キャットストリート 第2話

あの日から私は言葉を失った。
あの日、落ちてきた闇の中に今もまだ立っていて






自殺する気?
そんな気がないんなら端っこに来い。




そこから私を引っ張り出した男がいた。

未だにあの時の事を気にする私に男はこう言った。



あんた、自意識過剰すぎ。
昔は有名人でも今は俺らと一緒じゃん。




「俺らと一緒」



その言葉が何か新鮮だった。





翌日
私がリビングにいくと家族の会話は止まる。


私の日常はいつもここから始まる。




そこから私は抜け出したかった。




そしてまた今日もここに来てしまった。


誰でもいいから話をしたくて。




そこで紅葉から浩一っていう
すっごいナマイキな事を言うあいつが
1年間病院に入院していた事を知った。



やっぱ来たか。


その話をしていた時に
その噂の浩一―――昨日の男がやってきた。



他に行くとこもないしな。




・・・・・相変わらずイヤな言い方をする。



思わず私は彼の過去が気になって聞いてみた。



1年間入院してたってどうして?


人に聞くな、そういうこと。

人が話すまでは聞くな。

自分だって聞かれたくないだろ。

何で15分、舞台で黙ってたか。



・・・・・その通りだった。


私はまた昨日みたいに
逃げるようにそこから立ち去った。





その帰り道、私は妹・知佳を見かけた。




妹は友達に強請られてた。



私は妹に思い切って尋ねてみた。



今までも色々あったの?

私の事言われて強請られて―――





今更何言ってんの?
知らないの。

あんたの妹ってだけで私がどう思われてきたのか。

父さんも母さんも御姉ちゃんに夢中
学校行ったってずっとあんたの妹だって比べられる。



やっと全然違う学校に入って
やっとあんたから自由になれるって
そう思ったのに。

昔の方がまだマシだった。

今のあんた、最低だよ。

あんたみたいなクズのために
私はずっと苦しんできたの。

それなのに御父さんも御母さんもあんたの事が心配。

どんなに頑張っても追いつけない。

お願いだからもう私の邪魔をしないで!







ごめんね、知佳。
ごめんね。













それから私は大洋のとこへ行った。

こないだの事をちゃんと謝ろうと思って。

あんな事言ってしまったのは
私が大洋をうらやましかったから。
私にはない夢を持っている事が。


そうしたら大洋がこう切り出した。


「青山、おまえに渡したいものがあるんだ。」



・・・これ、何?



それは小学校の時
タイムカプセルに入れようとして忘れてた瓶。


そこに私の夢があった。




そこにはこう書いてあった。




『わたしのゆめはじょゆうになることです』



「おまえ、夢あったじゃん。」



――――違う。これは私の夢じゃない。

親から押し付けられた夢。

だから私の夢はない。








そして大洋は小学校時代の自分の夢を切り出した。

「ひとつはサッカー選手になる事。

もうひとつは
青山と好き同士になる事。


誤解すんなよ、昔の話だよ。

俺、青山のことが好きだったんだ。」








その日の私は足取りが軽かった。

夕日は泣きたくなるくらいにキレイで。

あの日以来
私は初めて明るい空を見上げている自分に気付いた。







それから私はまた、ここに来た。


昨日とは気分が違った。


いつものように紅葉が話し掛けてくれる。


私は彼女に聞かれた。


「好きな人、いる?」って


私には好きになる事がどういう感じか分からない。


「その人の事を考えると気分が明るくなる感じ」って言ってた。



そういう人だったらいるかもしれない。



すると、紅葉は乗り気になって今から大洋に会いに行こうと私を引っ張った。







紅葉は見ず知らずの大洋に元気に手を振る。

私は恥ずかしくてそんな事が出来ない。




そんな私の行動に
紅葉はもっと積極的になろうと言った。



スポーツをやってる男は弁当に弱いんだからと
弁当をつくる事を勧められた。





それで私はとりあえずおそるおそる弁当を作ってみた。





ちょっとおめかしをして
フリースクールのみんなと大洋のサッカーの試合の応援に行った。


試合の前半が終わった後
大洋は私を見つけると、手を振ってくれた。


「青山、応援ありがとな!」



私もおそるおそる手を振りかえした。




そして、おそるおそる私は弁当を大洋に渡そうとした。


でも、結局渡せなかった。






ま、でもまた次を頑張ればいい。


そう思ってた。







大洋には彼女がいた。







私はバカだ。




好きだったって事は好きとは違うのに


私の時間は10歳で止まってた。


大洋の時間はずっと動いてた。

それだけの事。

やっとやっと少し楽になれたのに。


大洋に好きだって言ってもらえて
7年間暗かった生活がちょっとだけ明るくなって。
ようやくちょっと生きるのが苦しくなくなって。


私なんかでも生きててもいいのかなって。

なんかできる事があるのかもしれないなって。

甘く考えてて。

でも、またおいてかれちゃった。
私は役立たずで生きてる意味なんかなくて。


そんな自分が嫌だ。


だからここから飛び降りて死ねたら楽になれるかも。





甘えてんじゃねぇよ!

こいつらがどんな思い出心配したと思ってる。

本気で探しまくって。
駆けずり回って。

そんな甘い事言ってんだったら死んじまえよ。

靴そろえて死ねよ。

自分のことばっかり考えてんじゃねぇよ。

お前を心配している人の事も考えろよ。

お前を大事にしている人
お前が死んだら悲しむ人

少なくともここにいるやつらは泣くよ。

俺も泣く。




大洋以外にも自分の事を心配してくれる人がいる。



――――泣きたくなった。


泣いていいよ。
大丈夫だよ。



そう言って紅葉が私を抱き締めてくれた。



私はとめどなく溢れる涙をおさえる事がもう出来なかった。




人間ってね。再生するんだよ。
私、知ってる。

私だっていっぱい泣いて何回も立ち直った。

また笑える。
また好きな人だって出来るよ。






人間は再生する。

それを友達に教えてもらったこの夜を私は忘れないだろう。

私が産声をあげた二度目の夜―――――。












今回もビックリするくらい引き込まれました。


声のトーンひとつで今の恵都の心境が伝わってきます。


浩一が恵都の事を

恋愛にというか社会全般に対して全く免疫がない
無菌室から出てきたばっかりの赤ん坊と喩えてましたが

全くその通りなんですよね。


本当にそういう人なんじゃないかなって雰囲気がありますね。


嬉しい気持ち
怯える心の動き
今の自分が抱える心境

それらの雰囲気が彼女の目で伝わります。


原作はもう少し登場人物が多いらしいですが
この作品では登場人物を減らしてしぼってきた事で
グッとしまってるって感じがします。


なんか、このドラマではこのまま
ベタボメしそうな予感(; ̄∀ ̄)ゞ



それから、気になったのはエンディング曲の合間で

次回の予告のポイントとなる台詞が出てくるとこですね。


「敵は人じゃないんだ。自分に勝たなきゃ。」


まるで恵都に諭す兄のような存在の浩一。




ここに彼が抱えている何かを経験してきたようなとこがありますね。


後、今回
浩一は大洋と接触していましたが何を話していたのか。

ここも次回は分かるのかもしれませんね。




次回はまた色々とあるみたいですが

なんか恵都の服装が派手というか露出が増えた感じになってたので
それはそれで嬉しいです(〃▽〃)ゞ

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この記事へのコメント

2008年09月05日 10:33
うんうん、少しづつ変化していってる恵都の様子が
うれしいデス♪
出会ってまだわずかな時間しか共有してないのに、
やはりフリースクールの仲間は、それぞれ色んな思いを
抱えてあの場所に辿り着いた同士だけあって、
通じるものがあるようですよねー。
恵都を励ます言葉も、妙に説得力があって
泣けてきます・・・
予告の見せ方も、ズルいくらいに上手い!!!(笑)
ikasama4
2008年09月06日 12:27
まこ様
恵都が外の世界に触れて
少しずつ成長していっている姿が

見た目は大人っぽさもあるんだけど
なんか小さい女の子の成長のようで
そこのギャップがなんかいいですね。

一人だと思ってた自分を
心配してくれる仲間がいる。

それに恵都が今苦しんでいる事は
みんなかつて通ってきた道だから。

だから余計に泣けてくるんでしょうね。

どこをとってもすんばらしいくらい
上手いです!!!(T▽T)b

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