風のガーデン 最終話

9月7日
内山妙子の下に今でも愛し続ける方からの手紙が届く。



ご無沙汰しております。

私の携帯電話は過去と共に地中に埋めました。

大天使ガブリエルはまだかろうじて生きております。


先日、全く思いがけなく
娘の結婚式の介添え役をしました。

といっても全くの道化です。

私は気付いていました。
これが偽の結婚式だという事に。

私がつい口走った
私の夢を無理矢理現実に移してしまったのです。


しかし、親父も友人も見事にみんな真剣でした。


その真剣さにやられたのか
私は途中で本気で感動し、涙を抑えるのに必死でした。


その時の私は死にかけの病人ではなく幸せな花嫁の父でした。


本当に本当に最高の時間でした。

明日から実家に帰ります。

生まれた家で死を待つつもりです。





9月20日
内山妙子は貞美がいる富良野の地を訪れた。
彼の世話をしたいために。


貞美の姉が彼女の応対をした。

妙子が名前を名乗ると一瞬の間があった。

彼女は妙子の事を知っているようだった。



間もなく妙子は貞美の父・貞三と話をした。


貞三は妙子の申し出を丁重に断った。

貴方のお手伝いはとてもありがたい。

しかしながら、それはお受けしたくはないのです。

別に貴方と貞美との過去の関係を言っているのではなく。


息子はすっかりやつれて寝たきりになっています。
そんな姿を誰にも見せたくないのです。


患者は慣れ親しんだ場所で
家族と一緒に戦う事で一番安心出来るんです。

恥を申しますがうちは長いことバラバラでした。

でも、あいつの最期を一緒に戦う事で
家族がはじめて結ばれつつあります。


だから最後まで私たちだけの手で
戦わせて欲しいのです。



内山妙子はそれ以上何も言えず富良野の地を去った。







病床にある貞美は父に語る。

父さん、家庭っていいもんですね。

中学生だった頃
ぼくがダダこねてこの部屋にテレビ入れてくれって
テレビを買ってもらった。

初めてこの部屋でテレビを見た。

一人で笑いながら見てて
突然ふと寂しくなったんです。

不思議な強烈な寂しさだった。
誰も一緒に笑ってくれない。

笑ってくれる者が一緒にいない。

情けない話ですが泣いたんです。

その時、僕はみんながいる居間にすっとんで
もうテレビなんかいらないって言おうと思ってた。

それは僕が自分から家庭を捨てた日だったって思うんです。

この前、岳とルイから裸足になろうって言われて
裸足になって歩いたんです。


土の上を二人と手を繋いで。

あいつらの手の温かさ、柔らかさ

気付いたら涙が溢れ出してた。


僕は何も知らなかったんですね。

何も知らずにあいつらに何もしてやれなかった。



過去形で言うのはまだ早いよ。

これからキミは最期の戦いを
見せてあいつらに勇気を教えてやるんだ。



そうですね。

岳には見せられんがルイには見せてやれ。

そうですね。

本当にその通りだ―――――。








そして10月1日

貞美は息を引き取った。






富良野の地に秋が訪れ

冬が訪れる。









12月23日


エリカの店に貞三が客として訪れていた。


エリカは貞美の生前葬の事を話した。

貞三は笑った。

息子は喜んだ事だろうと。


その時の貞美はバカウケして涙を流す程笑ってた。

でも、その時の自分達は知らなかった。

その時、彼が流した涙と笑顔の意味を。


本当の事を知った時
みんな顔が真っ青になっちゃって。


そういやぁ、あの結婚式の脚本を書いたのはあんたでしょ?

貞三が話題を変える。


でも、あいつ気付いてたんじゃないです?


そうですね。
知っててあいつ、協力してくれたんです。
あいつは元々ジョークを言ったりする事が大好きだった。



おじさん、寂しくありません?

それこそ悪いジョークですよ。
死ぬ順番が全く逆です。

―――――あなたのお父さん、亡くなられて何年になりますか。


再び貞三が話題を変える。

去年で13回忌になります。

私はあなたのお父さんにすごい怒られて土下座した事があります。

そういやぁそんな事がありましたね。
あの時はすみませんでした。


仕方ありません。
みんな、倅がやった不始末でしたから。



あの時、大変だったと思っていた出来事も
今となっては笑って語り合える二人。

その出来事の中に「あいつ」がいたのだから。













そして風のガーデンにまた春がやってきた。



いつものように風のガーデンに向かった岳とルイ。




すると突然岳が走り出した。




岳を追いかけるルイ。



突然、岳が立ち止まった。



そこで二人が見たもの。


あの世から父が送ってくれたサインが一面に咲いていた。
















見ていてただただ切なくなりますね。


結婚式を回想のような演出にしていくとこにもヤラれましたし

内山妙子と貞美の関係を
姉が名前を聞いて分かっているくらいですから

当然貞三も分かってはいるのですけど

それはそれ。これはこれって感じで
あくまでも家族で向かい合いたいという家族の代表としての思い



それから貞美が中学生の時に
部屋にテレビを買ってもらって一人で見ていた時
ふと寂しさを感じた瞬間とか。


ここは自分も貞美みたいに思ったことがあります。

うちの親父とかはいつもチャンネルを独占してて。

それが嫌で親父と距離を置いていたようなとこもあります。



そういう点では自分も家族を捨てたのでしょうね。

でも、父親の病気がきっかけで
皮肉にもバラバラのようだった家族が一丸となって戦っている感じはします。


家族ってそういうもんかもしれません。





また、ドラマでは「カンパニュラの恋」を歌う平原さんの姿に涙を浮かべてました。

以前、この曲を歌う彼女を見たら、私を思い出してくれる?
って約束を貞美は忘れてなかったのですからね。

押し花でカンパニュラの名を聞いた時
予想が出来たんですが、あれは反則ですね(T▽T)


なんか黒木メイサさんが平原さんのPVに出演してるような感じでもありましたが(笑)

それにしてもあの曲の歌詞はこの季節に合いますね。

この曲を聴くとこのドラマの世界観が蘇ります。





そして、最後のあの花。

キャンピングカーがあった場所の周りに見事に咲いていました。

あれはもう予想していたとはいえ
キャンピングカーがあった場所には全く咲いてなかった事から

これはもうどれだけの時間をかけたのだろうと思ったりもしますね。


まさか、キャンピングカーの形になるように
あの花を引っこ抜いたと邪推をしてしまう自分をお許し下さい(-人-)



それと最後のエンディング曲


あれは貞美の妻が大好きだった曲でしたからね。


この辺りの曲選びも素晴らしいですね。






人が辿る人生というものを真正面から丁寧に描いた作品でした。

さりげない静かな演出が見る者の心を大きく動かしてくれます。

とても美しい作品でした。




ちょっと気になったのは最後の仔犬ですかね。
「ホタル」を彷彿とさせたかったんでしょうけど

あれはちょっと余計だったかもしれません(; ̄∀ ̄)ゞ









そして、緒形さんがまた素晴らしかったです。





たいしたものではありませんが改めて。






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この記事へのコメント

2008年12月19日 01:49
>さりげない静かな演出が見る者の心を大きく動かしてくれます。
>とても美しい作品でした。

それに尽きますね。。。
大袈裟じゃない演出や、役者さんの静かな感情表現、
厳選された音楽、そして風景。
全てが美しかったです。

泣かせようとされなくても、心が揺さぶられるドラマでした。

難を言えばCMが邪魔でした^^;
ま~。。。民放だから仕方ないわけですが。。。

2008年12月19日 10:22
ikasama4さんの字がうまい!ホントに男性ですか?(笑)

久しぶりにいいドラマを見た気がします。
余韻がすごくて、今も頭の中に平原綾香さんの歌声が流れてます。
時間が経てば経つほどウルっときてしまいます。
俳優陣がみな素晴らしかったです♪
ikasama4
2008年12月19日 12:51
くう様
>大袈裟じゃない演出や、役者さんの静かな感情表現、
>厳選された音楽、そして風景。
>全てが美しかったです。
正しくその通りですね。


だから泣かせる演出なんて必要ないんですね。

ありのままにあるがままに物語を見せる。
そして、見る者の心にその思いを届かせたい。

それだけで心が揺れ動きます。

ありのままの自分
あるがままの自分

これが一番役者さんには難しいのかもしれません。

>難を言えばCMが邪魔でした^^;
これはたしかに言われてみればその通りかも(; ̄▽ ̄)
ikasama4
2008年12月19日 12:52
アンナ様
>ikasama4さんの字がうまい!ホントに男性ですか?(笑)
字、特に私が書いた仮名とかを見た方から
かなりの確率で女性と間違えられますが
間違いなく男性です(; ̄▽ ̄)ゞ

これは今期の中で1,2を争う出来栄えです。
私もあの歌声を聴くと
あのドラマの情景が浮かんできます。

どこをとっても素晴らしい作品です。
しとろえん
2008年12月20日 00:08
しびれますよ。エゾエンゴサクも、雪景色全景も。ただの富良野の自然ではありません。ドラマを見せることで予測みたいな下世話な神経でドラマ自体をつまらなくしてしまった二時間サスペンス粗製濫造の後遺症が定着してしまった現在に、「ドラマチックとはこういうことだぜ、坊や」とニヒルに笑みを浮かべて去って行った、そんなダンディズムも感じます。
あの主題歌が鎮魂歌である事は予想も出来たはずなのに、なぜか毎回無心で余韻をかみしめていた時間になってました。余韻であり主題歌であり、ラス前の挿入歌、そして愛すべき亡き主人公に向けた愛のこもった鎮魂歌であると。深すぎて、深すぎて、「夕陽の顔面」も「あのヨォ」もあの状態では深すぎて時が心に染み込んでいく感じです。
そのすばらしい世界を作り上げた作家さん、ついていったスタッフさん、そして真剣勝負の役者さん。そして宝物を下さった緒形さんに愛と感謝の祈りを捧げます。
ikasama4
2008年12月20日 03:05
しとろえん様
最近はなんかドラマに対して
ターゲットとしている視聴者の年齢層が
低下していて、それと共にドラマの質も
低下しているような中で

この作品に出会いました。

切なさと悲しさの中に温かさがある。

そういう入り混じった思いを
意図的に作り出すのではなくて

ありのまま、あるがままのカタチで
見せようとする姿勢が素晴らしいですね。

ものづくりの職人さんを見た思いです。
本当に素晴らしい作品です。

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