八日目の蝉 第5話

薫は島言葉を話し黒く焼けて
すっかり島の子供になっていた。

昨日は出来なかった事が
今日は出来るようになっている


嬉しい。

と同時に胸が痛くなった。



お母さんは薫を小学生にしてあげられるだろうか。

それまで一緒にいてあげられるだろうか。


それでも、

あなたのいる道と
あなたのいない道
どちらかを選べと言われたら
私は間違いなくあなたの道を選ぶ

それがたとえ行き止まりでも
帰ってこられなくなっても。



それから間もなく私と薫の映った写真が新聞に掲載された。


この生活を終わらせたくない。


私は薫と一緒に逃げようとした。


けれど、薫はそれを嫌だと言いました。


私はあなたに尋ねました。


薫はここにいたいんだね。


あなたはこう言いました。


うん。

じゃあ、ここにいよ。
ずっとここに。


この時、私は決めました。
写真館で私と薫、二人の写真を撮って
二人で海辺を歩いたりして

あなたとの日々をギリギリまで大事にしよう。
あなたとの思い出を少しでも多く残そう。



ある日、あなたは蝉の抜け殻を見つけてきた。

私はあなたに蝉の事を話してあげましたね。

蝉は7日間しか生きられない。

でも、それは蝉にとって
人間の一生分と同じ事なの。

だから、ああ神様
今日を迎えれてありがとうございますって感謝するの。

1日、1日がとっても幸せで胸が痛くなるから。
夜眠るのがもったいないくらい。

中にはちょっとだけ長く8日だけ生きる蝉がいるかもね。



その時、あなたはこう言ったの。

そんなのいやや。

他の蝉が死んでしまうのに
自分だけが1日だけ生き残るのは寂しくてたまらん。




嬉しい。

と同時に胸が痛くなった。




薫、あなたがいつまでも幸せでありますように。

私が消えたとしても
このかけがいのない時間が消えたとしても
あなたが幸せでありますように。


そして



ごめんね、薫
本当の事を言えなかった

この空、この海、この緑
ここに住む優しい人達と二度と会えなくなるなんて。


後、何度逃げなければならないのだろう。
何度別れを繰り返さなければ
神様は許してくれないんだろう。

でも、お母さんは幸せだった。
あなたと生きられて。

本当に幸せだった―――――。





母と別れた。

あの時、消えていったあなたの手は覚えているのに
あの時、あなたが叫んだ言葉が私にはどうしても思い出せません。

あの日から私は涙の枯れた子供になりました。







今回はとてもとても切ない展開でした。



子供のために。

このまま捕まる事は分かっていた。

でも、覚悟していたみたいですね。


だから捕まるまでの間
薫との思い出をせいいっぱい
自分と薫の心に刻もうとしていたみたいですね。


一方で文治さんは希和子=京子さんのことを気にかけてました。


文治さん。
私に関わってもいい事ないですよ。
私の人生にはこの先、いい事はないですから。
分かってるんですから。



そんな事はないやろ。
あんたには薫ちゃんがおるやないか。
あんたが俺の事、どう思っていようとかまわんよ。
けど、俺はあんたと薫ちゃんが好きだ。
なんかあったら頼って欲しいと思ってる。

俺はあんたと薫ちゃんを大事にするよ。

あんたを見とると不安で胸がちりちりするんや。
ふいにおらんなるようで。



ごめんなさい。けど一緒にはいられない。


なんでや。俺が嫌いなんか。


そして、文治さんが希和子の肩に手をかけたけど
希和子はそこから離れます。


文治さんの気持ちは嬉しかったんでしょうね。


このまま、彼にもたれかかっていたら
私は幸せなのかもしれない。


でも、同時に胸が痛くなったんでしょうね。


自分がこのような罪を隠している事に
申し訳ない思いがあったんだと思います。



それだけに文治さんと久美のお母さんが
彼女を庇おうとした姿を振り返るとたまらなくなります。


そして、希和子にとって「八日目の蝉」は希望の象徴だったのに対して
薫にとっての「八日目の蝉」は空虚や虚しさの象徴だったのが

二十歳になった薫の姿に如実に現われていました。




さて、次回で最終回。

薫は小豆島に向かい、あの写真屋さんに足を運んだようですね。

七五三さんではなく成人式ってとこでしょうか ̄▽ ̄

そこで涙が枯れたと言った彼女が流した涙の意味と

そして今、希和子はどこで過ごしているのか

ラストがとても気になります。

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この記事へのコメント

2010年04月28日 01:44
>希和子にとって「八日目の蝉」は希望の象徴だったのに対して
薫にとっての「八日目の蝉」は空虚や虚しさの象徴だった

そうですね~。。。
薫を涙が枯れた子供にしたのは間違いなく希和子の責任なんですよね。
ずっと幸せでいてほしい、と言う願いは、
普通の親なら誰でも持つ感情でしょうが
この親子の場合はちょっと違います。
全てが知れた後、本当に薫は幸せになれると希和子は
思っていたのでしょうか。
すごく勝手な夢のようにも思えてしまいました。

それでも、薫と一緒にいたいと願うその気持ちも
解るんですよね。。。複雑です。

来週、どういう解決があるのか。
どうすれば薫は本当の幸せを得られるのか。
楽しみに待ちたいです。
2010年04月28日 16:37
本当に切ない回でした。
島での幸せな日々、それがお母さんと引き離されてすべて終ってしまった。
薫にとっては時間が過ぎてもお母さんは希和子だけ。
恵津子の元に帰ってきてもそれは同じ。
恵津子の気持を思うと、いったいどうすればいいのか・・と暗澹としてしまうんですが、薫が求めているのは希和子だからなぁ・・
本当に希和子の罪は深すぎると思うのですが、薫が心から求めているのなら
行かせてあげるしかないのかもしれない。
どの道を選んでも全員が幸せということにはならないかもしれないけど、
薫には正直に生きて欲しいと思いましたわ・・
2010年04月29日 13:26
>あんたを見とると不安で胸がちりちりするんや。
ふいにおらんなるようで。

文治さんてば独特の勘がありましたよね。
本当にはかない雰囲気の希和子でしたし
不意に姿を消しそうな危うさが希和子の周りを取巻いていました。

で、ついにその日が来たのですが
不思議と女将さんや文治さんまでが情報を知っていて
逃がそうとしてくれてます。
親子が親子でいられるようにしてあげたかったのですが
それはできない事でした。
あれから15年ぐらい経ったということですね
薫の本当に会いたい人に会えたら
涙の枯れた子もまた生きる意欲を取り戻せるのではないでしょうか。
ikasama4
2010年04月29日 16:04
くう様
>薫を涙が枯れた子供にしたのは間違いなく希和子の責任なんですよね。
それはもう間違いないですね。

その希和子の身勝手さ故に
全く無関係ともいえる薫の人生が
翻弄されるのは悲しいです。

このまま「恵理菜」として生きる道がいいのか
それとも「薫」として生きる道がいいのか

二十歳になった彼女には
自分でその道を選ぶべきだと
私は思うんですがね。

ともあれ、どんなラストになるのか
私も同様に楽しみに待ちます。
ikasama4
2010年04月29日 16:05
きこり様
小豆島にいる人達から見れば
恵理菜=薫と希和子=京子は親子でしたからね。

それがああいうカタチで引き離されてしまった事に

5歳の薫では状況を理解するのに
何年もかかったのでしょうね。

それだけに彼女が受けた心の傷も大きかったのでしょう。

ただ、仰るように希和子の罪はどうであれ
薫も二十歳になった以上、後は彼女がどのような道を
選択するのかは自由ですからね。

>薫には正直に生きて欲しいと思いましたわ・・
今のところ、そこまで辿り着いてないみたいですから

それが次回で見れるのではないかと密かに期待しております。
ikasama4
2010年04月29日 16:05
エリ様
文治さんは希和子のまわりにつきまとう
影のようなものを感じ取っていたんでしょうね。

そして、文治さんは希和子にどんな罪があったとしても
彼女と薫と一緒にいたいって思ってるんでしょうね。

あれからおよそ15年

その後の文治さんに出会えるようですが
彼はどういう思いを抱えて生きてきたのか

それと共に

かつて過ごした島で
薫の心が救われたらいいですね。

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