キャットストリート 第4話

久しぶりです、恵都。園田奈子です。


その瞬間から『彼女』の言葉は私には届かない。

私の頭ん中はあの時の忌まわしい記憶でいっぱいだった。



私はその場所から立ち去った。



あれから私の7年間は闇の中を彷徨っているようだった。

もう二度とあの場所には戻りたくない。






しかし翌日
『彼女』はスクールにまでやって来た。



戸惑う私。


奈子は親友のように私に接してくる。

「私と会えた事も喜んでくれるよね。」


――――うん、久しぶりだよね。



私は笑顔を作った。





青山、パソコンしに行こう


そう言って浩一が私を引っ張って行ってくれた。



浩一が『彼女』から私を救ってくれた。



ありがとう、助けてくれて。



無理に笑うなよ。
一体誰のために笑ってんだ。

ていうか、嫌な事は嫌ってハッキリ言えよ。

もうそろそろ乗り越えろよ。俺達もいるんだし。



――――そうだった。


それから、私は彼女と一緒に歩いている大洋と普通に話せる事が出来た。

ちょっとドキドキするけど
ちょっと苦しくなるけど

でも、大丈夫。





私はもう昔の私じゃない。







だから、私は見ておきたいものがあった。

子供の時の自分の姿。
プロとして堂々としていた自分の姿。






私はお母さんにお願いして子役の時に録画した
サニーのビデオを見せてもらった。


お母さんは子供の頃の私を見て泣いていた。

変なの。

そう思いながらいつのまにか私の目も潤んでいた。


変な感じ。
自分じゃないけど自分で。

あの頃の自分は
すごく生き生きしてる。

歌ったり踊ったり。



私は気がついた。

私が嫌だったのは女優という仕事じゃない。

その仕事で否応なく人と争わなければならない事だった。

勝ちたいなんて思ってないのに。

誰も傷つけたくないのに。





そして私は三度『彼女』と出会った。



思わず逃げようとする私に『彼女』は

逃げないでよって言った。


『彼女』は私とただ話がしたいと言った。



今日の私はそれを受け入れ
とあるお店に入ってコーヒーを頼んだ。



『カノ・・・奈子は
私が逃げ出した後もずっと一人で戦ってきたらしい。

何やっても見られる叩かれる

そういう場所で

今までずっと。


私はスゴイと思った。

奈子がエライって思った。

何より私が逃げた場所でずっとやっている事に。


突然、奈子が怒り出した。


才能がなければやる気もない。
何にもないじゃない!

何で私ばかりこんなに苦しまなきゃいけないの!



そういって御札をテーブルに叩きつけると
店を飛び出して行った。


御札は5千円札だった。



――――コーヒー代には多過ぎる。




私は多過ぎるおつりを奈子に返すために
浩一に奈子がいる事務所の住所を教えてもらい
その場所に向かった。


気付くと浩一も一緒についてきてくれた。



ちょっと嬉しかった。






奈子の事務所は大騒ぎになっていた。

奈子が突然マンションからいなくなり
仕事を全部ほっぽり出したらしい。



とても5千円を返す雰囲気じゃなかった。



その事務所のマネージャーらしき人は
それどころではないと言った感じで私達を追い返そうとしたのだけれども

私の顔を見て急に顔色が変わった。

このマネージャーさんは私が7年前の「青山恵都」を知っていた。


その時、事務所に奈子から連絡があった。

奈子はもう仕事なんてしたくないと言う。


マネージャーさんは
奈子と私が親友というのを奈子から聞いていたらしく

私に奈子に仕事をするように説得をお願いしてきた。




恐る恐る私は受話器を持った。



――――もしもし?



恵都?なんであんたがそこにいるの?



――――さっきのコーヒー代5000円もしないし。


あんたって本当に馬鹿。


――――かえってきなよ。マネージャーさんが心配してるよ。仕事に穴あけない方が。


あけんのはそっちの方が得意でしょ!
そんなに言うんだったらあんたが私の代わりをやればいいのよ!





電話が切れた。






浩一がネットで園田奈子の事を調べてた。


『何やっても同じ役に見える』
『潮時なんじゃないのか?』


園田奈子に対するバッシングの数々。



厳しいよな、こういう世界。



――――うん。




それから、奈子のマネージャーさんが走ってきた。


今日だけでいいから
奈子の代わりをして欲しいと。

あるアーティストのPVに出演するというものだった。



――――どうしよう?



人助けのつもりなら止めとけよ。
自分のためだと思うならやればいい。




浩一の言葉に押されるように
私はその仕事を引き受ける事にした。



現場について、衣装に着替えた。



――――ドキドキする。


今どこ行こうとした?


気がつくと私は歩き出していた。


逃げんのか、そこから一生。


――――そんなには嫌だ。



「準備はいい?」





私はあの厳しい世界に足を踏み入れる決心をした。




現場に入るとプロデューサーらしき人がPVのコンセプトを伝えてきた。
後は自由に動いて演技をしてくれればいいという事だった。

そこで涙を流すシーンがあるので目薬の用意をしていた。



目薬はいりません。


私はどこでも泣く事が出来る。



カメラが回り出した。


私はプロモーションの歌詞に合わせて私が思う世界を描いてみた。




そして現場は彼女の世界に染まっていく―――――――。












一ヵ月後、私が映ったPVは各地で流され周囲の評判がとても良かった。


紅葉は私が「女優になるの?」って聞いていた。



私はそんなつもりはなかった。


あれはもののはずみというかたまたまで
頼まれて嫌って言えない雰囲気もあったし。


それに女優になったら
フリースクールにくる事も出来なくなってしまう。


ここがなくなったら、私生きていけない。





それは困るな。



突然、スクール長が私に行った。



ここはいずれ出て行く場所。
みんなに他の居場所見つけてもらわないと。





そうして、その日から

浩一はスクールに顔を出さなくなった。

まるで野良猫がいなくなるみたいに浩一は姿を消した。





それに加えてあのPVが社会に流されたことで

私の周りの空気も少しずつ変わり始めた。





私の周りに人だかりが出来ていく。



そのせいで勉強に集中出来ない人達もいると言う。


――――ここもおんなじだ。


どうしたらいいだろう。







翌日、気がつくと私は浩一のとこに足を運んでいた。



浩一は広い部屋に住んでいた。


たった一人で。


お父さんは銀行マンで転勤でドバイで働いているらしい。


浩一は黙々とパソコンと向かい合って
キーボードを叩いていた。

2年くらい前から作っているソフトを完成させようとしているらしい。



――――なんで急に始めたの?


まぁ色々とさ。





よく見ると浩一はたいしてご飯らしいものを食べていない。



――――そうだ、ご飯を作ってあげよ。



私は浩一にご飯を作ってあげることにした。



ご飯をジャーに入れる。

それからご飯を洗う・・・・・洗う?



とりあえず私の右手は洗剤に向かっていた。


その時、浩一が私の手を止めた。







洗剤で米は洗わない。


こんな事も私は出来ない。

私、足手まといだよね。
ダメだよね。本当に何も出来ない。



そういう事、言うの止めろよ。

「ダメじゃない」って言って
「私を励まして」って言ってるように聞こえる。


俺もずっとあんたの側についてる訳にもいかないから。




ハッとした。


――――そうだね。じゃあ頑張って。



じゃあ。



私は浩一の部屋を出た。





――――分かってる。

浩一の言いたい事は。

『立ち止まるな。』
『甘えるな。』
『一人でも耐え抜け。』


町には自分の姿が映し出されていた。


あの時の私にはたしかにあった。


でも、今の私にはあるのだろうか。
それだけの覚悟が。
それだけのチカラが―――――。





今回も面白かったですね。



谷村さん演じる恵都の姿が
7年前の恵都を演じた美山さんの姿と雰囲気がかぶってくる感じがします。


そりゃもうみんなクギヅケですよ(〃▽〃)ゞ



大洋が言うように
その場の雰囲気で涙を流せるなんて

あれはもう恵都にしか出来ない事ですね。



一方で恵都が周囲から注目されるようになって
紅葉や剛太とちょっと距離が出来たような感じになってましたね。



芸能界では色々とバッシングはありますね。
私なんかつい最近どこぞの月9でモロやってましたが(; ̄∀ ̄)ゞ

突き詰めればどこもかしこもそういう厳しいものがあります。


まぁ逃げるのもいいんですが
いつかは前に向いて進まなければならない時がある訳で。




それから浩一がフリースクールに来なくなったのも
恵都の頑張る姿を生で見て、そして先生の言葉に

自分も前に進まなきゃいけないって思ったからなんでしょうね。





予告では
女優としての一歩を再び踏み出した恵都

自分が好きな服を作る紅葉

自分が好きなダンスを踊る剛太

パソコンと向き合いシステムを作る浩一




今、自分が好きな事に向き合いながらも
そこから前に進もうとする姿が見えたような感じがします。




後、過去の「自分」と向き合う。

あの気持ちって分かります。


あの頃の自分には出来たのに。

今の自分にはそれが出来ない。

どうやったら出来るのか。


そういう時に過去の自分の一端を見たくなる時があります。


自分にもそういう時があって

まぁ自分の場合はいい絵が描けないときに
昔描いた絵を見て、こういう風に描いてたなって思って
そこに戻ろうって感じで

また絵を描いたりしてます。





それにしても小澤って奈子とはどういう関係なんでしょうかね。


ちょっと気になるところです。




次回はフリースクールに色々と問題が降りかかるみたいですね。

そして予告では
恵都のご両親の言葉


がんばれよ。
いってらっしゃい。


それに笑顔で応える恵都の表情がいいですね(≧∇≦)b
今の恵都を家族も受け入れてくれた感じとか。







ただ、それ以上に今の私の一番の興味は


あのPV、フルVersionで見たい(〃▽〃)ゞ

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この記事へのコメント

2008年09月19日 00:42
あのPV撮影のシーンでは、何だか感動してしまいました~。
美月ちゃんこそ、さすがの才能(^.^)
某他ドラマでは、ちょっと埋もれた感じに見えてしまいますが、
こっちではノビノビと演技を見せてくれています。

予告は、とっても気になりましたわ~。
さっそく奈子に何か嫌がらせされるようで。。。
ケイトには上手く立ち直ってほしいわ(>_<)
2008年09月19日 10:56
うんうん、あたしもあのPV見た~~~い!
一瞬にして、歌の世界に入っていった恵都。
見てるこっちも一瞬で、イメージ通り演じる恵都の
動きや表情に惹き込まれて、もぉ鳥肌モンでしたわ~!
恵都が一生懸命踏み出そうとしたり、そのせいで悩みが
増えたり・・・
だけど、あんなステキな仲間がいるんだから
きっと大丈夫!!!と見てるこっちも前向きな
気分になりますわ~♪
ikasama4
2008年09月20日 21:38
くう様
PVのシーンは
スイッチが入ったかのように恵都とは全く別人のような
感じがしました。流石ですね。

ホント、ノビノビと演技されてますね。

予告も気になりますが
序盤と比べてみて明るく笑う恵都の姿が印象的でした。
あのままの雰囲気で前に進んで欲しいです( ̄▽ ̄)
ikasama4
2008年09月20日 21:39
まこ様
個人的にはあのPVが欲しいくらいの気分です(〃▽〃)ゞ

恵都はまだそういう自分の才能によく気付いてないけど
あれはとってもスゴイ才能ですね。

これから恵都が出てる作品は全部チェックしたい気分です(≧∇≦)b

有名になればなる程、色々と
自分で好んでない事に巻き込まれる事もあるみたいですが
今の恵都なら友達もいるから、私もきっと大丈夫だと思います。

>見てるこっちも前向きな
>気分になりますわ~♪
私もです( ̄ー ̄)b
2008年09月21日 17:18
やっと書き終わりましたよ~。
インタビュー記事は、ちゃんと読めました!
なんか自然体で演じちゃうんですね。
うまい役者さんってみんな同じことを言っている気がします。
そこに魅力が出る。麻由子ちゃんもそうだものなぁ。

>そりゃもうみんなクギヅケですよ(〃▽〃)ゞ
もう、その通りでございました。

ちなみにPV場面は、今ならようつべに。
”Kagrra,”側が本当にホリプロに打診しないかなァと祈るばかりです。

校長・生瀬さんの精一杯のおふざけ=マイケルジャクソンに拍手でもありました。
2008年09月21日 21:07
追記:
jp.youtube.com/watch?v=T39gCS5RoDg
ikasama4
2008年09月22日 01:14
飯綱遣い様
いつもいつも御苦労様でございまする。
谷村さんって普通な感じがするんですけど
演技になるとその雰囲気が変わります。

これは誰にでも真似できるものじゃないですね。

たしかに福田さんとも似てる部分を感じます。

>”Kagrra,”側が本当にホリプロに打診しないかなァと祈るばかりです。
私も祈ります(-人-)

生瀬さんのあの演技はこのドラマでは
あれが精一杯の頑張りですね( ̄ー ̄)b
ikasama4
2008年09月22日 01:14
飯綱遣い様
情報、どうもありがとうございました。
(≧∇≦)b

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