんど
包囲戦に持ち込んじゃろか」


板垣らは距離を置いて戦う事にした



その夜
城内の見回りをしていた時尾は
短刀を持っている八重を見かけた


「今から夜襲に行ってくる」

「八重さんがいくのがし?」

「さっき志願したけんじょ
おなごは連れていけねぇと言われた

だから髪を切る
この格好で髪を切れば
誰もおなごだと思わんべ

自分ではうまく切れんで
時尾さん切ってくなんしょ」


「こんなに綺麗な髪なのに
おなごの命やのに・・・」

「わだすは三郎だから
長い髪はもういらねぇ」


「八重さん・・・
わだすたつの御城下も焼けてしまった・・・」


涙ながらに時尾は語った


「さぁばっさりと」


今の八重には涙を流して悲しむ時間はなかった


「お城を守る
わだすは諦めねぇ―――――」







会津は罪もないのに罰を受け
無念を飲み込んで敵に恭順した

それでもまだ足りなくて
敵は会津を滅ぼしに来た

そんな非道な力には死んでも屈しない

この事を命を捨てて示す


敵におめおめと捕らわれる事は生き恥

この事を命を捨てて示す


それに何もわからない幼子は
母にただ従うのみ





また足手まといになるというか
長期戦になれば自分らは穀潰しになってしまう

だからこそここで命を捨てる


そうする事で
会津の誇りを守ったり
城内にいる会津の者達を守ろうとする





大事なものを守るために命を捨てる

それが誇りであり
別の命であったり

それが実に切ないですな


そうして次々と会津の方々が命を散らす

一方で会津の誇りと共に
自分がいる城の方々を守るために戦う八重

会津の誇りは守りたい

その一方で
自分の目に止まる者だけは死なせたくない


そして会津を滅ぼそうとする奴が許せない


今回はそれが全てって感じでしたな


そして次回もまた次々と亡くなっていく方がおられますな

もうたまりません(´;ω;`)


今週のイラスト






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