JIN-仁- 第6話

医学館から客が来た

医学館は漢方を中心とした治療を行う日本に昔から伝わる医学
そこに蘭学を主体とする蘭方医が

医学館から来た使者は
俺の事に関心を寄せた医学館の方々が
俺に会いたくて医学館に来て欲しいという。



そうして医学館で医学館の方が腹痛で倒れた。

俺はその患者の診断を行った。
胃潰瘍により胃に穴が空いた事が腹痛の原因だと考え

すぐに開腹して胃の穴を埋める手術を行った。



この時代、腹を切り開くという事は
切腹と同じものであり、この時代に生きている方にとって
腹を切る事は死を意味していた。



だが、相手方の医師の同意もあり手術は無事行われ、患者は助かった。





ここに来て半年以上が経っていた。


ペニシリンを作り出し、それによって
多くの梅毒に苦しむ患者を救ってきた。

でも、どんな生々しい事でもどこかリアルに感じられない

もしかしたら、俺は夢の中にいるんだろうか。
永遠に覚める事のない夢の中に。

もし、斬られればこの血は流れるのだろうか―――――。



ふと、坂本さんが自分に話しかけてきた。



先生は今、光り輝いちゅう。

光があれば、影が出来る。

嫉妬と憎しみによる暗い影が。

先生、気をつけんといかんぜよ。

暗闇でバッサリといかれるかもしれんきのう。




死――――その言葉にこの時の俺は死に対する実感がなかった。






それから間もなく佐分利さんに女郎殺しの容疑がかかった。

しかし、彼はその女郎の腑分けをしていたのだと言う。

佐分利さんは生前の女郎の病気を診断していたのだが
その女郎は治療代を払う金がなくて、それで自分の死後は
腑分けをしてその代金を払うよう、文に書き記していたのだった。

だが、この時代、腑分けは公儀に願い出る必要があった。

佐分利は彼女の好意で腑分けをしたとはいえ
独断で腑分けをした事は許されるものではなかった。


緒方先生は佐分利さんを
己の技術の向上のためだけに腑分けを行った事で叱り付けた


「道を開くという事は自分だけの逃げ道を作るという事ではない」




その時、俺は思ったんだ。



もし、俺が医学所でペニシリンを作ったりしなければ
緒方先生や佐分利先生はこんな事になったんだろうか?


これは俺が招いた歴史の混乱だ。



翌日、俺は医学所を辞める事を緒方さん達に伝えた。



それが国のため、道のため
何より「これから」のためなのだと。



そうして、医学所を去る俺に坂本さんが怒鳴ってきた。




何でじゃ?
ここにおれば、その医術を広める事がいくらでも出来るじゃろ。

ありもせん責めを負いどこをどうしたら
そんな風になってしまうんぜよ。

先生には欲っちゅうものが全く見えんぜよ。

人間はよく深いものじゃ。

人のために生きるという医者も
一皮むけば、金が欲しい、名が残したいというやからばかりじゃ。


その欲があるきにわしはやっていける。

欲は生きる源じゃ。

でも、先生はまるで仏じゃ。

人であるならば、死人じゃ。


わしは心配なんぜよ。
何の欲ものうて、殺されるというてもぽかんとしてる先生が。








この時、初めて分かった。
俺にはこの世界に対する執着がない。

だから、指針などないような仏のような事が出来るけど

それはこの世界で何一つリアルに感じられないんだ。




その翌日、俺はいつも護衛に来ていた坂本さんと恭太郎さんに
遠慮してもらい、一人で医学所に行く事にした。





その道先で俺は誰彼ともしれぬ一人の武士に斬られそうになった。



死ぬかもしれない。


その時、俺の窮地を救ってくれたのは咲さんだった。



咲さんは俺の手を引っ張り安全な所へ匿ってくれた。



死ぬかもしれない。

そう思った時、俺の手の震えは止まらなかった。


刺客が去ってからも、俺の手の震えは止まらなかった。



ついさっきまで死を感じなかったこの俺が。



当たり前です!


そんな俺を咲さんは叱り付けた。


先生は生きておられるのですから。

死んでも平気だなんて二度と・・・・・



そう語る咲の手も震えていた。


俺は咲さんの手をまだ震える手で握り締めた。


そうですよね。
私はここで生きてるんですよね。

ありがとうございます、咲さん。
ありがとう。





いえ、お礼なら野風さんに。


野風さん?



事の次第は今朝、咲さんの下に届いた文からだった。



そこには誰彼ともしれぬ者が
俺の命を狙っているというものだった。


あなたはあちきが羨ましいと言った。

でも、あちきは咲様が羨ましい

穢れを知らぬ真っ直ぐな心

何よりその身の上が

好いたお方の傍に己の足で向かう事が出来るでしょう。

あちきには叶わぬ夢でござんす。

どうか、先生をお守り下さい




そのことを知った俺は野風さんにお礼の文を書いた。



あの丘に行くと写真は前の状態に戻っていた。




一歩後退か―――――。




そうして、着物にしまおうとした際
ふと何かが入っている事に気付いた。


それは未来に存在するはずの10円玉

その10円玉に刻まれていたのは「平成二十二年」

平成二十二年=2010年

自分が生きていた時代よりももっと未来の時代

そんなものが何故ここにあるのだろう?












この時代に生きている実感を感じた南方でしたが

全ては南方を狙う輩の存在があっての事で。



異国からやってきた蘭学という医術はいわば新参者

それがこの国に昔からある医術にとっては

蘭方医が活躍すれば、するほどに自身の活躍の場を奪われる訳で

それによって憎き敵になる訳ですが


それは同じ蘭学の中にあって

誰がその権力を握るのかという点では
南方という新参者は憎き敵であり

緒方洪庵も元は招聘されてこの医学所にやってきた新参者なので

これまた医学所を発足した方にとっては同じく厄介者・憎き敵になるという訳で。


同じ場所で働く者なのに、と思う訳ですが

これがどうにもねぇ┐(; ̄∀ ̄)┌


今も昔もこういうのはあるもんですね。





今後はそうした医学所内での争いがメインになってくるんでしょうけど

一方で恭太郎とあの女郎の初音との関係も出てくるんでしょうね。








それからまだ登場していませんが
新門辰五郎役の藤田まことさんがご病気のため、降板され
代わりに中村敦夫さんが演じる事になったそうです。


藤田さんの病の回復をお祈り致します ̄人 ̄

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この記事へのコメント

2009年11月15日 23:38
このドラマって、物語の軸もしっかりしてるんですけど、
登場人物の吐くセリフに、魂がこもってるように思えるんです。
だから、どの人物も生き生きとしていて、その生き様に、ぐっとくるんですよね。

大河の品格を地に落とした某脚本家も、いつまでも上っ面だけ描いてないで、このドラマを観て、人物の描き方をちっとは学べばいいと思います。
2009年11月16日 00:31
同じ医学所内だと言うのに、仁を狙う者がいる。。。
嫉妬とか羨望とか、やっぱりありますよね~。
人間生きているからこそですよね。
仁は命を狙われて初めて生きている事を実感する。
過去に飛ばされて、いきなり英雄のように扱われて、
現実のように思えないのが当然。
そこら辺にドラマのリアリティを感じます。
よく錬ってるな~。。。とホント感心(こっちは感動ね^^;)しますわ~。

藤田さんの降板、残念です(>_<)
2009年11月16日 07:25
おはようございます♪

この時代に生きてる実感がわかない南方先生を心配する咲さんと龍馬が
良かった。とくに咲さんが南方先生を勇敢にも助けた後の震える手がね~
可愛くてね。
咲さんの健気な姿に毎回グっときてしまいます。
平成二十二年がいつなのかわからなくてネットで調べる私って(^^;
あの10円玉の意味は何でしょ?
SFurrow
2009年11月16日 07:29
「相棒」もそうですけど、最近のドラマは、最後のクレジットが始まってからも油断が出来ないですね。昨夜は、名前が出始めたので、うっかりちょっとよそ見をしていたら、仁先生が10円玉を眺めているシーンになっていて「何?予告編?」とか意味わからなかったんですけど、こちらのレビューでそういうことだったのかとわかりました
でも結局10円玉の謎は持ち越しということですね?(引っ張り方がうまいなぁ)
藤田さんの新門辰五郎は楽しみだったのに残念。NHKのモックンの慶喜の時の堺マチャアキさんといい対比になったと思うんですが。中村敦夫さんも悪くはないけど、藤田さんのほうがツボで笑わせてくれそうだし、関西人が生粋の江戸っ子を演じるという事でご本人も気合を入れて準備されていたでしょうにねぇ。一日も早いご快復をお祈りします。
庵主さんのブログで師匠が「来週は9時からはTBSを見るので」とキッパリおっしゃっていたのが面白かったです(^O^)
ikasama4
2009年11月16日 19:13
すばる様
そうですね。この登場人物は
このドラマの世界に生きてるって感じが
伝わってくるから、そのセリフとかに共感し
ハマったり出来るんでしょうね。

今年の大河には今更ですがね。
原作の悪さにそのまま脚本が悪くしてもうたって
とこですね┐(´ー`)┌
ikasama4
2009年11月16日 19:13
くう様
突然、現われた男がその医学所で急に
出世していくとなると

それに対して僻み、妬み、憎しみを持つ
人が出てくるのは仕方ない事ですね。

一方、神にまで祭り上げられた南方が
今を現実に感じられないのも当然ですね。

ホント、そういうところはよく考えられてます。
原作の部分を上手く生かしてますね。
ikasama4
2009年11月16日 19:13
アンナ様
こんばんはです。
そうですねぇ。
龍馬や咲さんの言葉は心に響きますね。

あの手を握るシーンは二人の絆が
更に深くなったってとこが伝わってきます。

あの10円玉は写真の日付が
変わらなかったってとこを基準にすれば

1.自分以外に平成22年から来た人がいる
2.南方が平成22年に行ってまた戻ってきた

こんなとこでしょうかね
2.だとシーズン2に続くってっ展開が
ありそうです ̄▽ ̄
ikasama4
2009年11月16日 19:14
SFurrow様
10円玉に関しては引っ張りますよねぇ。
平成22年=2010年
つまり来年という事でこのドラマは来年も
続くよって言ってるような気もしますが
全ては持ち越しですね。

ホント、最近のドラマはクレジットも
油断が出来ませんね。

私も藤田さんの新門辰五郎さんは
楽しみにしていただけに残念です。

笑いを取れるという点ではやっぱ藤田さんですね。
でも、こないだの映画「BALLAD」での
中村さんは結構コミカルだっただけに
意外に適役かもしれません。

いやぁ今年の大河とどちらを選ぶかって言われたら
迷わずこれです ̄▽ ̄ゞ
2009年11月16日 20:33
開腹手術も、今の世界では当たり前のように
感じてましたが、確かに手で触れただけで
病状がわかったり、ましてや腹をかっさばいて
内臓をいじくりまわすなんてこたぁ、当時に
すればびっくりですよねー。
色んな事柄を経て、今の時代があるんだなぁと
しみじみ・・・
そして目指す道は違えど、当時の人々の
志の高さに感動でしたわ~♪
自分の命も顧みず、仁を助けた咲の勇気や
野風の心遣いにもうるうる・・・
と、余韻に浸る間もなく、平成二十二年の10円玉が
登場だなんて、イケズやわぁ~(笑)。
ikasama4
2009年11月16日 21:16
まこ様
そうですねぇ。
今でこそ当たり前とか常識に思える事も
当時はそれが当たり前でも常識でもなかったと
なると、色々とそこに辿り着くまでに
今から見ると非常識な事もやってきたようですからね。

でもって
仁に対する恋敵的存在の野風と咲ですが
仁の危機に対して必死になって彼を救おうとする
二人の思いにはヤラれますね。

そして平成二十二年の10円玉
ホント、イケズですねぇ。

もしかすると来年(平成22年)予定の続編への
伏線かもしれんですね ̄▽ ̄ゞ
2009年11月18日 09:53
仁の語りがいいですね~。
心の声がそのまま伝わって来ます。

これが現代だったなら、
自分が招いた歴史の混乱なんて考えませんもんね。
当たり前なんですけど。
こうしてればこうなった…
あ~しなければこうならなかった…
そういうことは反省として振り返る程度でしょ。
あの時代で生きるってことは、歴史を知ってるだけに辛い。
もう開き直るしかないでしょ。
これで「生きてる」ってことが分かった訳ですしね。
洪庵を治すことは出来ないんですかねぇ。
龍馬を助けることは出来ないんですかねぇ。
そういう歴史を変えるのは許せる!(笑)

仁がもっと先の未来へ行って来たなんて想像するだけで
ワクワクするじゃないですかぁ♪
このドラマ、本当ハマリますね。
この人気ぶりで、続編を考えない訳がない…TBS(^_^;)
ikasama4
2009年11月18日 20:32
mana様
仁の言葉は淡々としているものの
彼の心情が綿に水がしみ込む様に
伝わってきますね。

たしかに自分の人生で考えるとすれば
「たら」「れば」の連続ですね。

歴史を知っていたらやり直せる事とか
いっぱいありそうですしね。

まぁ龍馬を助けたとしても
歴史が大きく変わる事はないって言ってたから
誰かが龍馬の代わりに死んでしまう事も
ありそうですね。

まさか、仁がその身代わりに・・・(; ̄∀ ̄)ゞ

とかありそうですね。

たしかにここまでくると
続編の可能性が大ですね ̄▽ ̄b

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