Mother 第5話

奈緒は愕然とした。

うっかりさんが折ったというその折り紙は
幼い頃、自分が母親に作ってくれた折り紙と
全く同じだったからだ。


呆然としている奈緒に継美が声をかける。


帰ります。
帰るよ!



待って!役所からこれ・・・・・

そう言って葉菜が渡そうとした書類を
奈緒は振り払った。


奈緒の視線。

奈緒が葉菜が折った折り紙を握り潰して捨てた

その時、葉菜は奈緒が突然自分に敵意を向けた理由を悟った。


継美はただ訳も分からないまま、奈緒についていった。



その日の夜、奈緒は籐子に葉菜の事を話した。



お母さん、私ね。
私を捨てた人に会ったの。


籐子は何も言わない。

あの人、何も言わないから騙されちゃった

パプリカ、取って。
その目の怪我と何か関係あるの?


ううん、違う。

気のせいよ。
そんな人、もうとっくにこの世にはいないもの。
いない人だもの。


うん、分かってる。







それから籐子は芽衣にお腹の子について話をした。


先生が再来週の月曜日でどうかって。
ねぇ、おなかの子に少しは気持ちがあるから――――。


私に生きるか死ぬか分からない子を生めって言うんだ?

芽衣。

何?

つらくないの?本当につらくないの?

少しはね。

少し?

美容院行ったばかりなのに
雨降ったって程度には・・・・・・


そう言いながら芽衣は涙を流した。

馬鹿ね。

そんな娘を籐子は優しく抱きしめた。







学校行けるようになったんだ。よかったね。

翌日、学校に行く継美を送る奈緒の前に駿輔が現れた。


もうすぐだね、母の日。
お母さんにカーネーションをあげたりするのかな。

このことは言いませんから。
あなたが約束できれば。



母に迷惑かける訳には・・・・・


でも、逮捕されたらもっと迷惑かけるよ。
あなたのお母さんは加害者の家族なんだから。

俺はあなたに共感してる。
出来れば警察に通報したくない。

だが、これとそれとは別。1千万円。
娘にカーネーションをもらうための値段だと思えば安いもんでしょ。




その日、学校を終えた継美は葉菜のところを訪ねてきた。

先日、自分が奈緒を捨てた母だと気付かれた事で
奈緒が自分を激しく嫌悪していると分かった
葉菜は継美に諭すように語った。



うっかりさん、継美ちゃんの事が大好きよ。
でも、もうここには来ない方がいいかもね。


あのね。
継美のせいでお母さん、お金を盗られたの。

継美がトイレに行きたいって言ったせいで。




その次の日、奈緒の前に葉菜が現れた。


奈緒は葉菜を無視した。

あの・・・・・

ねぇ・・・・・

これ・・・・・


そう言って葉菜は奈緒にある袋を手渡した。

それは貯金通帳だった。




意味が分かりませんから!

いいの。

何が?!

いらないものだし
それでも足りないし
何の役にも立たないかもしれないけど

いいの。これは元々・・・・・



でも!
学校の事でお世話になったと思います。
継美のことで心配かけたと思います。
でも、関係のない人にそんな事をされる覚えはないです。
これ以上、私と継美に関わらないで頂けますか?


わかってます。

他人なんです!

はい。

違いますか?

違わないわ。
でも、だったらここに捨てます。


そして、葉菜はすぐ近くにあったゴミ箱にその貯金通帳を捨てた。

捨てました。


そう言って葉菜は足早に去っていった。

ちょっと!


すると駿輔はそのゴミ箱に捨てられた
貯金通帳を拾っていった。


奈緒は駿輔を追いかけた。


駿輔はその貯金通帳を見た。


望月葉菜さん
誰?この人?
母親に金を頼めない理由と関係あんの?
あんたには1千万円ってのは無理だったか?
まぁこれでいいよ。

あんたの事はそしてあの子の事も言わないよ。

借金の返済に充てさせてもらう。いいね。


あ、ちょっと待って!

見てみろよ。
面白い口座だよ。
定期預金。204万
あのおばさん、貧乏そうに見えて結構貯めてたんだな。

毎月1万ずつ
17年かけてコツコツ貯めた貯金だよ。


待って!返して下さい!

勝手な女だな。

そうして奈緒と駿輔はもみ合った。

そして、駿輔は床に倒れ
奈緒は気が付くと鈍器を振りかざし
今にも駿輔に向かって振り下ろそうとしていた。


やってみろ!
今度は人殺しだよ、お母さん。



その言葉に我に返った奈緒は
鈍器を静かに下ろした。


あのおばさん、あんたの何?

お金は何とかします。
こんなもん使うくらいだったら死んだ方がマシです。


・・・・・もういいよ。
ねえ、他に方法あると思わなかったの?
迷わなかった?


それから駿輔はおもむろに自分の事を語り始めた。

以前、駿輔は児童虐待の取材をしていて

その中の1件に彼に妙になついた子供がいた。

その子はおもちゃを駿輔にあげた。

それが僕のヒーローだって


明らかに虐待を受けてた

親にその事を問いただしたら
親はこう言った。

だったら子供を1千万円で売ってやるって。



その子・・・・・


死んだよ。父親に腹蹴られて
内臓・・・・・



その子が眠っている場所に駆けつけた時
駿輔以外誰もいなかった。


俺はさ、あいつのヒーローにはなってやれなかった
あいつを見殺しにした
あんたが歩いている道は俺が逃げた道なんだ。

俺はその先に何があるのか見てみたい

その先にはあり得たかもしれない景色があって
そこには俺はあいつを連れてさ。

いつか、あんたとあの子を書ける時がきたら
金は印税としてその時にもらうわ。



結局、駿輔のお金の話はナシになった。





奈緒はその貯金通帳を返しに葉菜の下を訪ねた。



葉菜は寝室で寝ていた。


奈緒は眠っている母の手に触れ、語りかけた。


どうして?どうして捨てたの?



葉菜が目を覚ました。

奈緒はすぐに距離を置いて
通帳を返しにきた事を伝え、その場を後にしようとした。



鈴原さん。


鈴原さん?
何ですか?


どうしても受け取ってくれませんか?

私が一番嫌いな花です。
毎年この季節になると目をそむけていた花です。
どうしてか分かりますよね。こないだ
あなたに全部話してしまったから
全部わかりますよね。

笑ってたんですか?
心の中で笑ってたんですか?

自分を捨てた子供が・・・・・



その時、奈緒は後ろに人の気配を感じた。

振り向くとそこには籐子がいた。


鈴原さん、ごめんなさい。



そんなお金で母親になったつもり?

こんなお金で母親になったつもり?

お金を出して・・・・・
その30年、壊さないで!
私と奈緒の30年、壊さないで!


籐子は葉菜に涙を流しながら掴みかかった。

そんな籐子を奈緒は必死に制止した。




もういいの。
知らない人だから。

帰りましょ。帰りましょ。


そして泣き崩れた籐子をなだめるようにして奈緒達はその場を後にした。




それから籐子と奈緒はとある居酒屋で酒を飲み交わした。


よくくるのよ、ここ。

そう。

ちょっと前から気付いていたのよ。

あなたと継美ちゃんがあの人のとこに
出入りしてたの。

いいのよ。お母さんも隠してたから

あの人、どこで調べてきたのか
ある日、突然うちを訪ねてきてね。

お母さんね。ずっと怖かったのよ。
あなたを引き取っていつか誰かが迎えにくるって
『私があなたのお母さんです』って

そして、すっかり忘れた頃にあの人がやってきた。

今更何よって思ったわ。

お母さん、もう東京にはいませんって帰ってもらった。

ダメだったかな?

お母さんね、言ったの。

奈緒は幸せです。幸せになりましたって
うちの子供たちは美人三姉妹で有名なんです。

そういって笑ってるあなたの写真を渡した。

奈緒が幸せになった証拠を見せてやりたかったの。

本当はそんな自信、まるでなかったのにね。

苦労したわ、あなたの笑ってる写真
見つけるの。

いつも思ってた。
この子が私の母親でよかったのかなって。

この子には脱走癖がありますって言われたの。
一番無口で一番心を閉ざした子だって。

里親になる人もお父さんも反対したの。

だけど、その時には決めちゃってたの。

奈緒を連れて帰ろうって


どうして?

どうしてなんてないわよ。
母親も子供も選んだり選ばれたりするもんじゃないのよ。
出会っちゃうのよ。

だけど、後悔しなかったって言ったら嘘になるかな。

奈緒はうちに来てから何回も家出したのよ。

家出していつも必ず行ってたところ。

東京タワーよ。
あなたはいつも東京タワーの展望台に行って
お母さんを探してた。

だから私も考え変えたの。

この子がそれを望むならとことん付き合おうって。




奈緒は籐子の言葉に今の自分の心境を重ねていた。



ある時、あなたが「あ」って叫んで
それから二人で一緒に走り回ったわ。

私、必死だったわ。

無口で心を閉ざした奈緒を
双眼鏡の先で見ていた時
初めて心を開いた気がしたわ

大丈夫、お母さん探しましょって

そしてあなたに小銭を渡した。

その時、あなたが私がこけて怪我をしたのを見て
私のために絆創膏を買って来てくれた。

その日、あなたは初めて言ってくれたの

『ただいま』って。

奈緒が初めてただいまって言ってくれた。

私、お母さんになれるかもしれないって思った

その時決めたの。
世界中でこの子の母親は私一人なんだと。

たとえ、奈緒の心の中の母親が誰であっても


お母さんだよ。
私のお母さんはお母さんだよ。
ありがとう。


籐子の目から涙がこぼれる。

カラシつけすぎちゃったね。

うん、つけすぎた。




その夜、奈緒は継美の寝室にいた。



お母さん。

継美にいっぱい心配かけちゃったね。
でも、もう大丈夫。
お母さん、忘れられる。

ずっと忘れたかったことがあったの。
でも、今やっと忘れられる気がする。

おばあちゃんのおかげ
それから継美のおかげよ。

ごめん。お母さん、何言ってるかわかんないね。


継美分かるよ。

分かる?

継美も忘れるよ。
お母さんのおかげだよ。



大事大事。


大事大事。





ここ最近、鈴原家に何度も無言電話がかかっていた。



その時、たまたま継美が電話をとった。




もしもし?
もしもし?
もしも~し?
もしも~し?



だが、今度はその電話の主は言葉をつむいだ。


あなた、誰?

怜南?怜南?



継美はその電話の相手が誰か分かった。



ママ・・・・・。



ママ?


継美が呟いた言葉を籐子は聞き逃さなかった。



継美ちゃん、ママって?


継美は慌てて電話を切った。


だが、一度クチにした言葉はもう消しようがなかった―――――。








あのまま、奈緒は鈍器を振り下ろせばいいのにと
ふと思ってしまった; ̄▽ ̄ゞ


それはそれとして

とっても母親が嫌い。

でも、ウラを返せば
それだけ母親を思っていたってこと

母親を嫌う気持ちと同じくらい
母親を慕う気持ちを持っている

かつての奈緒がそうだったように
継美=怜南もまたそうなんでしょうね。


でも、怜南の母・仁美は自分が娘を心配してるというよりも

娘に虐待していた事が娘からバレないかどうか
それしか心配してないみたいでしたね。



さて、次回から

葉菜は入院するみたいだし

仁美の所には警察がやってくるみたいだし

芽衣は自分の子供のことで婚約者に相談するみたいだし

自分の事がバレた継美は怜南として生きるとして失踪するみたいだし

事態はかなり急展開するみたいですね。


一方で高橋昌也さんはどうも葉菜のお店の単なる客ではなさそうですね。


おそらく自分の予想が当たっていれば
彼は犯罪や非行に陥った人の更生を支援する保護司なんでしょうね。


ここから、もし葉菜がどういう思いで
奈緒を捨てざるを得なかったのか

その辺を知るとまた奈緒達の思いも変わってくるのかもしれません。




それから全然話は違いますが
日テレ水曜10時枠次期クールのドラマは








ホタルノヒカリ2




ぶちょおおおおお(ノToT)ノ

なんだ、あほみや(  ̄Д ̄)

あのドラマの続編です。

あれから3年
スタートから雨宮が人間でいるのかどうかとか

二人の関係がどんな風になっているのか
こちらも今から楽しみでなりません。

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この記事へのコメント

2010年05月13日 18:04
2週前のikasama先生の説がようやく具体的になってきた状況でしたよね。
犯罪者の子にしたくなかったから葉菜は奈緒を手放したのよ、きっと・・・
「彼は犯罪や非行に陥った人の更生を支援する保護司(仮説)」ということで
葉菜のところに出入りしていることからも説明がつきますよねえ。
駿輔も取材していた子を救えなかったことで罪悪感をもち続けているようですが
借金は何に使ったのでしょうか。
ともかく葉菜が刺さなくていいことになりホッとしました(笑

えええ~次期は「ホタルノヒカリ」なんだ!
あれは面白かったですもんね。
超楽しみですわ~。
ikasama4
2010年05月13日 21:26
エリ様
その可能性が具体的になってきました。
奈緒と母が別れてから30年で
うち17年は積み立てしてたから
残りの13年はそういう事になりそうです。

それにしても駿輔は
奈緒達の本気を知りたかったみたいですが
それにしてもあまりいいやり方じゃないですね。

>ともかく葉菜が刺さなくていいことになりホッとしました(笑
予想が外れてちょっと残念 ̄▽ ̄ゞ

次期はもう今から楽しみなんですよねぇ。

ぶちょおおヽ(;´Д`)ノ が
また見れるんですよねぇ。

今からウキウキしてる私がいます ̄▽ ̄
キッド
2010年05月14日 03:00
ikasama4様、こんにちは。

やはり、ハイエナにはハイエナとなる理由がございましな。
このドラマで一番まともな男が
うな重(梅)扱いですから
女尊男卑の極みでございます。
まあ、聖なる母の話でございますので
仕方ないのですな。
助けられなかった少年の亡霊に
日夜すがりつかれる駿輔は
やや・・・狂っているので仕方がない・・・
そういう憐れさの醸し出される今回。
結局、うっかりさんの愛のオーラが
駿輔の地獄に堕ちた心を少し癒した感じです。
それにしてもサイフをとられる奈緒。
ママと答える継美。
血縁のあるなしに関らず
母娘三代・・・見事なうっかり連鎖でございました。
そこは・・・
少しほのぼのしましたぞ~。

ふふふ・・・ぞんざいバージョンの宝庫
ホタルノヒカリの再来・・・。
ホタルはすっかりビッグになっているので
どんな展開になるのか楽しみですな~。
結構オリジナル展開もありますし~。
2010年05月14日 09:42
>あのまま、奈緒は鈍器を振り下ろせばいいのにと
>ふと思ってしまった; ̄▽ ̄ゞ
うそ~。我に返って良かったですよぉ。
前回までの駿輔ならまだしも(笑)
私、贔屓目だからごめんなさ~い。テヘ

お金は欲しかったんでしょうけど、
奈緒に対して嫉妬心みたいな思いもあったのかも。
事情は知らない訳だし、
お金持ちで育ったお嬢さんって印象しかないみたいだし。
そんなはした金どうにかできるだろうぐらいな気持ちでしょ。
あの諦めの早さにはビックリしましたもん。
もしも奈緒の生い立ちを知ってたら…
駿輔は奈緒に対してどういう感情を見せたのかしら?
この先、そんな山本君の顔が見たいのです(u_u*)

>娘に虐待していた事が娘からバレないかどうか
>それしか心配してないみたいでしたね。
私は仁美の母性に賭けたかったです。
あの柔らかくなった表情に…
今までの罪を悔いて欲しいなぁ。

>一方で高橋昌也さんはどうも葉菜のお店の単なる客ではなさそうですね。
そうかぁ!
さすがikasama4さん。
高橋さんをただの人では終わらせませんね。
あっちでもこっちでも大きな存在だわ(笑)

私も『ホタル~』楽しみで~す♪
ikasama4
2010年05月14日 23:22
キッド様
こんばんはです。

この女性ばかりのドラマにおいて
駿輔はなくてはならない存在のようでしたね。

おそらくは葉菜の過去も
職業柄、彼が明らかにしていく役目も
担っているのでしょうねぇ。

こういういたたまれない事件を目にすると
自分の良心と常識の狭間で揺れ

そして時に狂ってしまうものかもしれんですね。

でもって籐子と葉菜と奈緒との関係が
奈緒と仁美と継美=怜南にも波及して
いくような雰囲気がかもし出されてます。

楽しいですねぇ。

そうですねぇ。
すっかり人気になったホタルノヒカリ
多分連荘でぞんざいバージョンで押す事になるでしょう。

でもって、アホ宮とぶちょおは
しっかりと描きあげるつもりです ̄▽ ̄
ikasama4
2010年05月14日 23:22
mana様
駿輔はいい人だったみたいですが
人を食った態度には奈緒ならずとも
殺気を帯びても仕方がないですかね。

>奈緒に対して嫉妬心みたいな思いもあったのかも。
そうですね。
自分には出来なかった事を
奈緒には出来た訳ですからね。

そういうとこに嫉妬したんでしょうかね。

>お金持ちで育ったお嬢さんって印象しかないみたいだし。
そういうことなんでしょうね。
御嬢様の単なる気まぐれだとでも考えたんでしょうね。

>私は仁美の母性に賭けたかったです。
果たしてそうなのかは次回には分かるようですね。

高橋さんは多分そういう役ドコロだと思います。

>私も『ホタル~』楽しみで~す♪
その時は一緒に楽しみましょう ̄▽ ̄♪

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  • Mother 第5話

    Excerpt: 出会ってしまったんだもの、という籐子に巡り会えて奈緒は良かったですね。いいお母さんでした。 Weblog: エリのささやき racked: 2010-05-13 20:37
  • 『Mother』 第5話

    Excerpt: 今回、初めて泣きました。。。4回ほど。・゚・(*ノД`*)・゚・。 もちろん今までもウルウルさせてはもらいましたけど。ここまで見て来て、それぞれの思いが分かってるからでしょうね。駿輔の思いにも涙でした.. Weblog: 美容師は見た… racked: 2010-05-14 10:24