風林火山 第11話 「信虎追放」

武田信虎は僅かな供を連れて自分の娘婿である今川義元に会いにいく。


兄として弟を憎む気持ちは微塵もない。

兄は父を甲斐国から追放する。

二度と再び甲斐の土は踏ませぬつもりだ。



諸角は重臣達に問い詰める。
「謀反でござる。」

全ては甲斐のためじゃ。
その領民を救わんがために我らは立つ。
皆、覚悟の上だった。


諸角は踏み止まった。

「しかし、諸角殿のその思いは親方様の御為ではなく信繁様の御為ではありませぬか。」


信繁は語った。
わしの家督は兄上が廃嫡された上での話である。
ここにいる兄上はそれを受け入れる兄上ではない。





小山田は既に知っていた。
彼の答え―――甲斐に争いを生じないようにする事。
ただそれだけだった。

彼の考えも杞憂に終わった。

家臣の足並みを揃えられていた。




力は無用。
小山田、わしを信じよ。


力ではない。心だ。

人の心で信繁を動かしたい。
頼む、信繁。そなたの力を貸して欲しい。頼む。


兄上、頭をお上げ下され。
某はつろうございました。
某が父上の心に沿うように振舞う事、喜んでいたと思いますか。
父上は兄上の器量を怖れておりました。
某は兄上の引き立て役のように思っておりました。
信繁はその器量にあらずと思われても
その恥を偲んでも家督を継ぐと思っておりました。
しかし、兄上は家督を継ぐ事をよく御決めになりました。
よくお立ちになりました。
これより信繁は兄上の命に従いとうございます。



信繁、わしは今日程、この兄を恥じた事はない。許せ。

これにより甲斐国当主が変わる―――。


そんな兄弟にもらい泣き。・゚・(ノд`)・゚・。




駿河国では信虎を持て成す連歌の会が催された。

見る人の心のそこにすむ月や

信虎が詠んだ句に次々と歌人が詠む。
そこに義元が詠んだ句。


晴れた心に戻る甲斐なし


この意味を我が子・晴信が二度と甲斐に戻らぬ日々を送らぬであろう事を読んだ
句と感じた信虎の心は晴れ渡っていた。


これには義元も雪斎もただただ苦笑した。


これから信虎を追放する。
それもこれもミツがこの甲斐の土になってくれたおかげだ。
兄としてオラはそう思いたいだ。





今川家の使者として
庵原之政、青木大膳そして山本勘助が甲斐と駿河の国境に向かった。

信虎を追って。




母は出家を決意した。
戦に命を落とす事が出来ぬ女とは厄介なものだ。
彼女はこのような事になってしまった
父と息子を止める事ができなかった事を悔いていた。


彼女が息子に出来る最後の言葉―――。

私欲に縛られてはなりませぬぞ。
恨みは持たずに参りなされ。


父上は越えてゆきなされ。






その頃、相模国でも家督が譲られていた。
北条氏綱は病の床にあった。


父が子へ遺した最期の教訓。

その遺志は子・氏康に受け継がれていく。



氏康が読む父の遺志。




図らずもその天罰が今、甲斐の当主に下る。






兵達が信虎に矢を放つ。

これは如何なる事じゃ。

父上、これより一足たりともこの甲斐より踏み入る事は相成りませぬ。
速やかに駿河にておひき返し下さりませ。
駿河にて御隠居下さりませ。

板垣信方。
甘利虎泰。
飯富虎昌。
諸角虎定。
原 虎胤。

彼の名を受けた家臣達は皆、武田晴信に従っている。



我らが父が築いてきた甲斐をきっと御守いたします。



見る人の心のそこにすむ月や

ちりもくもらぬ老いし身の程
世をうつし思い捨ぬる心もて
晴れた心に戻る甲斐なし

この歌は全て自分に向けられたものであった事を悟る。









そして今川家の使者が信虎を迎えに来る。


勘助はその中にいた。





館に戻っていく道中、信繁は兄に声をかけようとした。
が、止めた。

兄はただただ涙を流していた。





信虎の背中を見た時、
あの時の記憶が思い出される。


勘助は草鞋の眼帯に付け直した。





ぬし、なんぞこのわしに恨みでもあるのか。
先程から由々しき殺気を感じておる。


信虎は駆け出した。



信虎に服を斬られた。

これを以って堂々と剣を抜く勘助。



手出しは無用!
助太刀も無用じゃ。



1対1の対決。



己の刃にそれぞれの怒り・憎しみ・悲しみをぶつけ合う二人。


その度に勘助の脳裏に過ぎるもの。

―――うら、御侍の嫁になりたいんじゃ。


うら、いい嫁になるから。


うらには見えるだに。勘助の中に咲いてる花が。

勘助のぼこじゃ。

信じていいんか。本当に信じていいんか。



信じよ。


―――勘助。



青木大膳の横槍で勘助は我に返った。


信虎の刃を受け止める勘助。


彼は言う。

わしを討ったところで甲斐は滅びぬ。
わしが育てたあのような猛々しい武将。

わしが厳しく育てた武将。

いずれ、駿河を切り取り天下に号令をかける。
その名は武田晴信。

覚えておけ。
覚えておけよ。




全てを奪われた男はその怒りさえも消え去っていた。
そして勘助もまた彼に対する憎しみが消え去っていた。

二人の心に武田晴信という名を残して―――。




・・・えっとね。まず率直に言うと




ミツのあの回想は反則(;▽;)



あれはいかん。いかんがな(;▽;)




回想が出る度にもう涙がポロポロ(;▽;)ポロポロ





北条氏綱が息子・氏康に教訓となる言葉を残すのですが
それが武田信虎の追放劇に重ねていく。

ここが更にハマっていましたね。



この辺りのツボの押さえ方は絶妙ですね。



個人的にはこの回はかなりキてます。
再放送と言わず再々放送でも見たいものです。



補足(2007/03/19)
その後の信虎は今川義元の庇護を受けて駿河で暮らしたそうですが
桶狭間の戦いの後に当主が今川氏真になると各地を放浪する旅に出ます。

ただ、この方はただ旅をするだけでなく地方での争いに
参加して勝利をもたらす事とかもやってたりして。

それから晴信の正室・三条夫人の縁故を頼って京に住んだようです。


一番のオドロキは晴信が死去した際に彼はまだ存命だった事です。
この時、御年80歳Σ(゚д゚ノ)ノ


息子の死を知った信虎は武田領内である信濃に向かいます。
それから彼は三男・信廉の下に身を寄せます。

そうして翌年、晴信が築いた最強の軍隊とその栄光を目に焼き付けて
翌年、信濃にて亡くなります。

ナレーションの通り、
信虎は甲斐に足を踏み入れる事はなかったという事です。






来週は勘助の仕官。



楽しみですね。



これから後のドラマも見るのですが
ここでの感動がキレイな程に乾きそうな予感(; ̄∀ ̄)

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