監査法人 第4話 「崩壊の序曲」

日本の企業が監査法人と組んで
隠していた不良債権の額

87兆5670億円


以降、この事実が
監査法人が厳格監査を推し進める要因になっていた。


そして時代が会計士達の運命を変えようとしていた。




吉野さんが失踪した。







あいつの決断を後押しすればどんな事が起きるのか
君達も分かっていたはずだ。

思ってはいても目の前の現実に当惑する若杉と茜。


吉野さんの事が心配じゃないんですか!

俺達の仕事はときに人の運命を左右する。

そんな事も分からないで監査してたのか?

だったら身の振り方を考えた方がいい。

お前達に耐えられるか。






その日、東都銀行の経営企画室長の葬儀に訪れた若杉と茜。

茜は自分がした判断によって
結果的とはいえ人が死んでしまった事実に苦悩していた。


俺達は何も間違った事はしてねぇだろ。

正しい監査をしただけだ。



決算書を承認していればこんな事にはならなかった。


それとこれとは話が別だ。


わかってる。わかってるけど――――。





財政監督庁、週刊誌。

その頃、小野寺は着々とシナリオを書き進めていた。





吉野さんに厳格監査を吹き込んだのは君だな。
君のシナリオはそう容易くは実現しないよ。




東都銀行は最早破綻寸前です。
いつまでも隠し通せるはずがありません。



会計士には守秘義務がある。
情報が簡単に漏れるはずはない。



所長はこのまま東都銀行の監査を揉み消すつもりですか。


それから間もなく
週刊誌に東都銀行に関する監査情報が漏れた。



篠原は東都銀行の監査に携わった
若杉と茜に情報漏洩の疑惑がかかった。


東都銀行の監査に関わった会計士

それだけで社外ばかりでなく社内でも
白い目で見られる現実に茜はジャパン監査法人を辞める決意をした。



ただ自分達は守秘義務を違反するような事はしていない。


という事は
篠原理事長に不満を抱いている人間が自分達以外にもいるという事になる―――。




未だ自分の道に迷う若杉に
小野寺は彼を財政監督庁に連れて行った。

そして海外の大手監査法人の方々と接触した。



これまでの銀行は株主や市場よりも債権者を重要視していた。

これからの日本はその体制を改めなければならない。

その第一歩として政府は金融改革法案を提出していくらしい。




本当のところ、まだ分からない。

金融改革も海外も未知の世界。

俺達の判断が一人の人間を死に追いやった。

そう思うと―――――


もっと広く物事を見ろ。


小野寺さんだって友人の死に傷ついてたりしてたじゃないですか!


でもな、乗り越えなければならないんだ。
乗り越えてこそ、これからがある。

おまえにも乗り越えてほしい。

そして、俺と一緒にいて欲しい。




・・・・・少し考える時間を下さいますか。
どうするか、俺自身で決めます。







翌日、東都銀行に財政監督庁が訪れた。

東都銀行の決算に虚偽の表示があるとして。


「お久しぶりです。」


財政監督庁検査局長・宮島は大蔵省時代
東都銀行の頭取と面識があった。




「我々が問題にしているのは
飛鳥屋の不良債権についてあなたがいつ、どこまで
知っていたかという事です。」


「それはジャパン監査法人と飛鳥屋が勝手にやった事だ」

シラを切る頭取。

「これだけの不良債権をあなたが知らなかったでは済まされないですよ。」

頭取は彼ら財政監督庁にまるで取調のような尋問に
自分達を裁く権利はないと憤る。



「申し訳ありませんでした。
我々の仕事はあくまでも銀行を検査することでした。

あなたを追及するのは検察の仕事でしたね。」


頭取は確信した。
間もなく地検もここにやってくる事を。







東都銀行に財政監督庁が調査に立ち入ったニュースは衝撃を与えた。

これによって被害が及ぶのは銀行のみならず
銀行が融資している会社
銀行が抱えるグループ
そして何よりその陰にいる家族達―――――。





そんな中
小野寺は若杉に自分の過去を語り始めた。


かつて東都銀行では不正融資事件があった。
そこで逮捕されたのが小野寺の父親だった。

東都銀行の役員だった親父は
不正融資事件の責任を負わされて解雇された。

『俺は銀行にハメられた被害者だ』って。

そんな理不尽な金融の世界を正したかった。



銀行に対する恨みなんですか。


それはひとつの動機に過ぎない。

だがな、正しい事を正しいといえない。

そんな腐りきった世の中でいいのか。

真っ直ぐで純粋な姿勢を買っている。

おまえみたいな会計士がこれからの日本を担っていくべきだ。






そして若杉はバーでよく会っていた
井上と思わぬ席で会う事になる。


彼はベンチャー企業の社長だった。

大学在学中にIT系の会社を立ち上げたものの
会社の運営資金を持ち逃げされて失敗した。

それでも今度はフランチャイズのドーナツ店で
再起を果たした。

色々と苦労してきた方らしい。



俺、井上さんのこと誤解してました。
俺と違って気ままに生きている人だと。



俺達は世の中の犠牲者だ。

これからは俺達が新しい時代を作っていくんだ。

お前達は絶対間違ってない。

みんながお前達がやった事に感謝する時代がやってくるんだ。




その言葉が若杉の心を揺らす。





会社から帰宅する時、茜は若杉に言った。

あたしさぁ、ジャパン辞めようと思う。

もう決めたの。

私はあんたみたいな考え方出来ないからさ。
私には無理。

少し疲れちゃった。



あんたは小野寺さんについていくんでしょ?



今はまだ色々あって決められない。

けど、小野寺さんはただの厳格派じゃない。
ジャパンの未来の事も考えてるんだ。




その頃、小野寺のシナリオは佳境に入っていた。





翌日、ジャパン監査法人では緊急理事会が開かれ

小野寺を改革委員会の委員長にする事で
ジャパン監査法人を生まれ変わらせて改革する旨が提案されていた。



その席で東京地検が現れた。


ジャパン監査法人を証券取引法違反の容疑で家宅捜索を行うと言う。


そのタイミングで小野寺は緊急動議を申し出た。


改革委員長として篠原理事長の退陣の議案を提出すると。

その場にいた委員達は皆
「異議なし」としてその意見に同意した。




これが君の描いたシナリオかね。


小野寺は何も答えない。


まぁいずれ思い知る

本当の痛みはこれからだ。








東京地検が立ち去った後のジャパン監査法人


会社の資料の全てが彼らに持ち去られていた。



こういう気持ちなんだ。

監査される側の気持ち。

初めて分かった気がする。



人の会社に土足で踏み込んで帳簿ひっくり返して
会社の信用そこねて倒産させて

私たちがやってきた事って何だったんだろ?

これが小野寺さんの目指すジャパンの未来なの?





それからジャパン監査法人に検察から取調が行われた。


東都銀行の監査の経緯に関して検察は
一連の首謀者は篠原だと考えていた。



篠原さんは日本の企業監査の礎を築いた方です。
しかし、最早彼の時代ではありません。




若杉は当時、東都銀行の主査だった吉野との監査姿勢を
巡って対立していた事を尋ねられた。



理事長の指示通り、彼は手心を加える事も出来た。
でも、自分を監査に加える事で自分を試した。

自分一人じゃ理事長や東都銀行の圧力に屈して
冷静な判断が出来なくなるから。


―――――そうか。

だからあの時―――――。



あの時、吉野が言った『ありがとう』の意味を若杉は理解した。






検察は篠原に
若杉があなたの影響で会計士になった話をした。



彼は昔の自分に似ていたからかもしれない。

私も彼と同じように昔は血気盛んな会計士でした。

かつては監査の度にエライ人を呼び出して
目の前で土下座させたものです。

快感でした。

被告に判決を言い渡す裁判長のような気分でした。

上司に呼び出されました。


『我々は犯人を逮捕する警察じゃない。』

『我々は番人であるべきだと。』

アラを見つけ出しても有能な会計士じゃない。

そこに人の感情がなければ
人はそこに会計をやる義務がない。



「それが社会倫理に反していたとしても?」


会計には絶妙な人間関係が不可欠です。

それが多くの企業の成長を後押ししてきたんです。


君は今いくつですか?



「38です。」


私は君が子供の頃から監査を勤めている。

我々監査法人がこの国の経済成長を支えてきたという事を
考えてきた事はないかね。






取調を終えた篠原の前に若杉がいた。



彼は若杉に言った。


君は言ってたな。

『成功は求めない。自分が信じた監査を貫く』って

それでいいよ。

怖れずに進むといい。






若杉と茜は別々の道を選んだ。



茜のこれから

帳簿とか決算とか
そういう世界からはもう少し距離を置いて
自分を見つめ直してみたい。



若杉のこれから

小野寺と共に会計監査の道で生きていく。


小野寺は理事長となり
新しい監査法人を作り上げた。

エスペランザ監査法人


「エスペランザ」とは希望という意味がある。


その希望に若杉は賭けた―――――――。




今回は色んな事がいっぱい詰め込まれてましたねぇ。



ぬるま湯監査と厳格監査という構図よりも

日本の監査法人VS海外の監査法人という構図のような気がしますね。

たしかに厳格監査は間違ってはないと思います。

でも、それは
海外の監査法人を日本の市場に招き入れる
基盤を作りたいためなんじゃないかなってね。


今はナンデモカンデモ「国際化」


たしかに世界を基準にする事も大切かもしれませんが

だからといって今まで日本が培ってきた伝統なども
「国際化」によって打ち砕いてしまうのはねぇ。


こういうのは結局
やってみて、その痛みを実感しなければ
分からないという事なんでしょうかね。





そんな中で驚いたのは

阿部サダヲさん演じる会社の経理を担当する方を山本龍二さん


レポーターの役をやってた人・・・・・久保恵子だぁ(〃▽〃)



そして何より公式HPのキャスト


エライ一新されてますやんヽ(;´Д`)ノ


前の出演者がいなくなってますやんヽ(;´Д`)ノ



で、そのキャストの中に津川雅彦さんのお名前が。


はからずも御兄弟で出演って形になりましたね。





さぁ次回は小野寺の会社経営方針に関して

若杉は疑問に感じていくみたいですねぇ。


これを見ると
どうも小野寺のやってる事も篠原がやってる事と
変わりないような感じもしてきますが(; ̄∀ ̄)ゞ

まぁそういう風になってしまうって事なのかもしれませんね。


次回は更に混沌としてきそうです。

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