それでも、生きてゆく 第7話

洋貴らは少年院にいた頃の三崎文哉を知る
当時、少年院で働いていた東雪恵に出会った

彼女が三崎文哉と出会ったのは今から9年前

三崎文哉が出所する1年前だった


その頃の雪恵は
以前付き合っていた男に3000万円を貢いだ挙句に
男に捨てられたらしい

そんな時、彼女はなんとなく三崎文哉に惹かれた


三崎文哉は治療の結果
治ったと皆が思っていた


ただ一人
三崎文哉自身を除いて


彼はフランダースの犬に出てきた
ルーベンスの絵が好きだった



そうして、三崎文哉が出所してから間もなく

雪恵は彼と一緒に住んだ

何気ない生活の毎日

そして、雪恵は彼の子を宿した


雪恵は幸せだった

そう、あの時までは



雪恵が文哉に妊娠のことを話してからまもなく
雪恵は流産した

アパートの階段にあったビニール袋を踏んで
足をすべらせたことが原因だった


だが、あの時の文哉の姿を見て気付いた

あのビニール袋を置いたのは文哉だと


そして、彼がいない間に
雪恵は彼の日記帳を読んだ








6月28日
工場の仕事が始まる
溝きりを任された
訓練所で習ったのとは少し違ったけど明日からは もう少しうまく できると思う」》《「アパートに帰って雪恵が作った 餃子を食べた」》《「雪恵は よく笑う。 僕はあまり考えないようにしている


7月19日
レストランでエビフライを食べた
雪恵がトイレに行ったとき隣のテーブルに
小学生の女の子が来て座った
僕は フォークを少し離して 置くことにした
雪恵が戻ってくるのを待った
我慢出来た


彼はレストランで見掛けた小さな女の子を殺す衝動に駆られていたんです。彼の帰りが少し遅かった時期がありました
電車で見掛けた女性の後をつけてアパートまで 行ってたんです。


9月5日
昨日のマンションに 行った
もう一度 カーテンの色を確認しようと思った
よく見えなかったのでドアを開けようと思ったけど開かなかった
屋上へ行った
町がよく見えた
また頭の中の井戸を覗き込んでみた
水は入っていなかった
渇いている
水を入れたい
すごく困る
死にたい

10月1日
夢を見た
ハンマーで雪恵の頭を何度も何度も叩いた
雪恵は叩かれながらギョーザを作った
目が覚めたら雪恵が朝ご飯を作っていたので食べた
味がしなかった
またいつかしてしまうと思う
またいつかしてしまうと思う
生まれてきてはいけなかった


11月9日
すごく気分が良い
空が青い
緑が光ってる
雪恵が笑っている
井戸の中は水で一杯だ


11月9日
人間は 悲しい
どうして生まれたのかわからないまま
生まれてきて
どうして生きてるのかわからないまま
生きて
何もわからないまま
何もわからないまま死んでいく


11月9日
殺す僕がいる
殺す僕は僕の子供を殺すだろう
僕は見ているだけ

殺す僕が僕の子供を殺すのを見ているだけ
それでも僕は生きている




その日、雪恵はあのアパートから逃げ出した

三崎文哉から逃げ出した
みんな、水槽にいる可哀相な金魚でしかなかった


彼にとって私は女ではなく母親でもなく人間でさえなかった
可哀相な金魚がはいった水槽だった



そして、彼女の告白から
三崎文哉は今、千葉の果樹園にいると知った



そこには文哉の父・駿輔が向かっていた







三崎文哉の過去を知った瞬間

真岐は彼を怖がった

自分の娘がこの男に殺されるかもしれない

それを思うと怖い、すごい怖い


そして、同時に思う



子供を殺した人がなんで
平気な顔をして生きてられるの?
あなたにだっていたでしょ?
わかんないの?

そういうの、殺してどうして平気なの?

あんたみたいな人間
生まれてこなければよかったのよ




その言葉を真岐は彼の前で口にした





真岐の父は駿輔と会っていた
そこで彼を自宅に連れ帰って

三崎文哉と対面させるつもりだった

だが、家に帰ると三崎文哉の姿はなかった

代わりに三崎文哉の部屋で真岐が倒れていた




その頃、洋貴を訪ねてきた双葉に
洋貴の母・響子が語り合っていた



幸せになりたいって思っていいのよ
絶対に幸せになれない訳じゃない

なるために
あなたと息子で考えるの

二人で考えるの

お互いの幸せを

息子はあなたが幸せになる方法を
あなたは息子が幸せになる方法を


双葉の中でささやかな希望が芽生えていた

そう、この時までは―――――



その頃、洋貴は弟・耕平と共に
三崎文哉がいる千葉の果樹園に向かっていた

洋貴は父の形見である包丁を携えて―――――





昔ねぇ、「何故人を殺してはいけないのか?」
ブログでそんなテーマをあれこれ語ったことがありましたが

どうしたら、それを他人に教えられるのか

なんてことをあーだこーだと語っていました


三崎文哉の場合
人が金魚に見えてしまい
人を殺したい衝動と
人を殺してはいけない葛藤がせめぎあっているように見えました


もし、単なる異常者であれば

雪恵が出かけて行った際に
三崎文哉は慌てて自分がしたことを止めようとしていた
ところが見受けられます

そして臼井は殴ってしまったけど
ゆりちゃんを殴れなかった

そこで自分との葛藤との戦いがあり
自分の衝動を振り払うようにカナヅチを捨て去った


自分が何のために生きているのかわからない


けれども


あんたみたいな人間
生まれてこなければよかったのよ



この言葉に文哉は強い衝動を覚えたんでしょうね



そして悲劇が生まれた



一方で真岐は文哉を罵倒したのですが

罪を犯したものの、服役して償ったとしても

何年、何十年経っても消えることなく罵倒され続ける


そういうのは国同士の姿を見てもよくわかります


それと、「心の闇」って言葉

自分の理解出来ないものとかになると
そういう「心の闇」って言葉で

ひとまとめにする訳なんですが
それって、どうなのかなって思うんですよね


自分らが分からないもの
自分らが受け入れがたいもの

それを全部「心の闇」という言葉でまとめてしまう

それって、そういう言葉にまとめることで
自分から切り離してしまう


まぁそんな感じですよね


自分にだって誰かの頭を殴ってみたい衝動に時々襲われます

理由は色々ですが
それを抑えるのは自制心とか、それをした時に起こるメリットとデメリットを
考えたりとかしたりするんでしょうけど

まぁそんなもんだと思います

三崎文哉が特別って訳じゃないと私は思います



後、何かしら思うのは
どことなく「白夜行」の亮司と重なるとこがあります


自分の子供
自分みたいな子供は生まれてはいけない、みたいな



次回は三崎文哉の凶行に
三崎家も深見家も更に傷ついていくようです

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