監査法人 第3話 「粉飾の連鎖」

それは終わりの始まりだった―――――。



吉野が飛鳥屋の決算を承認した事に関して篠原は言う。

吉野君は会計士の鑑だ。

会計士にとって大切な事=バランスだ。

そうして我々会計士は
この国の経済成長を支えてきた。



若杉は篠原の言葉に答える
あなたは言いましたよね。

『幸福は心の問題。』

『成功は金と権力の問題。』

ならば、俺は成功なんか求めない。
自分の信じる正しい監査を求めます。




飛鳥屋の一件以来
若杉は吉野さんがチーフだとモチベーションが上がらない。

吉野家の800億の裏帳簿がなかった事にされた。

あの人は会計士として根本的なものが欠けている。


クライアントと楽しそうに話す吉野。

あの人はクライアントに媚を売ってるみたい。


そして吉野のチームが監査に入ったのは
吉野の親友が社長を務めていた。


吉野にとっての会計士としての誇り

それは企業のために自分の信じる監査をする事。

この会社の社長は言ってくれた。

「おまえを信じて頼む」


それ以来、吉野は責任をもって
この会社の監査を担当してきた。


だから僕は責任を持ってこの会社の今期の決算を承認する。


その監査の最中、若杉はこの会社の売り上げに関して
不審な点がある事に気付いた。


架空循環取引
循環取引
複数の企業・当事者が互いに通謀(つうぼう)し、商品の転売や業務委託などの相互発注を繰り返すことで、架空の売上高を計上する取引手法のこと。
循環取引においては、商品やサービスそのものは最終消費者・需要家に販売・提供されず、当事者・業者の間で転売が繰り返されているだけであり、本来の意味での売上(=消費)は発生しない。なお、商社や卸売業者では、一般に商品在庫の多寡を背景に、業界仲間内で保有在庫を転売し、在庫と資金(キャッシュ)の保有比率を適正に維持するための商取引が普及している。そのため、一般に商品の転売行為そのものが違法・不当として認識されているわけではなく、それを取り締まる法的根拠は無い。
しかし、循環取引では通謀し伝票をやり取りするだけで売上高が不正に操作できることから、企業の成長性を高いように仮装して金融機関の融資を容易にし、あるいは債券や株式の新規発行を有利に導く目的で行われることがあり、この場合は融資関連の調査資料や有価証券報告書に対する虚偽記載の容疑として立件・摘発の対象とされる。

(Wikipediaより抜粋)

つまり、この会社を会社Aとすると自社商品を
ある会社Bに売った事にする

ある会社Bはある会社Cに会社Aから買った商品を売った事にする。

そして会社Cは会社AにB社から買った商品を売った事にする。

こうする事でそれぞれの会社で
注文書・請書・納品書・請求書等の書類が発生し
それにより売り上げが計上される事になるというカラクリ

つまり売り上げを架空に計上したという次第です。


実際にもこのような事件が摘発されています↓
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080529/crm0805290207000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080529/crm0805291211016-n1.htm


吉野はこの会社の決算を承認した。

若杉は相手がどんな人間であろうと粉飾を見逃すべきではないと考え

クライアントのために監査をする
そのためには多少の不正には目もつむる吉野のやり方が許せなかった。


それから間もなく社内の内部告発によって循環取引が明らかになった。



「我々の監査は無意味だったよ。」


若杉と茜はあんなに悔しそうな吉野の顔を見て思う訳です。



吉野さんはあの会社とあの社長の事、本気で思ってた事に。




それから間もなく東都銀行の監査が行われる事になり

篠原は吉野を東都銀行の主査として命ずる訳になります。



何で私なんですか?!

君の飛鳥屋での実績を買ったんだ。
君の力で東都銀行を救って欲しい。

あなたは信頼に足るべき優秀な会計士だと。
吉野さん、あなたを信じています。





それから吉野は小野寺と酒を酌み交わす。
もちろん話題は自分が東都銀行の主査に任じられた事に。



監査法人は一企業のためにあるんじゃない。
この国を正しい方向に向けるためにあるんだ。

監査法人は企業の嘘に付き合う
問題を先送りしてきたんじゃないのか。

イタズラに厳格監査を叫んで企業を苦しめたとしても
その先に何が待っているんだ。

今のお前は本当のお前じゃない。







ふと動物に癒されたいと思いペットショップをのぞく吉野

そこで同じように考えていた茜と遭遇(笑)





吉野には時々疑問に思う事があった。
我々の仕事が世のため人のために役立っているのか。



そんな吉野が会計士を目指した理由

クライアントの笑顔のため。

僕はこの仕事が好きなんだ。
会計士の仕事を愛している。

そして相手を信用して全力で飛び込む

そんな吉野の姿勢に茜は懸念があった。

それを続けていると吉野さん自身が疲れそう
信じた分だけ裏切られる。

馬鹿みたい。



僕はそう思わない。
信じるから裏切られる事もあるけど救われる事もある。





翌日、吉野は若杉を呼んだ。



何の用ですか?

単刀直入に言おう。
僕のチームに加わって欲しい
僕と一緒に東都銀行の監査をやって欲しい


何故ですか?

理由は明かせない。
監査に支障をきたすからね。



悪いけど、俺手加減しませんよ。


望むところだ。容赦なくやって欲しい。



そして吉野は東都銀行の監査を厳しく行っていきます。
それから経営企画室長は吉野に手心を加えてもらうように
大口融資先=大きな負債を抱えた融資先のリストを渡します。


それを吉野は若杉に渡します。

その融資先―――――飛鳥屋。


そんな吉野の姿勢に東都銀行の面々は噛み付く訳ですね。


「あなたはどうして執拗にチェックなさるんですか?」

信頼するにされるに足るか確認したいのです。
どんな細かい事でも怠りたくないだけです。


「あなた、東都銀行を潰すつもりか!!」


我々も命を削って挑んでいるんです。
どうか最後まで口を挟まないで頂きたい。





そして吉野、若杉、茜が東都銀行に下した考えは同じだった。


実情とはあまりにもかけ離れています。
乱暴にいえば東都銀行はもう破綻しています。

ただ、この監査はこの国の経済全体に影響を及ぼしてしまう。

だから、審査会で公正な決断を下そう。
審査会で結論を出したい。



監査法人では
重要な査定においては監査法人内で審査会が開かれる。

その審査会で

まず東都銀行の監査責任者である篠原は
東都銀行の決算を承認したいという意見を提案する訳です。


そこに若杉は意見します。

それは我々の監査を全て把握した上での結論ですか。
東都銀行は明らかな債務超過です。




そして、吉野は口を開く。

私はこれまでクライアントに寄り添った。
クライアントのための監査をしてきました。
合理的な解決策を導き出し監査へと導く。
それが私のスタイル。

しかし、時代は最早
私のような会計士は必要としていないのかもしれません。


東都銀行の監査を担当した主査として断言します。

明らかに実情とはかけ離れており適正を下す事は出来ません。



今までの結論を覆すつもりかね。


あなたは私を信じて主査という大役を任せてくれました。
私の仕事は東都銀行の救済ではありません。

正しい監査を下す事です。
しいてはそれが日本経済を救う事につながります。



君は冷静な判断が下せないでいる。


主査として私の意見は変わりません。


君の判断がひとつのメガバンクを崩壊させようとしてるんだ。
日本経済に及ぼす影響を君はわかっているのか。



その判断を私に委ねてくれたのは貴方です。



そして吉野は若杉にある資料を審査会に出席している人たちに配るように言う。


それは―――――飛鳥屋の裏帳簿


これは以前私が担当した飛鳥屋の監査資料の一部です。

その際は飛鳥屋の監査を承認しましたが
架空売り上げを見落としておりました。




改めて東都銀行の決算の承認について意見が求められた。




「これは厳正に対処すべきだ。」



篠原を除く全員の意見が一致した。




よって審査会としましては東都銀行の決算に適正意見は下せません。


自分が何をしたか分かってる?君達も同じだ。
必ず後悔するぞ。





数日後、東都銀行の経営企画室長が自殺した報道が流れていた。



自分達の決断によって引き起こされた事。



それは終わりの始まりだった―――――。




篠原の考える「会計士の鑑」と
若杉の考える「会計士の鑑」

どちらの考え方が「鑑」なのか

この対比は面白いところですね。


そして飛鳥屋の社長、東都銀行の頭取
普段は強者として振舞うとてもエライ方々でも
自分の生命線である監査の事では一転して弱者となる。

それも情に訴えて。

東都銀行に頼る人たちを彼らがどんなに情に訴えても
東都銀行はそれに関係なく斬り捨てていったのにねぇ。

こういうのを卑怯って言うのかもしれません。



そしてマスターの口から
若杉さんと篠原さんの関係がわかってきました。

彼が何故会計士になろうとしたのか。

篠原さんの影響だよ。

篠原さん、昔からこの店の常連でね。

そこに企業の常連達が次々やってきた。
彼らは皆、篠原さんを頼ってやってきた。

あいつはそこでその様子をジッと見ていた。

彼の仕事は人を幸せにする。

だから、あいつは寝る間も惜しんで勉強した。

でも、あいつはだからこそ
理想と現実で苦しんでいる

そして篠原さんを恨んでいる――――。



これはまぁ大体予想通りです( ̄ー ̄)b



それから小野寺の父親は東都銀行に勤めていたようで。
かなりの野心家だったと財政監督庁の方が言ってましたが

だから、小野寺は厳格監査を訴えるようになったのかもしれません。

全ては父に対する反発。

そこから小野寺の信念が始まったみたいな気がします。


こういう負の遺産っていう膿って放置するとコワイんですよね。


昔なら、こんな事は思わなかったのですが。

かつて私の父親は会社を経営していたのですが
なんか色々とあったみたいで経営は苦しかったようです。
しかし、父親というのは父親としてのプライドが高かったのか
そういう事実を隠してきました。

そして4年前、父は突然倒れ
これ以上は会社を運営していく事が出来なかったために
否応なく、自分達残った家族が会社の今後を処理していったのですが










当時の記憶を振り返ると正直、ゾッとします(; ̄∀ ̄)









どーやってこんなに借金してたんだってくらいに。
しかもまだローンを払っている自動車とかをローン会社に無断で
人に売ってたりして、またそのお金を別のローン会社の返済に当ててたりして。

今も手元に父親名義の大手のローン会社のカードがあります。

それが5枚(笑)

母親も知らんかったしねぇ。

また、それとは別に親戚からも金を借りてたっていうし
しかも、その親戚とは私、一度も会った事がないんですけど(苦笑)


結局、父親がいなくなった後
父親が作った負の遺産という膿は
残された者達で対処していった訳なんですが
それによって翻弄され続けました。

まぁ今もですけど(; ̄∀ ̄)ゞ



なんだかんだ前置きが長くなりましたが
膿を出す事は悪い事ではありません。



膿があるならば出来るだけ早いうちに出す。
これが一番最善な事だと思います。



そうしなければ
後で分かった時、取り返しのつかない事態を
知らなかった者にも突きつけられるのですからね。


そして知らなかった人達は
今回の監査法人の行動によって暴かれた事で
多分、その時思うんでしょうね。


この膿を隠し続けた人達が悪いのか
この膿を暴いた人達が悪いのかって


明らかに悪いのは前者だと思います。
ただ、自分の生活=情とかを考えた時にふと後者になってしまう。


これぞ人間の為す業(ごう)なのかもしれません。


でも、一方で私はこう考えます。

たとえ、知らなかった事実であっても
その事実が変わる事はありません。


だったら、その事実と逃げない。

自分が逃げたら他の誰かが
いつかはその現実を背負わなければならなくなる。

自分は自分が背負う事実よりも
自分が逃げる事で生み出されるであろう事実の方が耐えられない


その点では
若杉や茜、小野寺達と考えは似ているのかもしれません。





さて、次回は「崩壊の序曲」



そして今回のタイトルが「粉飾の連鎖」ですか。


個人的に今回が「崩壊の序曲」でもいいような気がしてきました。


じゃあ次回のタイトルは?って考えると


「連鎖」というのではいかがでしょうかね(; ̄∀ ̄)ゞ

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