フルスイング 最終話 「最後の授業」

高林先生が教師になって1年。
初めての卒業式が迫っていた。

3年4組の面々は卒業式に備えて歌の練習をしている。

そこで一人すすり泣く声が聞こえた。


それは生徒ではなく高林先生だった。



「今、別れの時」って歌詞で泣いてしまうらしい。


生徒達に笑われる高林先生。

本番は泣かん。約束する。

そして生徒達に
泣いたら逆立ちして校庭10周してやると約束した。

もうすぐ3年4組と別れの時が迫っている。



卒業式をどう迎えるか、語り合う先生達。
笑いの絶えない空間。




失礼します。

そう言って高林は職員室を出た。



そして高林は振り返ると、沈痛な面持で
職員室の先生達に気付かれぬように深々と頭を下げた。








その日の夜、高林は野球場を見つめていた。

高さん。


キレイじゃ。ほんまにキレイじゃ。


高さん、どげんしたとですか?


阿部さんにはお話しとくべきじゃと思いまして。
実はこの秋から野球部の練習するというのが難しくなりました。


戸惑う阿部。

高林の目はとても悲しげだった。







それから高林は妻の路子に電話をした。


あぁサイン帳かぁ。もうすぐ卒業式だもんね。
それでみっちゃん、声が沈んでるんだ。


沈んでる?はっは
そうか。沈んでるか。



―――妻には気付かれないようにしていたのに。
知らず知らずのうちに自分の心境が妻に伝わっていた。



卒業式が終わったら春休みでしょ。
いつこっちに帰ってこれそう?

公平の事でね、少し相談があるの。



公平・・・・


思春期というか反抗期というか難しいのよね、最近。



話すべきか、話さないべきか―――。



みっちゃん。聞いてる?

あぁ・・・なぁ路子。

うん?何?
何よ、みっちゃん。



―――どう言ったらいいのか言葉に詰まる。


みっちゃん?


―――俺は唾を飲み込んだ。

こないださぁ、医者に行ったら精密検査しろって言われて
検査したらすい臓ガンって言われちゃってさぁ。



え?

結構進行しているらしいんだよな。

卒業式が終わって東京に帰ったら病院に直行だ。
まぁ60近くまで生きたんだ。
我が人生に悔いはなしってやつだ。

そんな歌あったよな。

我が~人生悔い♪



歌ってる場合?!
こないだっていつ?
どうしてすぐに教えてくれなかったのよ?
卒業式なんて放っておいて直に帰って来て!


あ・・・一人で帰れそう?
迎えに行こうか?

・・・落ち着けって・・・ガンなんて言われて
それ黙ってられて・・・悔い無しなんて
歌まで歌われて・・・冗談じゃないよ!!

・・・冗談じゃないよ。

冗談じゃない。




―――電話の向こうで妻が泣き崩れる姿が浮かぶ。


・・・すまん。

冗談じゃないよ。


どういうたらええか。
これでも色々考えたんじゃけど・・・なぁ路子。

手遅れと言われた訳じゃない!
落ち着いて気をしっかりもて。



みっちゃん、それって立場逆じゃない?
普通私が励ます方でしょ。


今、少し笑ったか?あぁ?それでええ。

病気のことは公平に東京に帰ってから
わしが話す。ええな。


・・・わかった。
じゃ、私はこっちで病院探しとく。

ねぇ、みっちゃん。
今はガンって治らない病気じゃないから。
そうよ・・・うん、治らない病気じゃない。
凄腕のお医者さん探して、私が絶対治してみせるから。



頼もしいのう、うちの奥さんは。


でもね。
もし、体とかつらくなったら、
卒業式なんて言ってないで、すぐこっちへ帰ってきて。約束よ。



・・・路子、手を出せ。

手?

指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲~~ます。


電話の向こうで夫は笑ってた。


ほいじゃあな。



電話を切った後、高林はずっと約束した小指を見つめていた。

俺は―――とてもとても不安だった。




それから路子はすい臓ガンに関して調べていた。
夫のために自分が出来る事―――。

そうしてるうちに
いつのまにか朝になっていた。


路子は慌てて公平を起こしに行った。



しかし、公平はいなくなっていた。












時任先生は最近、高林先生に関してちょっと不安を感じていたものがあった。

高林先生は今年になって急に食欲がなくなったらしい。

何かあったのだろうか?
事務員の方達は皆、高林先生を心配していた。



そんな時、一人の少年が高林を訪ねた。


高林の息子・公平だった。

公平は一人で東京から福岡に来ていた。

公平

高林は息子に拳骨をかました。

一人で来たんか?どうやって来た?

夜行バスで来た。

そうかぁ。大冒険じゃったのう

高林は息子の頭をなでた。




学校が終わり、高林は妻に電話をした。

お母さん、泣いとったぞぅ。
お母さんにあんまり心配かけんじゃない。



息子は何も喋らなかった。


公平、男同士腹を割って話そうや。
野球の事で悩んどるんじゃろ。



そんなこと、どうでもいい!


どうでもいい?


お父さんだってお母さんを泣かせたじゃないか!
あんまり心配かけんな!



―――驚いた。

公平は―――息子は昨夜の父と母の電話を聞いていた。



お父さんを迎えに来たんだ。
東京に戻ってお医者さんに見てもらってよ。
間違いかもしれないでしょ!

大体さぁああいう事、電話で済ます?
お母さん泣いてたよ。
卒業式出たいなら出てもいいけどさぁ。
一度東京に帰ってよ!
ねぇ!帰ってよ!



高林は思わず息子を抱き締めた。

息子は俺を東京に連れ戻すために
俺と話をするために
夜行バスでたった一人でここまで来てくれた。



お父さんは大丈夫じゃ。
お前が思うほど、まいっとりゃせん!!

ほうか・・・お父さんを迎えに来てくれたんか。
夜行バスでなぁ・・・たった一人でなぁ・・・



―――息子はわしの事をここまで思ってくれている


一緒に東京に帰って。

高林は息子の顔を真っ直ぐに見据えた。

卒業式が終わってからじゃ。
終わったらすぐに帰る。

お父さんが今までお前に嘘をついた事があるか!



・・・ない。


ようし、そしたら男同士の約束じゃ。
卒業式が終わったら、すぐに東京に帰って必ず病気を治す。なぁ。



そして、二人は固く握手を交わした。








えぇ?!
高さんが・・・ガン・・・


学校を終えた後、近くの居酒屋で校長先生は天童先生に
高林先生の病気を告白した。

「高林先生は卒業式に絶対に出たいと仰る。
でも病気が病気ですから御家族の傍ですぐ治療に入った方がいいと仰る」


・・・私に高さんを説得しろと。


「・・・できれば。」


そこに時任先生が訪れた。
時任先生は天童先生と校長先生を探していた。

多分、こちらにおられるのではないかと思って・・・

高林先生に何が起きているのですか?


二人は非常に沈痛な面持で見合わせた。

「・・・時任先生、こちらに。」






翌日。
高林はいつものように生徒達を校門で出迎えていた。

彼の病気は刻一刻と高林の身体を蝕んでいた。



それから屋上で高林は森に腰を揉んでもらっていた。

森は高校を卒業した後、親戚の工場で働く事が既に決まっている。
工場の社員寮は思ったより広くてきれいだったらしく
卒業式が終わったらすぐ引越し。
その日の夜に寮の先輩達が歓迎会をしてくれるらしい。

「なんか、もう引き返せない感じ。」

自分の夢を再確認したものの、目の前の現実に不安になる森。



なんかあったら学校に来い。
わしはいつでも学校におるけん。


「先生、やっぱり腰、病院行った方がいいんじゃない?」

大丈夫じゃい。

「けど、痛いのずっとなんでしょ?」

何じゃ。そんな顔をするな。

「卒業式、先生に見て欲しいんだ。お父さんや母さんの代わりに先生に絶対。」


―――森君はわしの事を必要としている。


大丈夫じゃ。森くんの門出はわしがちゃんと見届ける。

高林は森に笑い掛けた。
先生の笑顔に森も笑った。








卒業式まで後7日。
高林は感慨深く3年4組の教室を見つめていた。


そこに時任先生が現れた。

息子さんは?


今朝、東京に帰りました。
随分と逞しくなりました。
夕べは親子水入らずで色んな話をしました。
息子の夢の話も初めて聞きました。

わしは勝手に息子は野球の道に進むと思うとりましたが
ホントは時刻表を作る仕事に就きたいそうで。








もうひとつはローカル線で行く日本一周の旅。

そしたら、夏休みか冬休みを利用して一緒に挑戦するか?

一緒に?

おぉ、一緒にじゃ。未来の鉄道マンよ。







―――未来の鉄道マン。


はい。未来の鉄道マンです。

先生はいつもそうやって生徒達の事も未来の職業で呼んでらっしゃいますよね。

人生で一番大切なものは夢だと。最初の授業で仰られた。


ええ、何か?

私、先生にお会いしてなかったら教師を辞めていたかもしれません。

はぁ?

先生は私が教師としての情熱を失いかけていた時、
夢は教師だという事を思い出させてくれました。


時任先生・・・

先生は常に私が理想とする教師の姿でした。
私は先生からたくさんの事を学びました。

これからも学びたいと思っています。
ですからどうか、お身体を大切になさって下さい。



―――先生はわしの病気の事を気付いとる。


今はその事を・・・卒業式よりも何よりも最優先に考えて下さい。
先生の子供達を思う気持ちはもう十分に伝わっています。
それでも足りなければ担任である私が伝えます。
ですから・・・・・。



―――自分の事をそんなに思ってくれている事が嬉しかった。


もうすぐ卒業式です。門出に涙は禁物じゃ。
子供らを笑顔で見送ってやりましょう。一緒に。





高林先生・・・

高林は時任先生の手を握り、笑いかけた。
それにつられるように涙目だった時任先生も笑った。







新しいユニホームがもうすぐ届くそうです。

高林は阿部の下を訪れていた。

楽しみじゃな。

この夏には第二グラウンドの竣工式があります。
その時には是非、高さんにも出席してもらわんと。


・・・そうか、夏か。

あっという間ですけん。

もちろん出席させてもらいます。


来年の春には中村んところの弟が三年生になります。

あの子はええセンスしとる。
他も粒揃いじゃ。きっといいチームが作れる。


忘れんで下さい。
そのチームで来年の夏、必ず甲子園行きましょう、高さん。


来年の、夏か。

―――阿部さんはわしが戻ってくる事を信じてくれている。


目指すは全国制覇ですたい。


野球がんばっとりますな、阿部さん。


そうです!野球が待っとります。

そして二人は笑い合った。








高林先生は花壇にまた新しい種を蒔いていた。

そこに天童先生が現れた。

私は卒業式と同時にこの学校を去る。
だから、あなたにはこの学校の新しい漬物石になってくれなければ困る
卒業式は来年も再来年もあります。話はそれだけです。




天童先生。
わしはなんちゅう幸せもんじゃろうと今思っとります。
この学校からは勇気を頂きました。
生徒達からは気合をもらいました。
先生方からは皆さん、わしの事を思って下さっとる。
わしはほんまに幸せもんじゃ。

今、わしの心は澄み渡っております。

自分でも不思議な程、死ぬ気が全くせんのです。

卒業式は出ます。
1年前、命を賭けてバックアップすると誓った生徒らをしっかりと見送ってやります。



あなたは私の言う事など、今度も聞く耳を持たんという訳ですな。


はい・・・あ、いや、そのう・・・何といいますか・・・


いや、弁解は結構。
私もあなたの立場だったら必ず誰がなんと言おうと生徒達の旅立ちを見守るでしょうから。


天童先生・・・。

そして、また治療が終わったらきっと桜台高校に復帰します。
私があなただったら。



はい。もちろんそのつもりです。


そして二人は笑い合った。











卒業式の日を迎えた。

高林は必死に涙をこらえていた。


今まで色々あった生徒達の顔を見る。

色々梃子摺った生徒達。

―――だからこそ余計に可愛い。


その日、高林は本番で最後まで泣かなかった。



そうして卒業式を終えた後、
高林は先生方に病気の事を話して
その日の夜に東京に戻り、ガン病棟に入院した。




病室で横たわる高林。

すまんかったな。路子

うん?何よ急に。

わしゃ野球ばっかりで
うちの事は全部おまえに任せっきりじゃった。


ほんとねぇ。

わしゃあ自分の夢ばっかり追いかけとった。
文句もいわんと追いかけさせてくれてありがとな、路子。


みっちゃん。

路子は高林の顔を真っ直ぐに見て笑っていた。

それとな。

なあに?


高林は私の手を握りしめた。


愛しとるぞ。

うん、私もよ。


それからの高林はどんな治療にも根を上げませんでした。



数日後、夫の病室に太田先生と阿部さんが訪ねてきた。
桜台高校の新しいユニホームが出来たって。

新しいユニホーム。
高林はそれをとても喜んでいた。




高林は息子とキャッチボールをした。


なぁ公平。

何?

おまえはおまえの好きな道、迷わず行ったらええんじゃ。

そのつもりだよ。

けど、お母さんの事は頼むぞ、なぁ。

息子は一瞬こわばった顔をしたけど、直に笑った。

OK







そして、高林の入院生活は5週間で終わった。






桜の花が散る。



「高さん・・・・・」



その日は桜台高校に関った一人一人が彼の事を思い偲んでいた。


その日、正午に鳴り響くサイレンは
高さんのゲームセットを知らしているようだった。











それから半年後、桜台高等学校で夫の学校葬が営まれる事になりました。

私と息子・公平は桜台高校に訪れました。

教頭先生が学校を案内しようと進めましたが
私にはちょっと躊躇いがあった。

その様子に教頭は戸惑っていました。

僕、見たいです。

「あぁそうか。じゃあ来んしゃい。」

教頭先生は嬉しそうに息子を案内しに一緒に部屋を出ていった。


「公平君、しっかりしていますね。」

やっぱり男の子です。あたしもしっかりしなくちゃっていつも思うんですけど。

「いや、急ぐ必要はないです。ゆっくりがいい。」



失礼します。


夫が言っていた時任先生という方と天童さんという方だった。


天童さんが口を開いた。

卒業式の前の日でしたか。
治療が終わったら必ず復帰するという
約束の証に高さんがこれを私に預けてくれたんです。


それは夫の背広だった。


その背広を見る度に高さんの声が聞こえるんですよ。

「天童先生、まだまだ頑張れる」

そんな声が。



―――夫らしいわ。

そして、どうしても知りたかった事がある。

私、ずっと前から1つ聞きたかった事があるんです。

何でしょう?


主人はどんな先生でしたか?


天童先生と校長は高さんの事を思い出すと笑顔になり、思わず顔を見合わせた。

子供達に多くのものを惜しみなく与えた素晴らしい先生です。
教師もこの学校も先生から多くのものを頂きました。


天童先生は頷く。

今日は卒業式の後の
ホームルームの事を奥様にお話にあがったんです―――。








その日、卒業式が終わった3年4組の面々を二人の先生が待ち構えていた。

卒業おめでとう!

高林先生の笑い声が教室に響く。

3年4組最後のホームルームじゃ。
みんな座れ!座れ!



3年4組は全員着席する。
それを見計らって高林は生徒達に言葉をかける。

改めて卒業、おめでとう!

実は今日、わしから皆にひとつ報告せんといかん事がある。


この前から少し体調が悪うてな。
朝シャンしても体調が悪うてな。


病院に行ったらガンじゃと言われた。



その言葉以降、笑顔だった生徒達の表情が一瞬にして固まる。


こうやって立っとるのも奇跡じゃと言われてしもうた。
はっはっは。
いやぁまいった、まいった。

ほいで今日、皆が桜台から旅立つのと同時に
わしも一旦東京に戻って病院に入る事にした。

東京で徹底的に病気を治してまたこっちに戻ってくる。

まぁそれまでの間、学校に遊びに来てもわしはおらんが
時任先生がおるけん、いつでも来い。


そして、高林はおもむろに黒板に文字を書いた。








サイン帳遅うなって申しわけなかった。
後でみんなに渡すけん。

わしが送る言葉はこれじゃ。


気力。

気力とは何か

これ、田辺。気力とは何じゃと思う?未来の警察官。



「頑張る事だと思います。」
震える声で田辺は答えた。



佐伯、これ。未来のJリーガーは?


「・・・根性」


うん。森君はどうじゃ?未来のカメラマン。


「・・・生きる事です。」


よし!柴田はどうじゃ?未来のミュージシャン


「精神力」


おぉう、工藤。未来の大工さんは?


「ノコを最後まで引く事です!」



工藤らしくてええぞ。

そしたら、わしが思う気力の話をしよか。


高林は己が書いた気力の文字を見つめていた。

わしはな、諦めん気持ちこそ気力じゃと言いたい。
諦めちゃいかん!わしも。
皆もじゃ!

9回裏ツーアウト、ランナー無しでも何点離されとっても諦めん気持ち。
これが気力じゃ。

気力は人を思う事で強くなる
思われる事でもっと強くなる

わしはこの気力で病気と戦ってくる。
必ず気力で治してくる!!

皆もなぁこれからの人生、色んな困難にぶちあたるじゃろ。

「もうあかん!」「投げ出そう!」

そう思う事が何度もあるじゃろう。

けどな、そういう時
この言葉を思い出して欲しい。

気力じゃ。諦めん気持ち。
気力で乗り越えて欲しい。


高林は必死に涙を堪えていた。

そしておもむろに傍にあるバットを握った。

4組に送るわしのエールじゃ。


そうして高林先生はスイングをした。
何度も何度も。

どんなに痛くても
どんなに身体が悲鳴を上げていても

高林先生はスイングを続けた。


諦めない。
絶対に諦めない。

そんな高林先生の思いがヒシヒシと伝わってくる。


いつのまにか3年4組の生徒達の眼は涙で溢れる。


田辺、泣くな!泣くな!握手じゃ!!
先生は笑っとるじゃろ!えぇ!!泣くな!!


森がすがるように先生に呟く。
「先生・・・絶対帰って来てよ。絶対だよ。約束・・・」

あぁ、ほれ。

高林は森と固く握手をした。


先生・・・


時任先生に促されて、高林は時任先生と一緒に
生徒達に頭を下げた。

1年間ありがとう。



その言葉に応えるように
生徒達は先生に贈り物をした。



時任先生と高林先生へ
3年4組から感謝状の授与です。

時任先生、高林先生
お二人は時に厳しく時に優しく
この1年間我々を見守って下さいました。
ここにその飛びぬけた忍耐力と深い愛情に
感謝の意を評し、3年4組全員から感謝状を贈ります。

ありがとうございました!!



・・・ありがとう、ありがとうね。

その感謝状の書かれてある
生徒達一人一人の言葉に
生徒達一人一人の思いが伝わってくる。

ありがとう、皆もいつでも学校に来い。
わしも学校に帰ってくるから。



そして高林先生は笑って3年4組の生徒の卒業を見送った。





夫はこんなにも生徒達の事を思っていた。

そして、こんなにも生徒達に慕われてきた。


私は自分の眼から涙が止めらなかった。
必死にこらえようとしていた時

時任先生は私にある一つの封筒を手渡してくれた。


担当をしていたの森和人君という生徒が撮っていた夫の写真だと。




写真に写る夫はいつも笑っていた。

どれひとつとっても夫は笑っていた。

両手を大きく広げて自分を迎えてくれる。

大きな耳

小さな口

優しい目で。


私は悲しみを堪える事がもう出来なかった。




高林先生は生きています。
この学校に私達の中に。
卒業した4組の生徒の中に。

高林先生はちゃあんと生きています。



・・・はい。





この学校では高林先生が書いた「気力」の文字が息衝いている。

―――夫はここに生きている。




夫の学校葬を終えた後、私は息子と一緒に桜台高校の校門を出た。



ふと風が吹いた。桜の花びらが舞う。



校門に、あの場所に

いつものように夫がいるような感じがした。



みんな、それを感じたのか一緒に笑っていた。

私も笑った。



大きな耳 小さな口 優しい目 のあの人の笑顔に―――。







もうねぇ、ただただ泣けます(T▽T)




今回の作品では高林先生が主体なんだけれども
一貫して高林先生は自分の不安な心境は言葉では一切語っていません。


だけれども不安な心境を物語る演出は序盤で
随所に描かれていますね。


そして最後に彼が遺した言葉









「決して諦めない」


そう信じて気力で立ち向かう。


生徒達や先生、妻や息子の事を思う気持ち

そして

生徒達や先生、妻や息子に思われる事が
高林を強くさせていったのでしょうね。

それは高林のみならず
誰にでも通じるって事なんでしょうね。


それから公平が第3話で時刻表らしきものを見て
なんか興奮していた感じなんですが

実はここに公平の夢があったみたいですね。


また、第1話で森君の夢がカメラマン。

そこで森君が最初に撮った人物が高林先生で

あの両手を広げた姿だった。


どの写真を見ても
高林先生は笑ってたっていうのも
一番最初に撮ったあの両手を広げたあの姿が


大きな耳 小さな口 優しい目


そのままの高林先生が思い浮かんで


それでまたヤラれてしまいます(T▽T)




諦めないと思う気持ち―――気力



それが本当に大事なんでしょうね。



ちなみにこの気力という言葉はドラマにも描かれていたように

冒頭のように高畠さんが実際に先生をしていた

筑紫台高校に「気力」という文字があるそうです。


彼の意志はしっかりと刻まれているって事ですね。


自分も高林先生が残したこの言葉




絶対に忘れないようにしたいですね。



ドラマとしてもこの作品は全体的の繋がりが本当に上手いです。

回を重ねるに従って、それまでに出てきた演出や
大事な事が次々に繋がっていきますし

高林をはじめ、ここに出てくる登場人物
一人一人の言葉が胸にズンと響いてきます。


それにしても今回一番に驚かせたのは
今までちょっとした愚痴をこぼしていたり苦悩を言葉で表していた高林先生が

今回、自分の事となると一切語らなかったという点ですね。

こうして自分の苦悩を周囲に全く見せないとこにも
高林の強さがありますね。


でも、やっぱり自分でも不安だったのでしょうね。

すい臓ガンというのは症状が確認できた時には
既にかなり進行している病気らしくて

初期では全く無症状なので
まず見つけるのは難しいらしいです。

「かなり進行している」と言われた時
既に高林は覚悟を決めていたんでしょうね。


それでも彼は「諦めない」

「病気を治して、再びここに戻ってくる」

あの「気力」という言葉は
生徒達に教える言葉であると同時に

自分に言い聞かせるものでもあったのでしょうね。



それから先程Wikipediaに掲載されていたのですが
第2話で剣道部のエース的存在だった田辺詩織を演じた徳永えりさん。

彼女は映画「フラガール」で高橋克実さんと親子の役で共演していたそうです。

それを知ってしまうと第2話の二人のあの共演もなんか感じ入るものがありますね。





さてさて
自分は人の絵を描く時
自分が納得出来るまで描いていきます。
あくまでも自分が納得出来るまで。

まぁその時はよかっても
しばらくして振り返ると自分の画力に時折ガッカリする事がしばしば(苦笑)

でもって
なかなか上手く描けないスランプ状態の時には
どうしても絵を描こうって気分になれなくなります。


自分が昔、絵を描いて面白かった時の事を思い出します。

中学や高校時代、教科書の片隅に描いた落書きや
授業中の合間に描いた先生の似顔絵

そんなのを描いてみたりします。

初心に戻ると意外とイイ感じです。


なんとなく自分の目が知らないうちにキラキラ輝いているのかもしれない。


この作品を見ていてそんな気がしました。


本当にイイ作品です。


DVDが出たら間違いなく買いたいというか、絶対に買う作品です。


本当はねぇ、高林を演じる高橋克実さんを描いてみたかったんですけどね。


最近のテレビジョンとかNHKのステラとか
色々と見てたんですけど高橋さんの写真が小さくて(; ̄∀ ̄)


始まる前はそんなに期待していなかったので
構図探しをしてなかったのですが

ドラマが始まってから構図探しをした時には既に時遅し(; ̄∀ ̄)

まぁでも年内には高橋さんを描くつもりです。

決して諦めない。

私もそう気力を振り絞って頑張ります。

まぁ私の場合はそれを忘れないようにせんといかんですけど(; ̄∀ ̄)ゞ



さて、次回より早くも新ドラマ。
次なるドラマ「刑事の現場」もまた骨太のドラマみたいで
寺尾聰さん、森山未來さん
石倉三郎さん、池脇千鶴さん、忍成修吾さん、宇崎竜童さん、真野響子さんら
レギュラー陣をはじめ、ゲスト陣もなかなかな役者さん揃いです。

こちらも見逃せない作品となりそうです(≧∇≦)b

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