風林火山 最終話 「決戦 川中島」

啄木鳥の戦法を上杉に見破られ劣勢に立たされた武田軍。
別働隊が駆け付けるために己が命を捨てて
時間を稼いだ武田信繁、諸角虎定。


両将の死に信玄はただ目を閉じていた。



勘助は亡きお北の方様との言葉を思い出す。



国などなければよい。
国がなければ戦がおきぬ。
戦がなければ如何なる世になろう。


左様な世なぞありえませぬ。

さらば、何のために御仏はおられるのか。
それとも、真はおらぬのか。


御仏とてこの世に立てば戦と無縁ではありえますまい。

そなたは真に悲しく生まれついたのですね。





駒井の報せによると、我が方は陣の体勢を整え
あと一時は支えられるであろうと。



勘助は言う。

まもなく妻女山より援軍が参りまする。
さすれば、我らが勝ちにござりまする。



勝つのじゃ、勘助。

守るだけでは足らぬ。
勝つのじゃ!!



ははっ!

勘助は駒井に命じた。

義信様を本陣の側へ。
「承知した。」


最早、構ずる策はなし。
御館様をお頼み申す。


勘助の覚悟を知った駒井は頷いた。


勘助は振り返り、御館様に言う。





それがしが前へ出ます。


そして勘助は戦場へ向かっていく。


去り行く老将の背中を信玄は見守っていた。









黒備えを率いる勘助の眼前で政虎の本陣が動いたのが見えた。







伝兵衛、太吉。
これより足軽勢を引き連れ、敵の本陣を突く!


「勘助!」
背後より騎馬武者が近付いてきた。

武田義信様だった。
何をしておられまするか。

「わしが敵の本陣を突く。」


お戻り下され。
某にお任せ下され。
貴方様が動かれては本陣に隙が出来まする。



「そちは父上を頼む。」


義信様!命を粗末にしてはなりませぬ。

貴方様の御命とこの私の命とは違いまする。

貴方様は大切な武田の御嫡子。
義信様。
貴方様が御館様を守らずして誰が御守りしまする!

お戻り下され!
この勘助、一命に賭けても
義信様をこれより先へお通しするわけには参りませぬ!

本陣へお戻り下され!!
勝頼様の事、お頼み申します。

義信様、お導き下さりませ。
武田家を御守り下さりませ。

さぁ!!




勘助の心を知り、義信様は本陣へ戻った。






今また戦場の彼方に目を向ける勘助。








あの時、あの方々は某と同じ思いだったのだろうか―――。




よぉく聞いておけ
戦の勝ち負けとは己が誰を裏切り裏切らぬかではない。
何を守り何を失うかじゃ。


そちが月影となって御館様を照らし続けるのじゃ。
この甲斐国の真の軍師になるのじゃ。




己が手に持つ剣を見据え
戦場へ向かおうとしたその時―――。










死んではならぬ。

誰かが後ろで自分を引っ張った気がした。


姫・・・様?



勘助は笑った。

左様にござりましたか。

あの折もそれがしをお止め下されたか。

されど、ご無用にござりまする。
某はまだ生きておりまする。

生きておりまする。

諦めませぬ。

御館様に天下を!!

勘助はまだ生きてござる!









そして勘助は単騎で敵陣へ向かっていった。












宇佐美はこのままでは
劣勢となるために陣を退こうとしていた。



その時、山本勘助を見つけた。


山本勘助!
陣を退け。
このままでは両軍とも無駄に屍を重ねるのみ。

陣を退け!!



勘助は笑って宇佐美に太刀を浴びせた。

愚か者!
一国を滅ぼして何のために戦うのか!!




その時、二人の眼前を一人の騎馬武者が通り過ぎた。


上杉政虎だった。



勘助は政虎の後を追った。





止めよ!あの者を止めよ!!












―――それは一瞬の出来事だった。



その者は御館様の下へただ真っ直ぐに突き進んできた。


信玄はその者の刃を三太刀受け止めた。

しかし、軍配には七太刀の傷があった。


信玄は呟いた。
斯様な戦をするとはあれこそが越後の龍神であろう。






勘助は政虎を追った。







一国を滅ぼして何のために戦うのか!!

生きるためじゃ。
我が思うお人のためじゃ!!





しかし、勘助は政虎に辿り着く事は出来なかった。



越後の精鋭がそれを阻む。


眼前には政虎がいるというのに。



もう少し・・・もう少し



数多の銃弾が勘助を撃ち抜いた。





勘助は倒れた。




その横たわる軍師に見えたもの。





見える・・・孫子の旗・・・
見える・・・我が御館様の・・・我が里の旗



あの時、語った夢。



まだ見える・・・


夢がある限り


まだ戦える・・・



しかし、身体がもう言う事をきかなくなっていた。

その時、一人の敵兵が近付いてきた。


―――平蔵だった。


平蔵・・・わしの首を討て。


「勘助・・・」


勘助は己の首から下げている摩利支天を平蔵に差し出した。

これを・・・持て。



平蔵が受け取ろうとした時、平蔵の背を矢が射抜いた。




平蔵・・・



何故、平蔵が倒れたのか、勘助は理解した。



勘助が見たもの、それは真田軍の六連銭だった。


別働隊がようやく到着したのだった。


勝った・・・勝ちじゃ。
御館様・・・我らが勝ちにござりまする。

勝鬨をお挙げ下され!!


摩利支天の御守りを握り締めて。



「武田軍師・山本勘助!その御首頂戴仕る!!」


それは一瞬の出来事だった。








甲斐・勘助の屋敷。

畑より茄子を取りにいったリツの眼前に摩利支天がいた。


リツ―――。


リツは全てを悟った。

リツ、そなたがわしの城なれば
わしはそれにかかる月影じゃ。

いつでもそなたを見守っておるぞ。



リツの眼から涙がこぼれた。








戦は終結した。

開始から午前は上杉軍の優勢。
妻女山から援軍が駆けつけた午後は武田軍の優勢。

しかし、激戦を以ってしても雌雄を決する事は出来なかった。

上杉軍はひとまず善光寺に引き揚げた。








勘助~~~!!

伝兵衛は勘助を探した。




そして、ある遺体を見つけた。
その遺体は摩利支天が握り締められていた。











武田陣中では戦場に散った信繁と諸角の遺体を手厚く保護した。

信玄は震える手で弟に触れた。




「兄上、某はつろうござりました。」

あの時、弟が自分に言ってくれた時の事を思い出す。


信繁の言葉があったからこそ
自分は武田の当主としてやっていける気がした。

そして家臣の皆がついてきてくれた。


あれから二十数年の時が流れた。


武田家に仕える家臣達の顔ぶれは大分変わった。
しかし、信繁の思いはあの頃からずっと変わらなかった。


ふと駒井は何かに気付いた。



「御館様・・・」



駒井に促されて信玄が見たもの。


それは首のない勘助の遺体を抱えて歩く伝兵衛の姿だった。

「山本勘助にございまする!!」



そして反対の方から声が聞こえた。


葛笠太吉が勘助の首を取り戻したと言う。







「真か。真に勘助の首か。」

「間違いねぇ。」

「あの面じゃ。間違えようはない。」

太吉、あの胴と合わせてやるのじゃ。



太吉は布から勘助の首を取り出した。







勘助は最期まで笑っていた。







申刻、武田軍は勝鬨を挙げ兵を引き揚げた。










戦国時代最大と言われる川中島の決戦。

その戦いの中で一人の軍師が壮絶に散った。
生きて愛して散っていった

山本勘助は武田信玄の天下を夢見た。

それは勘助自らが真に行きぬくための夢であった。
そして夢を追うものはその果てしなさを知るのである。

見果てぬ夢を追う者は永久に咲き誇る一輪の花の如し


勘助、わしには見えるだぁよ。
勘助の中に咲いてる花が。

だから勘助は怖くねぇだよ―――。







最後は第1話で勘助が葛笠村であった物語の演出が使われていました。



武田家の面々が勘助の遺体を囲んで勝鬨を挙げるシーン。
あれは第一話で赤井が葛笠村で捕まった時、勘助を始め村人が取り囲んだシーンを
彷彿とさせます。


そして最後のナレーション。

これはこの大河ドラマが始まる時の紹介で使われていました。


そして最後の最後にこれ。

これにはヤラれました。


やっぱミツですね(T▽T)

ミツは反則(T▽T)



平蔵が矢に射られた時、
あの時の勘助は本当に心から平蔵に

平蔵・・・わしの首を討て。

って言ったんだと思うんですがね。


でも、後ろから矢で射られた時


ふっ、これぞ兵法。『兵者詭道也』

と呟くのもありですね(笑)



まぁ平蔵は生きる事を諦めてなかったようなので
おそらく、おふくが助けてくれる事でしょうね。


ただ、傷が癒えた後で沢山のお金を請求されるんでしょうけど(; ̄∀ ̄)ゞ





さて、風林火山紀行では勘助が亡くなったその後が語られていました。


前にも述べましたが

信玄の駿河侵攻に反対した信玄の嫡男・義信は謀反の罪に問われ自害。
重臣・飯富虎昌も罪に問われ成敗。
そして三条夫人も義信の後を追うかのように亡くなります。


それから三方が原の合戦の後に信玄は亡くなりますが
信玄は己の後を勝頼に継がせたと思われる方が多いかと思いますが
正確には勝頼の子供に自分の跡を継がせたのです。


勝頼はいわば、後見のような存在です。


それから長篠の戦いで勝頼は敗れます。


この戦いで馬場信春を始め、多くの将が戦死します。
その戦死者の中には真田幸隆の子・信綱と昌輝がいました。


この時の義信の死が一説には信玄亡き後の
武田家の弱体を招いたのではないかと言われています。



この作品では山本勘助は義信様の事をも大事に思っていました。


もし、勘助が生きていたなら。



もしかしたら勘助は義信を生かす道を模索したのかもしれません。



これって童門冬二さんのメディア瓦版で述べられていましたんですけどね(; ̄∀ ̄)ゞ
まぁ風林火山紀行を見れば、そう思わせてくれるような雰囲気になっていました。




最後にドドンと勘助をば。





















上のやつはたしか第一話の時のやつなんですが
その頃と比べると甲冑も兜も変わっているのが分かりますね。




第一話を見た時はどんなものかなと興味本位で見ていましたが
こんな風にして見守るとは思ってもみませんでした。


勘助、ありがとう。


これ以上は自分には思い浮かびません。




ここ数年で久々にシビれる大河ドラマを見させてもらいました。

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この記事へのコメント

2007年12月16日 23:33
お疲れ様でした…
今はワタクシ燃え尽きてしまっています。
私も近年の大河では1番面白かったのではと思っております。
キャストも地味と言われながら、決してレベルは低くないぞ!!と。
(まあ、内野氏のファンなのですよ、単に…)
義信と最初で最後のココロ温まる交流も良いシーンでしたね。
その後の武田家を思うと複雑ですが。
ドラマは終わりましたが、これからもよろしくです。
2007年12月16日 23:45
ikasama4さん、こんばんは。
いや~とうとう終わっちゃいましたね(><)
>あの時の勘助は本当に心から平蔵に
平蔵・・・わしの首を討て。
あ、ワタシもそう思いました。武田は勝機が見えてるから
自分はもう助からないから、せめて平蔵に手柄のひとつも・・・ですかね?
なのに平蔵がアッサリバッタリ倒れたのには驚きましたね(笑)
仰る通り平蔵はあの「ばばさま」に助けられて生き延びることでしょうね。・・・で、何が言いたかったんだろう?(笑)
「武士」になって死んでいったオトコと「なれなかった」オトコの対比?
はあ~ホント今までクラブともどもありがとうございました。大河は終わりましたが、引き続きヨロシクお願いしますね☆
2007年12月17日 13:32
こんにちは~!
数々の人物画を、いつも楽しませていただきました。
本当にありがとうございました&お疲れ様でした。

平蔵に首を討てと言った勘助に、
『兵者詭道也』
は、まずないですよね。

ずっと離れ離れで、ずっと敵対する間柄になってしまっていたけれど、葛
笠村から一緒だった者たちには見えないものでちゃんと繋がっている、という感じがずっとしていました。

最後の方でちょっとうっとおしい感じもあった平蔵ですが、おばばにきっと助けられて、川中島もこの目で見、体験した者として、この先いい語り部になるのではないでしょうか。

今年の大河は最高!とまでテンションは上がらなかった私ですが、色々感動はありました。

最後までお付き合い、どうもありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
ikasama4
2007年12月18日 23:00
まいまい様
私もすっかり燃え尽きて後のドラマが
ちょっとどうでもよくなった気分です(; ̄∀ ̄)ゞ

第一話を見た時はどうなる事かと思ったのですが
この終盤に来て第一話で用いた演出を使うとことかに
大いにヤラれました。

元々私は時代劇での内野さんはハマリ役だと思いますが
今期は期待以上に良かったです。

今後、色んなとこで山本勘助が注目されそうな気がします。


今後も機会があればよろしくお願いします。
ikasama4
2007年12月18日 23:02
なおみ様
こんばんはです。
とうとう終わってしまいました。
自分の首を平蔵に差し出す勘助。

これは自分の予想がちょっと当たったようで
嬉しかったです(; ̄∀ ̄)ゞ

平蔵は昔の勘助なんだと思います。

ただ、勘助と平蔵は
才能とか武芸とか色々あるのでしょうが

生きて大切な人を会いたいという思いと
死んでも大切な人を守りたいという思い

二人には両方があったんでしょうね。

でも、最後の瞬間まで生きる事を諦めない。
そういうとこなんでしょうね。

こちらこそ色々とありがとうございました。
今後もまたよろしくお願いいたします。
ikasama4
2007年12月18日 23:04
さくらこ様
こんばんはです。

>平蔵に首を討てと言った勘助に、
>『兵者詭道也』
>は、まずないですよね。
でも、謀ったように平蔵に矢が飛んできたもんですから
ついついそういう風に穿った考えをしてしまいました(; ̄∀ ̄)ゞ

最後は平蔵と伝兵衛と太吉。
勘助と最初に出会った葛笠村の人達が引っ張っていきましたね。
三人はたしかに見えない絆で繋がっているようです。

一緒にやってきた年月もあるのでしょうけど
勘助の遺体を背負って御館様の下へ向かう
伝兵衛の姿にヤラれました(T▽T)

こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました。
今後もまたよろしくお願い致します。
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