龍馬伝 第14話「お尋ね者龍馬」

明治15年(1882年)
横浜のとある宴席の場に
郵便汽船三菱社長の肩書きを持つ岩崎弥太郎はいた。

この時、48歳である。





この時、政府の関係者らしき人物が
板垣さんと後藤さんらの外遊の費用を出して欲しいと
弥太郎にお願いしてきたが

その申し出を弥太郎は断った。

板垣と後藤とは
共に元土佐藩出身である板垣退助と後藤象二郎の事である。


たとえ、恩義のある方とはいえど
金が絡むようになったらええ加減には出来ん。



弥太郎には弥太郎なりの哲学があった。


それからまた坂崎紫瀾の取材により、岩崎弥太郎は語りだした。


前回は龍馬が脱藩して吉田東洋が暗殺されたところで話しを終えた。


あれからちょうど20年前である。


あれは最悪の事態だった。

吉田東洋。
あの御方だけがわしを認めて下さったきに。


吉田東洋の死をきっかけに土佐はおおきゅう変わっちまった。

反東洋派が実権を握るようになってしまった。



反東洋派、つまり武市半平太である。



参政に返り咲いた柴田備後は武市半平太を伴い
土佐藩主・山内豊範に拝謁し、上洛を促した。


そして、山内豊範は家臣に言われるがまま、上洛する事を決意した。


今や土佐藩の政は
武市半平太が動かしちゅうと言うても過言ではなかった。


攘夷によって土佐藩がひっくり返った。

それは土佐藩に限らず
薩摩でも長州でも攘夷によって血生臭い事件が起こっていた。



その頃の岩崎弥太郎は
失脚したも同然である失意の中にあった後藤象二郎の命を受けて

同じく郷廻役である井上佐一郎と共に
吉田東洋の暗殺犯と(後藤象二郎が勝手に)目されている
坂本龍馬を捕縛する事となった。



とりあえず弥太郎は井上と共に大坂に向かった。



時を同じく京に向かっていた
土佐藩の一向は大坂に立ち寄っていた。

だが、藩主・山内豊範の病に倒れ
京を目前にして足止めを食らっていた。


この先、どうすればよいか
語り合う武市ら、下士達の中に
以蔵は一人だけその会話の中に入る事は出来なかった。



どういてわしだけ?

どういてじゃ?



自分は完全にのけ者扱いにされている。


以蔵は悔し涙を流していた





弥太郎は井上と共に大坂で龍馬を探したが
龍馬の行方はしれなかった。



そんな時、弥太郎は思いもかけず龍馬を見つけた。





龍馬!

はははははは、弥太郎。
おまん、元気にしとったか?



どういて脱藩なんか?

すまんちゃ。
おまんにはどういて言うたらええかわからんきに。

あれからわしは薩摩に行ってな。
鉄を鋳る反射炉とか船が見とうてなぁ。

だが、薩摩は余所者には厳しゅうてな。
結局、薩摩に入る事は出来んかった。

でも、知らん土地をあっちこっち
見て回るのは面白いがじゃ。

わしじゃち、攘夷の心はあったがじゃ。
わしが思うちょる攘夷と
他のもんが思うちょる攘夷は違うがじゃ。



それが脱藩の訳か?!

怒鳴り散らす弥太郎に対して
急に龍馬の顔つきが変わった。


吉田様を斬ったがはわしじゃないぞえ。
土佐に帰れ。



その龍馬の雰囲気に弥太郎は圧倒された。


その時、弥太郎と龍馬の会話を聞いた
井上は目の色を変えて龍馬に対して刃を向けた。

そして、金に物を言わせ
その場にいる浪人達に龍馬を捕縛するために
龍馬に立ちはだかった。


おまんらにはわしは捕まえられんぜよ。
悪い事は言わんけ、土佐に帰れ。

こんなところで斬り合いをしたら大迷惑じゃ



それでも斬りかかろうとしてくる者に対して
龍馬は脇差で応戦した。

流石は北辰一刀流の免許皆伝
龍馬に向かっていった者は軽くあしらわれた。


多人数でも龍馬を捕縛出来ないと見るや
井上はすぐさま逃げ出した。


井上の後を追おうとした弥太郎を龍馬は呼びとめた。



おい、弥太郎。
日本は今、誰も見た事がない時代を見ちゅう
おんしはこの先、血生臭い時代が来るかも知れん。
おまんはそんな事に関わっちゃいかんぜよ。


わしだってこんな事に関わりたくないがぜよ。
武市を止めとったらこんな事にはならんかったが。

わしを認めてくれとった唯一人のお方じゃったが。



おまんにはまっこと、申し訳ないと思うちゅう
けんどのぅ、おまんは親兄弟の事を考えちょった方がええ。

このまま土佐に帰れ。



龍馬・・・・・。


わしはただ見送るしかなかった。
龍馬はまるで別世界にあるような凄みのある男に
変わっていた。

わしはそのまま船に乗り大坂から土佐に帰ってきた。




一方、大坂の土佐藩の陣屋に夜遅く龍馬がやって来た。

武市半平太に会いに。






武市さん。

龍馬

ご無沙汰しとりました。
大坂におると聞いて会いたくなりました。


脱藩しとるもんがやってくるとは。
元気にしとったかえ。


はい。

その頭はどうした?

あっちこっち歩いておったら手入れが面倒になってもうて

衣服もだらしないのぅ。

―――――わしを見下しちゅう。

おまんは自分がやった事を悔やんじゅうろう。

土佐勤王党は最早御殿様を動かす力を持ったがじゃき
正しかったはわしじゃったぞ。


たしかに。
武市さんが言う通りになったがです。
吉田様がおらんなったら全てが上手くいくと。

・・・・・誰に斬らせたのですか?


吉田東洋を怨んじょったのは大分おったきに
あれが死んだのは天の運ぜよ。


―――――嘘じゃ。


土佐から追っ手がきちょります。
武市さんが疑われちゅう。

もう止めてつかあさい。
自分の思い通りにするために
人を殺すのは間違えちゅう


わしを説教するために大坂に来たがか。

―――――そうじゃ。


もんてきぃ、龍馬
わしはもうおまんを許しちゅう


わしは土佐を捨てた男ですけぇ。

残念じゃのう。

まっこと。

―――――まっこと。



脱藩者が出た家は御取り潰しになっても仕方がないが
おまんの兄・権平は才谷屋の帳簿をうまく使って上士を黙らせた
それが通用せん上士はわしが黙らせた。

見つからんように出ていきや。



―――――なんでそんな事を言うがか?



だが、それでも龍馬は
あの頃の武市さんはいると思っていた。


だから、龍馬は武市さんを試した。



土佐からの追っ手は来ているという情報を武市さんに与えた

それを受けて武市さんがどう動くのか―――――。




武市は以蔵の下を訪れていた。



以蔵は酔いに任せて愚痴をこぼしていた。




わしは頭が悪いぜよ。
難しい言葉はさっぱり分からん。

けんど、わしらはガキの頃から
誰よりも武市先生の事を―――――。



外まで聞こえるぞ、以蔵
これくらいの酒で乱れてはいかんぜよ。

わしに腹を立てちゅうがか。

土佐勤王党が藩の実権を握ったが
おまんは何も役目をもらえんかった

わしの悩みを聞いてもらえる仲間が欲しかったがじゃ。

ほんじゃき、おまんを役付けにせんかった。

おまんだけは昔のまんまでいて欲しかったきにの。
つらい思いをさせてすまんかったの、以蔵。


わしの事をそんな風に思うちょって下さったとは

泣くな、以蔵
おまんは何も悪くない。



何か悩みがあるがですか?

わしに言ってつかあさい。
それで先生の気が晴れるかもしれんがです。


土佐から追っ手がきちゅう。
わしらの周りをかぎ回りよるらしい。

ここで東洋を殺した者がばれれば
わしらは京に入れんなる。

こういう事はどこで洩れるか分からんきに。



その追っ手はおらんなったらええがですか?
先生、わしにひと働きさせてつかあさい。

わしも先生の御役に立ちたいがです。
お願いです、先生。



以蔵。おまんだけがわしの友達ぜよ。


先生。


以蔵の目が大きく輝いていた。





その日の朝



龍馬を追っていた郷廻りの者が
殺されて市中に野ざらしにされていた。



この死体を見て龍馬は察した。

武市はもう別世界の住人になってもうたと―――――。








今回の龍馬の作品ではこの回を見る限り
岡田以蔵にも焦点が当たるみたいですね。



武市先生に忠誠をまっすぐに誓っているのに
頭が悪いために同じ仲間から相手にされない。


武市さんの思いを知り
彼の苦悩を救うために

人を殺す決意をする。


「初めてのお遣い」ならぬ「初めての人斬り」ってやつですね。


まぁ正確には井上を斬殺したのではなく
無我夢中で殺そうとして結果的に絞殺になってしまったってとこですがね。

突然、無音にした事で
無我夢中で以蔵はやっていたというのがよく伝わってきます。


そうした描写を描く事で
岡田以蔵という人物もまた時代に翻弄された悲劇の人に
しているような感じがありますね。



でもって、以蔵の髪型が総髪になってましたねぇ。


月代の以蔵さん、さようならT△T/~~微妙だけど折角描いたのに





ちなみに個人的にどうやって以蔵が
この短時間で井上のことを探し出したかについては
今回の出来がよかったので不問です ̄▽ ̄



それから龍馬に関しては大分凄みが出てきましたねぇ。


飄々とした中にふと見せる表情に迫力がありました。



それから今回の龍馬と半平太との対話


龍馬の服装やなりを受けて
半平太の言動にはどこか龍馬を見下しているかのような雰囲気が感じ取れましたが

一方の龍馬もまた
力や血生臭い事をして権力を得た半平太を見下している雰囲気が感じ取れます。



それにしても脱藩と脱糞って
どうやったら間違えるんでしょうか(; ̄∀ ̄)ゞ



さて、次回は京で龍馬は
以蔵と加尾と再会するようですね。



数年ぶりに再会する二人にどんな思いが去来するのか


楽しみでございます。

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