Mother 第1話

鈴原奈緒は大学で渡り鳥の研究をしていた。

だが、突然大学が閉鎖され
鈴原奈緒は仕方なく小学校の教諭になった。


小学校の先生
その仕事は彼女は好きになれなかった。

何故ならば彼女は子供が嫌いだった。


その最初の授業で
つい最近、学校で飼っていたアヒルが亡くなったので

そのアヒルのために作文を生徒に書かせる事になった。


そんな中でただ一人
作文を全く書かない女の子がいた。


何故作文を書かないのか?


その女の子は言った。

あひるさんは字が読めないから

天国ってある?

土の中のこと?




書きたくなかったら
書かなくったっていいわ。

郵便屋さんも天国じゃ困るわよね。


女の子の言葉に対して奈緒は淡々と語った。









この時点で思いました。


今期一番の作品だと。


段違いの映像。

もうねぇ、映画を見ているような感覚でした。


これは他局は完全に差をつけられてますねぇ。








その女の子―――――道木怜南はちょっと変わった女の子だった。


怜南は奈緒に毛糸の帽子をくれた。


どうしてこれを?


アパートに帰った奈緒はその理由が分かった。

自分の頭に小さなハゲが出来ていたのをあの女の子は気付いたからだ。



その夜、喫茶店にいた奈緒の下に
道木怜南にやって来た。

そして喫茶店で晩御飯だからと
彼女はクリームソーダを頼んだ。



クリームソーダが一番好きなの。

違うわ、クリームソーダは食べ物じゃないわ。
飲み物よ。



先生って面白いね。
私の事、嫌いなのかな?


子供が嫌いなの

どうして小学校の先生になったの?

なりたくてなったんじゃないの。

その時、奈緒は怜南が持っているノートに気付いた。

怜南は答えた。
好きなものを書くの

嫌いなものを書いちゃダメなの

好きなものをずっとずっと考えるの

そしたら治ると思うよ。

先生の一番好きなものは何?


無口な子供。




その翌日、道木怜南は教室にいなかった。

道木怜南は保健室にいた。

どうも彼女は栄養失調かもしれない。
それに身体中に幾つかの痣や傷があった。

彼女は虐待を受けてる可能性がある。

母親か、母親と交際している相手か、それともその両方ともか。


奈緒は熱心な先生と共に仕方なく児童相談所に足を運んだが
確証がないと道木怜南を保護する事は出来ないらしい。


子供は親に媚びるしかない。


児童相談所も警察も学校も
誰も子供の事を親身になってくれない。

かくいう奈緒自身もそうだった。

みんな、見て見ぬフリをする。


その日、奈緒はとある大学の講師に
うちの大学に来ないかと誘われた。


その帰りに道路脇のポストにいた怜南を見つけた。


奈緒は怜南を自宅のアパートに保護した。



何見てるの。

怜南はテーブルにある食べ物を見ていた。


これ、スズにあげてもいい?
お腹すいてるの。


怜南は飼っているハムスターにスズと名付けていた。

怜南はハムスターに食べ物を半分与えると
残った半分は残すともったいないからと自分で食べた。



奈緒は怜南のために玉子焼きを作って食べさせた。

先生、料理上手だね。

お母さんもわたしが好きなものいっぱい作ってくれるの



お母さん、何作ってくれるの?


えっと・・・アサリのでしょ
あと・・・ミートソースでしょ
ほうれん草でしょ。


一生懸命、自分がお母さんに愛されていると
嘘をついている怜南の姿が痛々しかった。


もういいわ。
よかったね。お母さん。料理上手で。

でも、私は母親の顔も思い出せないわ。


ママの顔、忘れたの?

もう随分会ってないのよ。

どうしてなの?

嫌いだから。
ハムスター、飼ってもらったの?


前に。

そう。

苦手なの、こういうの。
私、いつも一人で食べてるし


好きなものの話をするんだよ。
好きなものの話をすると楽しくなるの。



好きなものなんてないわ。

知ってるよ。
先生の好きなもの、見つけた。




それは奈緒が研究していた渡り鳥に関する本だった。

奈緒はその渡り鳥の話を怜南に読んで聞かせた。



その日、怜南は奈緒のアパートにやって来た
三浦先生に連れられて自宅に帰っていった。




怜南が家に帰って来る度に
自分のモノが捨てられていた。

大好きな絵本。
大好きなおもちゃ。

そしてスズがいた篭も。


怜南はお母さんに尋ねた。

お母さん、スズは?
スズはどこ行ったの?



お母さんは答えた。


天国よ。
天国で幸せに暮らしてるの。



この時、怜南は悟った。

スズはもうこの世にはいないと。


私のせいじゃないんだから


そうだね。
鈴は天国に行きたいんだね。


そう言って怜南はせいっぱいの笑顔を作ってみせた。




それから間もなく
奈緒はアパートで怜南が自分の好きなものを書き綴った
ノートを見つけた。

そこに書かれていたもの


回るイス

登ってく坂道

御風呂場で聞こえる声

ネコと目が合うとこ
スズがひまわりの種を食べるとこ

雪を踏んずける音
夜の空の雲

クリームソーダ

傘が開く音

クレヨンの白
ワックスがけの日

煙突のはしご

衣替え

雨が降った道の匂い

自転車の後ろの席

耳かき

爪きり

ふたつ結び

よしよしされること

ギュッとされること

石けんのコマーシャルのお母さん





奈緒は怜南にこのノートを返そうと
怜南の自宅を訪ねたが誰もいなかった。

仕方なく帰ろうとしたその時
奈緒はゴミ捨て場にあるものを見つけた。


大きな黒いゴミ袋


もしやと思った奈緒は慌ててそのゴミ袋の中身を確認した

中にいたのは怜南だった。


そして、奈緒は気付いた。


この子は親に捨てられた。



奈緒は自宅で怜南を介抱した。

怜南は目を覚ました。





何か飲む?

何か食べる?

どうしよう。ねぇ。どこか行きたいとこある?

遊園地とか動物園とか



さっぽろ行きたいです。


札幌?いいわよ。


赤ちゃん・・・ポストに・・・行きたいです。
でも、ポストの写真がないの。



怜南が握り締めていた紙

それは赤ちゃんポストが書かれた記事だった。





翌朝、奈緒は怜南と一緒に渡り鳥を見に海岸に来ていた。





先生、何考えてるの?


うん?
あなたの好きなものの事



私の好きなものの事



回るイス

登ってく坂道

御風呂場で聞こえる声

ネコと目が合うとこ

ママがひまわりの種を食べるとこ

雪を踏んずける音
夜の空の雲


クリームソーダ

渡り鳥



その時、渡り鳥が海の向こうへ飛んで行った。


その渡り鳥を見て怜南は叫んだ。


怜南も連れてってぇ
怜南も連れてってぇ




そんな怜南を奈緒はきつく抱きしめた。





道木さん、聞いて。

私はあなたを誘拐しようと思う。


先生、牢屋に入れられない?

そうね。入れられるかもね。

牢屋は石で出来てるんだよ。
冷たくて寒くて暗くて
風呂にも入られないんだよ。

ダメだよ。


ダメな事しか出来ないの。
あなたをもっと悲しい目に遭わせるかもしれない。
でも、私はあなたのお母さんになろうと思うの。


先生じゃダメ?


4月1日、分かる?

明後日。

その日は嘘をついてもいい日なの。

誰も私とあなたと知らない場所に行くの。

誰にもバレないように
一生嘘をつき続けなければならない

誰にも知られないように
私の事をお母さんって言える?

怜南。
お母さんって言える?


・・・・・お母さん。
怜南のお母さん。


涙を流しながら怜南は奈緒をお母さんと呼んだ。


あなたは捨てられたんじゃない。
あなたが捨てるの。


奈緒は決めた。
今日から自分がこの子の母親になる。

怜南は決めた。
今日からこの人が私のお母さんになる。







それから二日後の4月1日



ある漁師は港に女の子がいた事に気付いた。


そして、しばらく目を離して
ふと女の子がいたその場所に目をやると女の子はいなかった。


海にはその女の子が身に着けていたマフラーと手袋が発見された。

母親の証言から
そのマフラーの持ち主のは道木怜南と断定された。




道木怜南が海に落ちて行方不明というニュースがテレビで流れていた。


そのニュースを奈緒は男の子の格好をした怜南と共に見ていた。



二人は上野行きの寝台特急に乗った。



席についた二人。


名前、考えなくちゃね。

名前はお母さんが決めるもんでしょ。

そうね。「つぐみ」
「つぐみ」なんてどう?


渡り鳥?

ダメ?

つぐみ・・・・・つぐみがいい。

つぐみ。

はい。


奈緒は怜南の髪をといてあげた。




お母さんもお母さんに髪をといてもらったの?

ええ。

じゃあ、どうして嫌いになったの?

お母さんには感謝してる。
ただ、こうして髪をとかしてもらうたびにいつも思ってた。

「すみません、すみません」って。

おかしいでしょ。
お母さんにそんな風に思うなんて。

私は拾われた子だから。
本当のお母さんに捨てられた子だから――――――。





最後まで見て改めて思いました。


今期一番の作品だと。




もう文句なしの出来栄えですねぇ。


群を抜いて映像も素晴らしいし
それに役者さんと物語が全然負けてないですね。



何故、奈緒は母親が嫌いなのか

それが最後の最後に自分が捨て子だからという衝撃の展開

だから、奈緒は怜南をいとおしく思ったんでしょうね。

かつての自分を見ているようだから。


それにしてもこの子役の芦田愛菜さんが上手すぎるT▽Tタマラン


そして、怜南のお母さんを演じた尾野さんもかなり強烈でしたね。


この流れからしておそらく田中裕子さん演じる女性が
奈緒の本当のお母さんなんでしょうけど

何故、彼女は奈緒を捨てたのか

そして彼女は奈緒の育ての母と会っていた

その理由も色々と気になるトコロです。


そして山本耕史さん演じる週刊記者も色々と奈緒に絡んできそうですねぇ。




追記(2010/04/15)
改めて思う。

これはこのままの質が維持出来れば間違いなく傑作になると。

NHKドラマ「八日目の蝉」と似たような雰囲気があったんで
それと比べて楽しもうかなと思ったりしたんですが

そんな自分がなんとおこがましいかとさえ感じられました。


まだ、今期の作品を全部見た訳ではないですが
今期の中では格段に突出しています。


渡り鳥の映像もさることながら
室内の映像から、その部屋のけだるさとか
冷たさとかぬくもりとかが伝わってくるし

カメラワークも主人公の視点、子供の視点と
視点の高さを上手く変えているところとか

シーンのひとつずつが丁寧に作られていました。

それでいて怜南を演じる子役の演技がこれまた実にすんばらしい。

これは役者・演出・音楽・映像・脚本・カメラワーク

どれをとっても洗練された素晴らしい作品だと思います。




もう水曜の夜はこの作品が楽しみでなりませんね ̄▽ ̄b

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この記事へのコメント

2010年04月15日 08:12
何か、凄いものを見たというか、日テレ水9枠の
底力を見せつけられたという感じでした。

脚本、演出、映像、演技・・・すべてに圧倒的。

芦田愛菜ちゃんてまだ五歳なんですよね。末恐ろしい。

倉科カナさんが出るから・・・なんて程度で見たら
根性叩きのめされましたよ。

ただこのクオリティ維持できるか。不安ではありますが。
まあこの初回で終わっても、これはこれでいいかなってくらい
素晴らしかったです。
もも
2010年04月15日 13:29
そう・・・ワタシも全く同感です。
「八日目の蝉」と似てるのかな?と思っていましたが、逆に裏切られました。
すっごい子がいるもんですね~~ 5才であんなにできるなんて!!!

赤ちゃんポストのシーンでは涙が止まりませんでした。
身勝手すぎる大人の犠牲になる幼い人たちが多すぎることに憤りを感じます。
2010年04月16日 15:46
「八日目の蝉」とは似ているけれど出発点が違うというところで
別のドラマに仕立てあげていましたね。
私はどちらもそれぞれ興味があり面白かったです。
そうそうあの子役ちゃんの凄さがあちこちで賞賛されていて
この調子でいったらすばらしい女優さんになりそう!

奈緒とつぐみのこれからが親子らしい交流ができる事を祈ります。
今まで母親にしてもらえなかったことを
思いっきりしてもらえたらいいですね。
ikasama4
2010年04月16日 22:18
タカシ様
そうでしたねぇ。
>脚本、演出、映像、演技・・・すべてに圧倒的。
正しくその通りでございます。

次元が違いました。

>ただこのクオリティ維持できるか。不安ではありますが。
それがたしかにあります。
まずは第二話を見てからその辺が
見極められるんじゃないかと思います。

個人的にこの回を映画にするだけで
十分収益があがりそうな気がします。
ikasama4
2010年04月16日 22:18
もも様
本当に素晴らしい作品でした。

母親から逃げたいがために
怜南が思いついたのが
赤ちゃんポストというのが
たまりませんでした。

最近、親の身勝手な振る舞いで
子供が死んでしまう報道がありますが

そこから逃げ出したい子供の叫びが
この作品を通して伝わってきます。
ikasama4
2010年04月16日 22:18
エリ様
そうですね。
「八日目の蝉」と似てるけど
「八日目の蝉」は希和子の身勝手な思いから
物語が始まるのに対して

この作品は虐待を受けている児童の
切なる声から始まるのですからね。

その時点で物語が与える重みが違います。

それだけに私も
この二人、特に怜南ちゃんには
幸せになって欲しいと思います。
2010年04月17日 01:34
ikasama4様、こんばんは。

表の顔と裏の顔みたいなことを
つい漏らして墓穴を掘っていた脚本家が
墓穴から這い出して来たという趣がございますね。
「わた教」の時も最後までこのテンションで
できるのかと毎回ドキドキしていましたが
終ってみれば大傑作。
21世紀のドラマ心のベスト10に入っています。
もちろん・・・お茶の間の評価とは別に・・・。
今回もそうなったらいいなぁと考えておりまする。
2010年04月17日 07:34
ikasama4さん、おはようございます!

ご無沙汰しています(^^;
今期は気になるドラマがいくつかあるので、また交流出来るかな?
キッド社長とikasama4師匠には付いて行かなくては(爆)よろしくです!

そうそう・・・八日目の蝉に似てますよね。
見ててとっても辛かった。
最近多いですよね、自分の子供を虐待する親が(^^;
子供が健気で・・・健気で・・・自分から赤ちゃんポストに行きたいなんて。
あの子役・・・5歳なんだ・・・ビックリです!!!
どんなことがあっても、母親のことを悪く言わない子供(涙)
奈緒と母親の関係も気になるし、これからどうなるのか目が離せない。

数字的に今ひとつでしたが、私は見続けます。
2010年04月17日 10:48
>今期一番の作品だと。
わぉ!初回で言い切っちゃいましたね。
確かに仰る通り!でも、
私の場合はイケメンにも左右されますので(ノ∇≦*)キャハッッッ♪

映像はキレイでしたね~。映画を観てるようでした。
暗いテーマなはずなのに、
重苦しくならず引き込まれましたから。
さすがの魅せ方!

とにかく子役には驚きましたね~。
二人が惹かれ合う流れも上手く魅せてくれました。
そちらが素晴らしすぎて、
あの鬼畜な男女に対して怒りは湧き起こらず、
ただ呆れて見てただけで済んだし。
いつもなら腹立たしく思えるはずが、不思議でした。
あの三浦先生と言う人間のが怖かったかも。

ドラマ初回週間で慌ただしいですが、
今日(土曜日)はまた忙しいじゃないですかぁ。
あれもこれもって、しかもSPで。
1本、昨日にしてくれたら良かったのにぃ。
ikasama4
2010年04月17日 19:38
キッド様
こんばんはです。
多分、局の雰囲気と役者との関係によっても
この脚本家の作品の出来は左右されるような
気がしますね。

「わた教」あれは私の中でも強烈に印象に残る
傑作のひとつでした。

でもって、御茶の間はいつも置き去りですがw
私も今回の作品も傑作になればいいなと
考えております。
ikasama4
2010年04月17日 19:38
アンナ様
こんばんはです。
でもって、御久しぶりでございます。
今期もよろしくお願い致します。

昨今は子供を虐待したり
他愛もない理由で家族の子供を殺害したりと
いたたまれなくなる事件が多いです。

>どんなことがあっても、母親のことを悪く言わない子供(涙)
そこに母親から逃げたいという思いが複雑に入り混じってるのが
たまりませんね。

これは数字はともあれ
かなりの名作になりそうです。
ikasama4
2010年04月17日 19:38
mana様
役者さんやスタッフさんの意気込みが
違うのが感じられましたからね。

これはもう言い切っていいです ̄▽ ̄ゞ

この水曜枠は時に映画を見ているような
感覚に陥る事があったんですが

これはもう最初からそんな感じでした。
そうそう、それでいて重苦しいテーマながら
主人公が少女の気持ちを受け止める事で
物語に救いがあるんですよねぇ。

>あの鬼畜な男女に対して怒りは湧き起こらず
ああ、なんとなく分かります。
どちらかというと諦めですよね。

言って分かるもんじゃないですからね。

あの三浦先生もどう言葉では語っていても
結局は彼女もまた他の人同様自分が可愛いという事ですね。

さて、土曜日は結構てんこもり(; ̄∀ ̄)ゞ

>1本、昨日にしてくれたら良かったのにぃ。
つくづくそう思います(; ̄∀ ̄)ゞ
2019年06月06日 05:58
I read this post fully about the difference
of most recent and previous technologies, it's remarkable article.

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