龍馬伝 第32話「狙われた龍馬」

西郷は下関に行かず京に向かった。

下関で龍馬と別れた陸奥は長次郎らがいる長崎に戻り、事の次第を伝えた。


そして龍馬は西郷に直接、真相をうかがうため
中岡を伴って再び殺伐とした京に足を踏み入れた


京では攘夷派、脱藩浪士は新撰組によって
徹底的に捕縛、もしくは斬殺されていた。


今、脱藩浪士である龍馬と中岡が
京に行くという事がどれだけ危険な事であるか
龍馬と中岡はよく分かっていた。



だが、此度の薩摩の動きに長次郎は
かつても煮え湯を飲まされた薩摩だけに
長州の桂さんが二度と薩摩に心を開くことはないだろうと
渋い表情を浮かべていた。










京に着いた龍馬と中岡はすぐさま
京にある薩摩藩邸に足を運び
西郷吉之助にお目通りをお願いしたが

使いの者が言うには
今、西郷は会えんと言う。


何故、西郷が会えないのか憤る中岡に対して
龍馬は使いの者の言葉に従い、その場を後にした。


龍馬にも中岡同様、西郷に対して憤りがある
だが長州と手を組んだ方がええというのは薩摩もわかっているはず
それなのに西郷が下関を素通りしたのは何らかの訳があるのだと


とりあえず龍馬と中岡は今晩泊まるアテを探すことにした。

二人で一緒にいれば新選組に狙われる恐れがある。


中岡は京にいる馴染みの芸者のとこに泊まるという




龍馬は寺田屋のお登勢の下に足を運んだ。



龍馬はお登勢との久しぶりの再会を喜び
ここに泊めて欲しいと伝えたが

お登勢の顔色は一向に冴えなかった。



今、その近藤勇がこの寺田屋にいると言う。



攘夷派や脱藩浪士の多くが
新選組によって捕まえられたことをお登勢も知っている。



新選組と聞いて龍馬の顔色が変わる。

新選組は同郷である望月亀弥太を斬殺した者達である。


だが、ここで暴れてはお登勢に迷惑がかかるとして龍馬は自制した。


とりあえず、お龍に会って
気分を変えようと思った龍馬であったが


その龍は今、件の近藤の酌の相手をしていると言う
最近、龍を目当てに新選組の近藤勇がこの寺田屋に通っていたらしい



そのことを聞くや龍馬は近藤がいるであろう二階の部屋に向かっていった。




そして、近藤とお龍の声が聞こえる部屋を見つけるや
その部屋の襖を開いた。


思いがけない人物が現われた事に言葉が出ない龍を見ることなく
龍馬は近藤のみに視線を注いで笑った。



やっぱり近藤さんでごわしたか。
失礼しもす

おいは薩摩の西郷伊三郎いうもんでごわす



薩摩?

近藤は酔っていた。


西郷吉之助の遠縁に当たるもんでごわす
蛤御門の変で近藤さんを御見かけいたしたもんです。

もし、よろしければ一献。






そして西郷伊三郎と偽名を使った龍馬は
龍馬の芝居に呆然とする龍に対して
酒が足りないからと言って酒を取りに行かせた。




そうして二人は酒を酌み交わした。



しかし、薩摩は長州征伐になかなか兵を出さない
聞いたがそれは何故じゃ?


近藤の問いかけに龍馬は己の思いを近藤に伝えた。

近藤さん、今は日本人同士で喧嘩してはいかん

幕府の命令によって攘夷派や脱藩浪士を捕らえる

ただ命じられたままに追うがは
猪を追う犬と同じでごわんど


新選組を「犬」呼ばわりされた事に近藤の怒りが見て取れた


その剣は日本のために役立てるべきじゃごわはんか



龍馬の言葉を終えるのを待って近藤は刀を持って立ち上がったその瞬間
それにあわせて龍馬も立ち上がり近藤の鳩尾に己の刀の鞘を当てて昏倒させた。




龍が部屋に行くと

倒れこんだ近藤を龍馬が見つめていた。



もし、亀弥太が斬られた直後やったら
この男を斬っていたかもしれん

けんど、それをやったら
わしも同じじゃということになる



そして龍馬は龍に
近藤は朝まで起きないだろうからそっとしておけと




それから龍馬は風呂に入ると龍に伝えた。






その頃、長州では高杉晋作、伊藤俊輔、井上聞多が下関に戻ってきた。

目当ての武器を手に入れる事は出来なかったらしい。



一方で幕府軍は着々と戦力を増強しつつあった


長州は幕府唯一の敵
長州を倒してこそ幕府の権威を取り戻すことが出来るのだと
一橋慶喜は語る


長州は今、滅亡への道に追い詰められていた。





湯船に浸かる龍馬
外では龍が薪をくべていた。


龍馬さんはあれからどこに行かれてたんで?


長崎・大宰府・下関・そして京じゃ

人を動かすいうがはまっこと難しいの
それが国を背負いよる御人やったら尚更のことじゃ



坂本様は日本を守るために働いておるが?
そんな大変なことをお一人で


一人じゃないき
わしには仲間がおる

亀山社中のみんながわしを支えちょる

わしは亀山社中が日本を大きく変えると信じちゅう



会おて見たい
坂本さんのお仲間に・・・・・



誰ぜ?


え?誰って・・・・・


龍馬は風呂場の戸越しから自分をうかがう気配を感じていた。



顔を見せぇや



男は戸を開いた。



その男は涙ながらに満面の笑みを浮かべた


やっぱり坂本君だぁ!!


それは江戸・千葉道場の千葉重太郎先生だった。




重太郎先生?!

坂本く~ん≧∇≦

わしゃ裸じゃヽ(;´Д`)ノ !!

坂本く~ん≧∇≦


しばしの抱擁を終えた後、重太郎は龍馬に訴えた。



江戸に戻ってきてくれ
佐那の下に戻ってきてくれ

あいつは今でもあなたの事を思っている

一生誰の嫁にもならんと言ってるんだぞ
君が言わせてるんだぞ

坂本君、僕の目を見ろ
佐那のことを思っていると君は言ったじゃないか
江戸になって佐那と夫婦になってくれ

一生の願いだ



出来ん!
わしにはやらんといかん事があるがです



君には大望がある事を重々承知している
それを承知の上で頼んでるんだ



・・・・・すみません

・・・・・諦めないぞ
今夜はここで寝る



それで龍馬は重太郎と同じ部屋で寝ることになった。



重太郎は風呂に入り、部屋に戻ろうとした際




寺田屋の女将とお龍という女の会話を耳にした。




龍馬さんはええ男じゃ
女子にもてはるのもわかる


そうやろか?

好きなんやろ、お龍さんも

へ?うちは何とも思っておりません

あの人を好きになったら不幸せになるんよ
あの人はひとっところに落ち着かん
一人の女性を幸せには出来んのよ

あの人が幸せにしたいのは世の中全ての御人なんよ


うちは何とも思うておりませんけん

そう?そんならええけど




そうして龍馬と重太郎らが床についたその夜遅く

目が覚めた近藤が寺田屋を後にしようとしていた。


そして、あの時
部屋にやってきたあの男の事を振り返っていた。


前にも見たことがある顔だった


たしか、薩摩の御方やと


違う

あれは・・・・・


近藤は思い出した。



岡田以蔵を逃がした奴だ



近藤はお登勢と龍の雰囲気から
その男がここにいると察し、二階に上がって行った。




その部屋にはあの男が眠っていた。



近藤は静かに鞘から刀を抜いた


そして龍馬に向かって刀を突き刺した。


その瞬間、龍馬は近藤の刀を交わした

そして龍馬と重太郎はほぼ同時に
布団の傍に置いてた刀を抜刀して起き上がって構えた。

近藤は龍馬に斬りかかろうとするものの
隣にいた男が近藤の刃を振り払い、簡単に間合いに入らせない。



―――――生半可な相手ではない。


君が誰だか知らないが
龍馬君にこの千葉重太郎が御相手致そう



千葉重太郎?


北辰一刀流・千葉重太郎先生じゃ



それを聞いて近藤は笑みを浮かべた



二人ともかなりの遣い手

そこに武人としての血が騒いだのであろう




その時、龍が龍馬と近藤の間合いに忽然と入ってきた。



止めて下さい。
お願いします、近藤さん
お願いします。



龍の思いを察したか
それとも気がそがれたか

近藤は刀を納め、その場を後にした。




ありがとうございました、重太郎先生
先生がおられなんだらわしはやられちょったかもしれない



君は新撰組に狙われているのか?

わしのようなものはいつ誰に狙われておるか分からんですき

そして、龍馬は龍に言葉をかけた。

すまんかったの。もう大丈夫じゃ


重太郎は気付いた。


あの場に立ち入るという事は斬られてもおかしくない状況だった。


その場にこの女は足を踏み入れた。


それだけこの女は龍馬を守りたかったのだと。






翌日、重太郎は江戸に戻ることにした。


龍馬に断られるのは最初から分かっていた。

ただ、妹ではなく自分自身が諦められなかったのだと。



そうして寺田屋を後にした重太郎の姿を思い、龍馬は頭を下げた。




朝餉を取る龍馬は龍に声をかけた。

お龍殿
無理に嫌な客の相手をすることはないぜ


うちは客商売です
そないな事は出来ません


それはそうやが・・・・あ、そうじゃ
そのうち、長次郎達にも会わせちゃる


へ?

昨日言うたろ
わしの仲間に会いたいち

そ・の・う・ち・の



昨日の自分が言ったことを覚えていてくれた。

龍にはそれがとても嬉しかった。





それから間もなく中岡が龍馬を訪ねてやってきた。



西郷さんから使いが来たという。






薩摩藩邸で西郷を待つ龍馬と中岡


二人の背中を見つめた西郷は下座で土下座をした。



すんもはんでしたぁ

先だっては中岡さと坂本さのご苦労を無駄にしたことを
お詫びいたします
ほんのこて申し訳ごわはん


西郷さん、どういて下関を素通りしたがですか?

おいたちの船に幕府の隠密が紛れ込んでおりました
一人は斬り殺しましたが
もう一人には逃げられもした

それで、幕府に知られてしまうと思うて
下関行きを断念したがです

だが、ここんとこの幕府の動きを見ると
おそらく幕府には知られちょらんと思うとります


なら、もういっぺん
桂さんと会うて下さい


それは無理じゃ
おいは信用をなくしてしもうた


ほんなら、薩摩はどうする気ですろ?

長州攻めに出兵せんかったら今度は薩摩が狙われるがじゃ
薩摩が生き残るにはやっぱり長州と手を結ぶしか・・・・・


じゃっどん、そいは無理やち・・・・・


そうじゃ

龍馬に思案が浮かんだ。


手土産を持っていく言うがはどうぜよ?

申し訳ないことをした時には
手土産のひとつを置いていくがは当たり前ですろ
そしたら長州も機嫌を直してくれるかもしれんがじゃ



手土産?


そうじゃの、例えば・・・・・
軍艦10隻とミニエー銃10000丁

ま、軍艦10隻は無理かもしれんが
軍艦1隻くらいなら薩摩でもなんとかなるが



しかし、そないに武器を買ったら
幕府に目をつけられてしまうのでは?


それはたやすいこと

幕府には薩摩の長州攻めには欠かせんもんじゃと言えばいいがじゃ
この武器の運搬は亀山社中が請け負いますがじゃ

もう言葉だけではいかんがじゃ
薩摩の覚悟を示さんといかんぜよ



坂本どん
おまんさはまっこと面白か事を思いつく人じゃ


西郷は笑った。


手土産に軍艦と銃でごわすか

じゃっどん、そいをやってしもたら
幕府に戦を仕掛けると同じこってごわんどな



西郷の威圧に
龍馬同じように返した。


そうじゃ
もう後戻りできん

西郷さん




しばし思案をした西郷は口を開いた。




わかりもした
軍艦と銃を用意しまんど




西郷の決断に
龍馬と中岡は涙を浮かべ
声にならないほどに喜びを噛み締めた―――――







今回はこっそりストックして描いてた人が出てこんかったんで
毎回更新が切れるのかとちょっとヒヤヒヤしてましたが
どうにかこうにかこの場をしのぐ事が出来たみたいです(; ̄∀ ̄)ゞ


でもって、代わりにこれまで描いた人物を新たに
描き直して場を繋いでみようかなとか思ったりなんかして(; ̄∀ ̄)ゞ



それはそれとしてこっからの後半は見事でしたねぇ。


まずはあの近藤さんと龍馬&重太郎の動き


近藤が布団に刀を突き立てると同時に
龍馬と重太郎が刀に手をかけ、起き上がる

この所作がほぼ同時でしたからねぇ。


この辺は修練の賜物でしょうね。




それから西郷さんと龍馬との会話


時折、和やかな雰囲気の中に
怒りにも似た気迫を相手に叩き込む


この辺の重厚な雰囲気は見事ですねぇ。


この龍馬の言葉が生えるのはちょっと前に
幕府との戦いを前にして武器の調達が出来なかった
長州の苦悩を描いているからこそのもんでしょうねぇ。



でもって
高橋さんってこういう演技も出来るんですねぇ ̄▽ ̄


そうそう、その高橋さんのインタビューが
大河ドラマ公式HPに掲載されていました
http://www9.nhk.or.jp/ryomaden/topics/19_interview/index.html



この中でツボだったのが小曽根役の本田博太郎さんが
坊主頭の西郷さんをイメージしていたから

高橋さんがキャスティングされたんだと思っていたらしく
「何でカツラをかぶっているんだ」
と言われたことでした。



それにしてもほんのちょっとのシーンでしたが

全体を通して印象に残ってるのが

龍馬&重太郎&近藤のシーンと

龍馬と西郷との会談のシーン

そして高杉晋作の登場シーン

この三つでした。


パッと見、印象に残るのは高杉に華があるからなんでしょうけど
とはいえ、華になるのは時々出るからこそなんでしょうね。


ちなみに今回のタイトル「狙われた龍馬」の
「狙われた」ってのは

龍馬が近藤勇に狙われたってのと
千葉重太郎に狙われたってのと
そして龍にも狙われてるってとこがかかってるみたいです。

ホント、龍馬は男からも女からもモテモテです ̄▽ ̄

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