映画「ディアドクター」

ある村から一人の「医者」が失踪した。
突然の出来事に戸惑う村人達。

その「医者」は村人から慕われていた。

それだけに何故
「医者」が失踪したのか
村人も共に仕事をしていた看護師も研修医も
誰一人わからなかった。

そして警察の捜査の中で
明らかになっていった事。



それは「医者」は『嘘』をついていたという事――――。









この作品を会社で夏休みをとって
平日に見に行ったんですが、席はほとんど埋まってました。

西川監督が広島出身というのもあるのかもしれませんが
もうひとつはこの作品が描く問題にも興味を持たれている方とか

鶴瓶ファンの方とか ̄▽ ̄

そういう方々が多かったのかもしれません。







これはいいですねぇ。

序盤の柔らかな物腰とクスッとさせてくれる笑いで楽しませてくれて
中盤からはドンドンとシリアスな展開に進んでいきますからね。



さて、ここから先はネタバレを









まず、村人から慕われるという「医者」伊野

序盤で死にかけた患者さんの命を救った事で
村人から声をかけられて笑顔になっている伊野


で、中盤で事故で運び込まれた患者さんの命を救った事で
村人から声をかけられたけど無表情の伊野


同じ展開なのに伊野の表情が違うのが印象に残りますね。


序盤は医者として自分が求められているのが嬉しかった。


作品の設定ではこの「医者」の年収は2000万円という破格なものだそうですが

この作品を見てると伊野が「医者」になったのは
金とか村人に対する愛とかではなく


困った人を助けてあげたい


その一念だったのかもしれません。


でも、患者の命を救ったとはいえ
もしかしたら自分の行為で患者の命を奪ったのかもしれない事に

自分に命の重さと共に
「医者」である事の重さ

何より「医者」ではない自分が
周囲の人々を騙し続けている事に

耐え切れなくなったのかもしれませんね。




一方で彼の嘘は結構な人が知っていたようです。


元々、伊野は薬品メーカーの社員だった人で
この村に薬品を卸している斎門は彼の「嘘」を知っていて
知らないフリをしていたんでしょうね。

で、伊野が失踪する際に
途中で会った斎門さんにあの胃潰瘍の写真が嘘で
鳥飼さんの本当の写真がある場所とかを教えたんでしょうね。

そして、看護師である大竹も知っていたんでしょうね。


でも、誰もその事を咎めなかった。


それは伊野が誰よりも医者らしい「医者」だという事


まず、そこですね。



でも、もうひとつは
この村が伊野が「医者」としてくるまで無医村だったという事なんでしょうね。


無医村=医者のいない村


それはすなわち国がその村を見放したという事でもあるのでしょうからね。


お年寄りが多いこの村では
医者に診てもらおうにもご近所との距離が遠くて通う事も難しい。


そういう人達にとって「医者」は神様よりも仏様よりも上の存在。


そうして、村人達の思いに伊野も「医者」として応えようとした。



だから、もしかしたら
村人達も全員、伊野の本当の姿を知っていたのかもしれません。


刑事さんも言ってましたが
伊野が嘘をついていたというよりも
村人が嘘をついていたという感じがしてきますよね。


刑事さんの聞き込みにも
あまりいい答え方をしなかったのも
そういうとこにあるのかもしれませんね。



さて、この作品を押し上げてくれる一番のポイントは
主演の鶴瓶さんの存在感ですね。


人に話しかける時の気さくな雰囲気とか
ただ、テレビを見ている姿とかでも
鶴瓶さんの人柄が画面ににじみ出ています。



鶴瓶さんに限らず一人一人の登場人物のキャラ設定が
キッチリと描かれています。


そして、本物を「医師」である鳥飼りつ子を演じた井川遥さんは
これまた印象が強く残っています。


映画「象の背中」で見た時にはそんな印象が残らなかったんですが

こちらの作品の彼女の方が容姿とかではなく
立ち振る舞いとかで「キレイ」だと思わせてくれます。


ちなみに高橋昌也さんはこういう寝たきりの役柄が定番なんでしょうかね。
こういう役柄しか最近見た事がないし(; ̄∀ ̄)ゞ



更に作品を構成する世界観=無医村だった場所に
「医者」がいるという事がどのくらい重要なことなのか


そうした世界を丁寧に描いているトコロはすごいですね。





さて、この作品に関しては
ラストシーンが色々と考えさせられます。


あれは余計だったのではないかって。


でも、一方で最後に伊野が現れた事で
顔がほころぶ鳥飼を見て、ふと笑顔になる伊野を見た時


これでよかったのかもしれない


って思いもあったりして。


あの表情が印象に残ります。




そういえば「ゆれる」の時もそうでしたが

ラストは登場人物の表情でした。


そこに西川監督の何らかの思いがあるのかもしれません。


これも「ゆれる」同様
色々と考えさせてくれる作品です。


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