龍馬伝 第46話「土佐の大勝負」

龍馬は土佐に戻ってきた
ミニエー銃千丁を携えて

龍馬が土佐に帰ってきたのには二つの目的があった

ひとつは万が一の時に備えて土佐藩を戦火から守るため

そして、今ひとつは徳川を政権から引き摺り下ろすため
そのためには山内容堂を動かす必要があった



参政・後藤象二郎は山内容堂に進言した


恐れながら徳川将軍家のご威光は既になく
人心は既に離れております

大殿様に会って欲しい者がおります
坂本龍馬です。




だが、容堂は脱藩浪士であり
かつ幕府に仇をなそうとしている龍馬に会う気など眼中になかった



その日、龍馬が大殿様にお目通りする事は出来なかった

後藤の屋敷に詰めていた龍馬に対して
高知城から帰ってきた後藤が声をかけた


今日は諦めや、坂本
大殿様はそうたやすくは動かせんがじゃ


薩長は待ってくれんがです
なんとしても大殿様にお会いできるよう
取り計らいつかあさい


わかっちゅう!わかっちゅう!


そう語る後藤の表情には
龍馬と同じ焦燥の色が見て取れた




その日、龍馬は久しぶりに土佐の実家に戻った

皆、龍馬の帰還を大いに喜んだ

姪の春猪には親となり二人の子供を生んでいた

そして、父の後妻だった伊與は2年前に亡くなっていた

亡き継母の位牌に龍馬は挨拶をした


それから間もなく坂本家に弥太郎の妻も訪ねてきた


そうして宴が始まった。


今までは弥太郎が龍馬の活躍を坂本家に語っていたが
今度は龍馬が岩崎家に弥太郎の活躍を語っていた

土佐商会で活躍しているであろう弥太郎の姿を



すると突然、弥次郎が龍馬に詰め寄った




わしゃ、弥太郎がそんなもんで終わるとは
思うちゃおりやせん

商人と同じではいかんがじゃき
自分が日本を支えるいう気概がないと
侍ではないと


弥次郎さんの息子は自分いうもんをしっかりもっちゅう
弥太郎には弥太郎だけの生き方があるき


それは褒め言葉かえ?

もちろんですき


その言葉に弥次郎は大いに喜んだ






翌日、後藤象二郎は大殿様に拝謁した



城中が騒がしいようじゃの

土佐藩はもう時代の流れに逆らう事はできんがです
坂本龍馬に会って下さい


何故、わしがあの男に会わなきゃいかんのじゃ
土佐藩を戦に巻き込む気かえ



そのとき、押し黙っていた後藤は
堰を切ったように語り始めた。


今もこの世の中の流れをつくったがは坂本龍馬です
薩長を結びつけ、土佐と薩摩の盟約をとりもったがはあの男です





おんし、どういてそれを黙っちょった?


妬ましかったがです!
妬ましかったがです!!
下士の分際で叔父上・吉田東洋に認められ
次々と大事を成し遂げていく坂本が妬ましかったがです

大殿様、坂本龍馬に会うて下さりませ
お願い致します




そうして、龍馬は大殿様にお目通りを許される事となった






面をあげや

はっ

久しぶりじゃの、坂本

5年ほど前、勝麟太郎先生の書生をやっていた時以来でございます


土佐の脱藩者じゃと隠して
わしに白々しい口を聞いちょったの



大殿様、お願いがございます
徳川慶喜公に政権を奉還する建白書を書いていただけませんやろか



それは直訴かえ?
直訴いうがは受け入れんかったは腹を切らんといかんがじゃ



大殿様が戯言だと思いだったらここで腹を切る覚悟です


吉田東洋を切ったと大嘘をついたが?

あれは武市さんを助けたかったが

あれに切腹を命じたのはわしじゃ
おんしの仲間の下士を殺したのもわしじゃ
わしが憎うはないか、坂本?


憎いがです
下士が上士に虐げられちゅう
この土佐が憎いがです

けんど、母が教えてくれました

「憎しみからはなんちゃ生まれん」と

人を憎んではどうにもならんがです
憎むべきは260年以上も続いてきた
この国の仕組みじゃきに


そう言って龍馬は懐刀を己の前に出した
それは切腹も辞さない覚悟を表したものだった


大殿様、幕府も藩ももういらんがです
この国は新しゅう生まれ変わらんといかん
それが大政奉還ながです



将軍も大名も消してしまうというがか?


はい。武士という身分も
おそらくのうなってしまうがです



もし、自分がどれば恐ろしい事を言いよるが
わかっちゅうがか?



世の中が変わるいうことは突き詰めて考えれば
今、わしが言うたような事になるでしょう
この国は武士が力で治めるのではのうて
志のある者が議論を尽くして国になるべきではないですろか?

ここに新しい日本の形が書かれちょります


そして龍馬は懐から船中八策を書き記した紙を懐刀の前に出した


どうか、大殿様のご決断をお待ちしてます


大殿様!!ご決断を!ご決断を!

そう言って後藤もまた懐刀を己の前に出した


容堂は突然立ち上がった

答えや、坂本
武士も大名ものうなってしもうた世の中に何が残ると何が残るのじゃ!



日本人です
異国と堂々と渡り合う日本人が残るがです



刀をしまいや
しまえ!






龍馬と後藤の覚悟を見てとった容堂はそう言ってその場を立ち去った






その日の夜、後藤は大殿様に呼ばれた


わしが大政奉還の建白書を出して
慶喜様の怒りを買うてしもうたら
この山内家は御取り潰しになるやもしれん



大殿様がお覚悟をもって建白されるなら
それに異を唱える家臣は土佐には一人もおりません



そう語る後藤の姿に容堂公は杯を差し出した

大殿様自らの御献杯

それを受けて、後藤は大殿様からの献杯を一気に飲み干した


武士の世を終わらせるかえ

そう語る容堂公はどこか嬉しそうだった



容堂公は決意した
身を清め、白無垢の井出達で建白書を書き記した

高々外様の一藩を治めるに過ぎない一介の藩主が
将軍家に意見するということは途方もない事であった



そして、大殿様が書き記した建白書を前に
龍馬と後藤は平伏していた


まっこと、まっこと
ありがとうございます


おんしが持ってきてくれた鉄砲千丁
土佐藩が9000両で買うてやる

あくまでこの土佐を守るためだけの武器じゃ



ありがたき幸せにござりまする



すると容堂は龍馬の眼前に座り込んだ

坂本

はっ

おんし、わしがこれを書くと信じちょったの
どういてじゃ?


それは大殿様が武市半平太の牢にこられたと聞いておられます

大殿様は今もそのお姿のように武市さんと同じ地べたに座られ

「おまんはええ家来じゃった」と

「武市半平太はわしの家臣じゃき」と

武市さんは、武市さんは涙を流して喜んじょりました


ありがとうございます
ありがとうございました



容堂はどこか感極まった思いを抑えているかのようにその場を後にした



その場にいたのは後藤と龍馬の二人だけだった


後藤様
まっこと、ありがとうございました




坂本

はっ

後藤は立ち上がり手を差し出した
後藤は龍馬と握手を求めたのだった



後藤様・・・・・


そうして、二人は堅い握手を交わした



この時、既に龍馬暗殺まで40日を切っていた―――――。







今回は上手い演出・構成が色々とありました

まずは大殿様からの御献杯
あれは武士がなくなるであろう世の中も
悪くないと自らが示した構成でしたね。


それから武市の言葉があったからこそ
大殿様を信じられたというあの回の回想が
上手く効いていたと思います。


ただ


容堂は吉田東洋殺害の犯人は龍馬じゃないと分かっていた

その事を今回、龍馬と後藤の前で発言しましたが

では、後藤はその事をいつ知ったのか?

ってのが気になるとこと


それと、第四章に入ってからの後藤のキャラと
今回の後藤のキャラがちょいと唐突に変わったというか


龍馬に対する嫉妬はたしかに第一部にはありました

けれども、第四部でそれは全然感じられなかったですね。

しかも、それが薩長を結びつけたこととか
薩摩と土佐を結びつけたこととか

そういう事に対する嫉妬ってのが少なくとも
第四部では見なかったですね。


そういう点では今回
後藤象二郎の描写不足に思えるところでした。



さて、一方の坂本家
龍馬の兄・権平は龍馬を坂本家の跡継ぎにしたかったようです
実際、そうらしいです


それで龍馬は今やっている大仕事が片付いたら
必ず土佐に帰ると

蒸気船に妻・龍を乗せて、土佐に凱旋すると



この辺はもうラストに向けての伏線を張ってますが
あんまりこういうあからさまなのは好きじゃない ̄▽ ̄ゞ


さて、次回はラス前
大政奉還ですね。

これが龍馬の夢であり
そして龍馬暗殺の引き金となる出来事

それがどのように描かれるのか楽しみでございます ̄▽ ̄

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