風林火山 第28話 「両雄死す」

御館様と話し終えた後、勘助は気になった事があった。

板垣様、先刻の御館様に申し上げた言葉は板垣様の・・・

勘助、わしはかつて御館様を諌めるために歌を習った事があった。


あかなくもなお木のもとの夕映えに
月影やどせ花も色そふ



勘助、そちが月影になれ。

そちが月影となって御館様を照らし続けるのじゃ。
それでこそ軍師という者じゃ。
この甲斐の国の誠の軍師となるのじゃ。




北の方は甘利に此度の戦について聞いていた。

戦ってみなければわかりません。


これまで御館様は十分な勝算をもって戦ってきました。
しかし、此度の戦は何の勝算もありません。

五分と五分の戦いです。


ご安心下され。
この甘利が御家のために必ずや勝ってみせまする。


何があってもこの甲斐へ戻らねばなりませぬぞ。

有り難きお言葉。
この甘利、何があってもこの甲斐の地におりまする。




板垣は御館様に願い事をした。
諏訪明神の御神号を賜りたいと。

その文字に込められた御館様の思いを見れば
諏訪の者達は心をひとつにするであろうと。

晴信は「南無諏訪南宮法性上下大明神」と書き記した。


これで、この戦。御館様の勝ちにござる。

そう言った板垣の笑顔が勘助には寂しかった。





武田軍は村上義清を討つために兵を挙げた。
それに対して村上も兵を進めてきた。
まるで武田の動きを知っていたかのように。


武田軍は1万
対する村上軍は8千


先陣を逸る真田・馬場の両名を抑え
晴信は板垣・甘利の両名に先陣を命じた。



戦場に向かう板垣。
勘助、そちは本陣にて御館様を御守りするのじゃ。





御武運を

勘助は板垣にそう言葉をかけることしか出来なかった。



これまでの武田軍がしてきた行為を論う村上義清

村上軍の士気は高い。







そして村上軍と武田軍は激突した。



一戦を交えた後、村上軍が退却をしていく。




板垣は退却する村上軍を追撃していった。




その夜、陣を敷いた板垣は伝兵衛を呼んだ。


万が一に備えて、この鎧を着けよ。


板垣様は・・・

よいか。この戦は何としてでも我ら先鋒のみで終わらせねばならぬ。

そうなれば次からは村上攻めを慎重に行うはずじゃ。

後は勘助が上手くやってくれるはずじゃ。

わしは生きて甲斐に戻らん。




我が命、喜んで板垣様に差し上げまする。

伝兵衛は板垣からもらった脇差をずっと持っていた。


板垣には伝兵衛のその心が嬉しかった。







これよりわしは敵に寝返る。

甘利の陣では甘利は部下である初鹿野に告げた。

これより村上の本陣へ赴く。

そこでわしは村上義清の首を討つ。

そうすれば多くの味方を失わずに済む。

このわしが何としてでも勝たせてみせる。

わしがしくじれば
そちは我が軍勢を引き連れて板垣殿と合流するのじゃ。





甘利が村上陣中に向かっていった。



その事は相木を通じて御館様の下に報告された。


晴信は怒りのあまりに
甘利一族を悉く討ち滅ぼすように命じた。




怖れながらこれは甘利様の謀やもしれませぬ。

勘助、謀とは如何なる事じゃ。

単身、敵陣に入り村上義清の首を取るお覚悟にござる!






その頃、村上の陣では甘利は機を窺っていた。


村上義清は夜討ちをしかける準備をしていた。


これ以上は武田軍から犠牲を出してはならぬ。

甘利は動く。


しかし、一閃の矢によって甘利の謀は破られた。


その矢を放ったのは平蔵だった。






百足からの知らせにより村上軍が板垣の陣に夜討ちを仕掛けた。
板垣はその軍勢を追い払った。
そして板垣は更に兵を進めていく。



何故、板垣はかように逸るのじゃ。

板垣の行動に戸惑う晴信に勘助は言う。


戦を早く終わらせるためでござりましょう。

そのため
甘利様は御館様の槍となり
板垣様は御館様の盾となったのです。



そして、勘助は諏訪の手勢を借りて
板垣様を助けに向かうと。


無用じゃ。
わしが参る。


なりませぬ。
御館様は動いてはなりませぬ。


このわしに板垣を見殺しにせよと申すのか!




武田晴信が動いた。



その知らせを聞いた村上も動き出す。






明朝、板垣の陣に一騎の武士が向かってきた。



退け!退け!


必死に叫んでいる甘利虎泰であった。



彼の背中には背中に無数の矢が刺さっていた。



謀はやはり不得手じゃ。すまぬ。


甘利は板垣の腕の中で息を引き取った。



甘利殿、じきに会おう。



そして板垣は御館様が兵を進めてきた事を知る。

全ては板垣の予想通りの展開となって。


そして昨夜の打ち合わせの通りに
板垣は伝兵衛を影武者に仕立てて
御館様の旗を推し進めて村上軍に当たった。


敵の注意を一身に引き受けるために。




その旗印は遠く晴信からも見えていた。

あれは・・・わしか。


板垣の策を悟った勘助はすかさず御館様の旗印を隠した。



村上軍の猛攻撃に板垣軍は徐々に劣勢となっていく。

「板垣を救うのじゃ。」

板垣を死なせまいとして動こうとする御館様を勘助は必死に止める。

なりませぬ。板垣様の御命を無駄にするつもりですか。



本陣の武将達も戦場へ向かう。


板垣殿が御守りする御館様を守るために。



その乱戦の最中、板垣は落馬した。


それでも板垣は敵兵を斬り倒していく。



あかなくもなお木のもとの夕映えに
月影やどせ花も色そふ





そして

板垣は戦場に散っていった。


「板垣!!」


晴信の叫びが戦場に響く。




久々に涙が止まらない(T▽T)





今回の主人公はなんといってもこのお二方ですね。



武田家のために命を捨てる覚悟だった両名。

ただ甘利は板垣を死なせたくなかったようで。

そのためならば自分が死んでもよいと考えたようですね。

一方、板垣は最初から戦場で死ぬつもりだった。


その覚悟に御館様も気付いて動く事も見越して影武者を使ったのでしょうね。



この上田原の戦いは激しいもので両軍合わせて大きな被害があったと言われています。


しかし、武田は板垣信方、甘利虎泰を失います。
この戦いにより武田の信濃統一は遅れますが
一方で武田晴信の成長には必要な戦だったということでしょう。

勘助もこの負け戦は御館様の成長にはなくてはならないものと感じていたようですね。

それでも板垣の死は彼にとっても悲しい事です。

わかってはいたけれど。


勘助にも甘利にも板垣にも負ける事はわかっていました。


信濃での度重なる戦続きと不作で疲れている武田軍。

一方、武田の侵攻に備えて準備を進めてきた村上軍。
両軍の士気の高さの差は明らかです。

でもって、晴信が施した武田軍の侵攻期日を遅らす策も
甘利が村上への信頼を得るために情報が漏れてしまいました。

戦局は五分と五分というよりも
6:4以上の割合で村上に優勢だった事でしょうね。





あかなくもなお木のもとの夕映えに
月影やどせ花も色そふ


板垣が歌ったこの歌は

木の葉や夕日の輝きが光を残しているうちに
月の光もずっと差し続けて欲しい
そうすれば花もそれに合わせて美しく見せよう

という意味みたいですね。

この言葉からもわかるように
勘助に月影となって御館様を照らす光になって欲しい

それを勘助に託したようです。

もう板垣の代わりは勘助に任せられると。


「御武運を」としか言えなかった勘助の心中をお察し致します。







さて、今回は御館様を描いてみました。

真っ赤バージョンです(笑)

甘利が裏切った知らせを聞いた時の表情はコワイものがありますねぇ。
歌舞伎でいうとこの「見得」ですね。


あれには流石の飯富虎昌も慄いてしまいます(笑)



さて、板垣軍を打ち破った村上軍は晴信がいる本陣に向かって攻めていくようです。

ここから勘助がどう対処していくか、とても気になります。


予告の北の方様の言葉がいいですね。

「人は強いそなたを信じるのではない
そなたが信じるものを、皆も信じたいのです」


ここでようやく晴信は勘助が言う己の本当の敵に気付くようです。

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この記事へのコメント

2007年07月15日 23:25
死んでしまうと分かっていても何にもしてあげられない
ただ泣くしかないです(; ;)
私も勘助も、晴信も。
この先、どう動くかが勘助の重要なところ。
そして、晴信も2人の恩に報いる事ができるのか。。。

とにかく悲しいですね。
今回ほど平蔵が憎らしかった事はありません(; ;)
2007年07月15日 23:36
こんばんは
真っ赤バージョンの晴信がよかったです。
アノ怒りの形相も是非お願いしたいですね。
こんなイラスト書ける人って尊敬してしまいます。
今回の千葉ちゃんゴリさんはかっこよすぎでした。
もう涙腺ウルウルしっぱなし!
2007年07月16日 04:44
両雄のイラスト、公式HPのアングルとはまた違っていてステキです(・∀・)/
次回からさみしくなりますよね・・・。
ikasama4
2007年07月16日 14:45
くう様
>死んでしまうと分かっていても何にもしてあげられない
>ただ泣くしかないです(; ;)
特に勘助にも晴信にも色々と只ならぬ恩がある人だからこそ
悲しくなります(; ;)

>この先、どう動くかが勘助の重要なところ。
>そして、晴信も2人の恩に報いる事ができるのか。。。
二人の死によって今までの行動を
晴信が悔い改めて欲しいです。

>今回ほど平蔵が憎らしかった事はありません(; ;)
彼にはちょっと殺意を覚えました。
ikasama4
2007年07月16日 14:46
ぱるぷんて海の家様
こんにちはです。
>真っ赤バージョンの晴信がよかったです。
ありがとうございます。

>アノ怒りの形相も是非お願いしたいですね。
画像があれば是非にでも

>今回の千葉ちゃんゴリさんはかっこよすぎでした。
>もう涙腺ウルウルしっぱなし!
先程から公式HPにある予告編を見て
何度もウルウルさせてます(;▽;)
ikasama4
2007年07月16日 14:46
うさ様
>両雄のイラスト、公式HPのアングルとはまた違っていてステキです(・∀・)/
ありがとうございます。

>次回からさみしくなりますよね・・・。
そうですね。
でも、その悲しみを乗り越えて武田も勘助も
頑張っていく事でしょう。
2007年07月16日 18:11
iaksama4さん、こんにちは◎
>武田家のために命を捨てる覚悟だった両名。
ただ甘利は板垣を死なせたくなかったようで。
そのためならば自分が死んでもよいと考えたようですね。
そうそう、甘利の最期はぱっとしませんでしたが、そこに至るまでの悲壮な決意に泣けましたね(><)そんな悲しい決意も知らず「甘利一族を殺せ!」とか何とか言う「フグ」!海に放り込んでやりたいですね!(それこそ水を得た魚になっちゃうか・・・)
今回の「カラータイマー」が点滅したフグのイラスト・・・フグは嫌いですが相変わらずお上手◎・・・さらに全然関係ないんですが、この斜め下の「ペンキぬりたて」のikasama4さん、可愛らしいですよね(^^)
2007年07月16日 22:47
ぼろ泣きでした。板垣が伝兵衛に影武者の鎧兜を取り出した瞬間「ああ、もうとうに覚悟は出来ているのね・・・」と胸が張り裂けそうになりました。板垣はいつも物凄く分かりやすく御館様に尽くしていたと思うのですが、甘利は私には少し分かりづらい人でした。だから、正直そんなに好感を持ってなかったんですが・・・不器用なだけで板垣と同じように御館様を愛していたのだと分かった途端、甘利のために涙が止まらなくなりました。
今回の主役は文句なくこの御二人。(イラストもとっても気合が入っていて素敵です。)誰もが主役を張れるような役者さんが揃った、本当になんて贅沢な今年の大河!!私の中でとうとう「伊達政宗」を超えてしまいました。
市川さんの表情、凄まじく怖かったです。赤い晴信さんも怖いです(笑)というか、めちゃくちゃそのままですよね。どうしたらこんなに似せられるのですか?!感動モノです。
来週はその御館様がどう二人の死を乗り越えるのか?また大きな見せ場ですね。
ikasama4
2007年07月16日 23:10
なおみ様
こんばんはです。
板垣・甘利の考え方はそれぞれですが
武田を思う気持ちは同じですね。
そして、自分の命を賭けてでも守りたいと。
もうこれだけで泣きそうです(;▽;)

フグはねぇ。
いわゆる若気の至りというやつでしょうかね。
ちなみに現在、経済産業大臣をしている甘利明さんは
甘利虎泰の子孫だそうですから
一族を厚遇していたんだと思います。

>この斜め下の「ペンキぬりたて」のikasama4さん、
>可愛らしいですよね(^^)
なんともお恥ずかしい限りです(; ̄∀ ̄)ゞ
ikasama4
2007年07月16日 23:11
meihua様
影武者を立てる
それは村上軍を全て自分で引き受けるという板垣の策。
これで彼の覚悟が分かりますね。

甘利の場合
あくまで甲斐国を守ろうとした訳なんですね。
ただ不器用なだけで。
戦の勝負とは何を守り何を失うか
この事を本当に一番分かっていたんでしょうね。
それだけに彼の死が悼まれます。

>私の中でとうとう「伊達政宗」を超えてしまいました。
そういっても過言ではないですね。

市川さんの表情。
あれは歌舞伎ならではの見得でしょうね。
鬼が宿ったような表情でした。
これは今後に残る内容ですね。

>来週はその御館様がどう二人の死を乗り越えるのか?また大きな見せ場ですね。
ええ、ホントその通りです。
2019年05月02日 22:15
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