風林火山 第26話 「苦い勝利」

信濃・佐久群の志賀城主である笠原清繁が兵を挙げた。
関東管領・上杉と呼応しての事。
御館様は如何なる戦いをするのか―――。



信濃先方衆を呼び寄せた晴信。

此度こそは武田に歯向かう者を一掃する。

総勢を以って志賀城を取り囲む。

その先鋒は芦田信守とすると言う。
それはすなわち佐久に生まれし者達同士で戦わせる事になる。



もし、関東管領が動いた場合は真っ向から迎え討つと言う。


馬場信春には水の手を断つよう命じた。



城攻めの手立ては勘助に任せまするか。


無用じゃ!


一同は驚く。
晴信は勘助の進言を求めようとしない。

もう勘助なしでも自分の力で武田家を勝利に導く事ができる事を示すかのように。


村上の動きを真田幸隆に尋ねた。
どうも志賀城から村上に使者が行ったと言う。



晴信は動いた。






数日後、相木市兵衛が村上義清の下に向かった。

信濃の平定の戦ではいつも我ら信濃衆が矢面に立つ。
それには我慢していたのだが、此度の戦では
同族である笠原清繁と戦わなければならない。
それが相木には我慢がならないと。
そして、村上に志賀城の援軍を出す事を止めてもらうように申し出た。
これ以上、同族同士で戦いたいくないと。



関東管領の軍が動いた。
本軍ではなく西上野の軍らしい。

晴信は板垣・甘利の両名にその軍を迎え討つよう命じた。


お待ち下され。
村上の援軍がきた時の対処を考えなければ。
進言する勘助に晴信は断言する。


「村上の援軍はない。」



その言葉の裏に何があるのか勘助は図りかねていた。



そして直も晴信は言う。

「武田に歯向かう者は犬死であると全ての信濃衆に知らしめるのじゃ。」




その夜、板垣と甘利は語り合う。

御館様はいつになく勝気にはやっておられる。
逆らおうとする者の戦意を悉く挫くつもりじゃ。

まるでかつての先代。

あの御館様が今はお父上に重なって見える。

―――我らがこのようにしてしまった。


されば・・・





数日後、板垣・甘利の軍が関東管領を打ち破った。


もう志賀城を支援する者は誰もいない。
水も断たれ孤立無援となった志賀城を晴信は攻めるように命じた。


援軍を打ち破りし後も城を攻めるのですか?


後は城中の者を生かしておけと申すのか。


板垣らの進言を御館様は耳を貸さない。

山本勘助、そちの考えを申せ!

珍しく甘利が勘助に意見を聞いた。


軍師であろう!申し上げてみよ!!


某が城に参りまする。
援軍が来ぬとあらば他は降伏するより道はありますまい。

某が命を賭して使者に立ちまする。

城攻めはそれからでも遅くはありますまい。

戦わずして勝つは最善の策なり。


何を得意げに申しておる!
それ故に我らに歯向かう者が後を絶たぬのじゃ!!




逆らうても勝てぬ相手である事を力を以って屈服させる
それでは後々にまで遺恨を残す事になりまする。


将たる者、慈悲を見せる事も肝要にござりまする。


黙れ!勘助!!


静まり返る陣中。


それも致しかたなき事と小山田一人が賛同する。
戦って死なせる。
それもまた武士としての慈悲であると。



晴信は勘助に降伏を促しても良いと命じた。

ただし、討ち取った援軍の首三千を志賀城の周りに並べる事を条件にして。

それで降伏する者があれば命は助けると。


翌日、御館様の命により、援軍の首を並べ勘助は叫んだ。

城を明け渡せば命は助ける。

武田は如何なる援軍も恐れぬ。
如何なる武力も恐れぬ。

しかし、勘助の悲痛なる叫びも城にまで届く事はなかった。




それから間もなく志賀城は力攻めにより落ちた。


笠原清繁はおろか城兵は全て討ち取られた。

捕らえられた女子供は売られていった。

全ては武田の恐ろしさを見せしめるために。



そして笠原清繁の妻は小山田信有が褒美として貰い受けた。
かつて海ノ口で共に戦った平賀源心の娘だった。

あの時、自分の顔を見て無邪気に微笑んでくれたあの時の娘。




武田家の家臣となった勘助の慈悲は今の姫に届く事はなかった。




相木は村上に内応したフリをしていた事がわかった。
全ては御館様のお言いつけで。

勘助には全く知らされていない。

相木の家族は武田家にいる。
相木が武田家を裏切る事なぞ出来るはずがない。



「勘助、恐ろしきお方じゃの。御館様は。」



幸隆の言葉が勘助に重く圧し掛かる。




御館様はこの勢いで村上を討つかの。

いずれにせよ、次は村上と戦う事になる。


勢いのみで戦う事になれば若い御館様の事。

二人はある決心した。



その夜、晴信は由布姫の胸で打ち震えていた。

「わしはこれまで戦に勝つ事が恐ろしかった。

今は負ける事が恐ろしい・・・恐ろしい・・・」




戦国の世は裏切りが常であります。
武田家では勘助がこのような調略を用いていますが

村上義清はそのような行為を嫌っているようです。
そのような事をすれば、いずれ己の家臣も疑わなければならぬと。

たしかにそういう考えは一理あります。

しかし、自分が気に入らないからと言って
相手が調略をするのに、こちらが調略する事を嫌っていてはねぇ。

いつか、その嫌いなもののために身を滅ぼされる事もあるもので。





さてさて、今回の志賀城攻めは武田家の恐ろしさを知らしめるものでした。

城兵は悉く討ち死に。
女子供は皆売られてしまいました。


晴信は自分に敵対する勢力を一掃するためにこのような処置を行ったようです。


しかし、一方で晴信に対する恨みを増大させるものでもあります。
勘助も言ったように甲斐にも志賀城の兵士と同じ身内がいます。
今回の行為はその者達の恨みを生じる事になります。

そこで対武田の勢力となる村上義清に集中していく事になり上田原の戦いに繋がっていきます。


この上田原の戦いは以前の大河ドラマ「武田信玄」で晴信が連戦連勝による驕りを戒める教訓と
なっていましたが、この作品でも例外ではないですね。


駒井も言っていましたが御館様には強さもあれば弱さもあります。
晴信はその弱さを己の情と考えたようです。
己の情がいつまでも敵が減る事がないと考えたのでしょう。

だから己の情を捨て去ろうと晴信はしてます。

しかし、そういった己の弱さを捨て去る行為こそ己の弱さそのものではないかと思うんですがね。



負けを知る事で晴信は「負ける事の恐怖」から解放されるのでしょうけどね。
また、「己の弱さ」も認める事が出来ると思うんですけどね。

そのために何人もの血が流れるかと思うとねぇ。







さて、今回のもうひとつのメインは美瑠姫です。

小山田信有は志賀城の褒美として美瑠姫を貰い受け、そして彼女を妻にします。


これは美瑠姫を勘助が見知っていたから
美瑠姫を勘助が慕っていたように見えたから
小山田は美瑠姫を妻にしようとしたのかもしれません。


「御館様は和子様を生んだと言うのに某は寝首をかかれるとでも」


この発言の裏には
御館様が出来た事ならば自分にも出来るはずだという自信があるように思います。


自分にも一国の当主としての器があると。


つまりは晴信に対する対抗意識からって事なんでしょうね。


信有の決断がどうなるのか気になるとこです。




次週は「最強の敵」が姿を表します。


この「最強の敵」とは
越後の長尾景虎か

それとも信濃の村上義清か

それとも別のものなのか

気になるところですね。

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この記事へのコメント

2007年07月01日 23:46
誰が本当に敵なのか、ライアーゲームですよね~。。。
相木は結局は裏切ったわけではない、と。。。
いや~な感じの武田サイドで、勘助が気の毒でした(>_<)
しかし。。。小山田さまは痛いなぁ。。。
2007年07月01日 23:48
ikasama4さん、こんばんは♪
>「御館様は和子様を生んだと言うのに某は寝首をかかれるとでも」
この台詞に凍ったのはきっとワタシだけではありませんよね?NHK・・・脚本上手いのか下手なのか・・・ビミョーですよね?
そ・そ・そikasama4さんも「ドラマ本」お買いになったんですね?あの「小山田さま」いいですよね?ねっつ?(←必死)でもヒゲなしで頼むよ~~ん(><)
あ、ikasama4さんはヒゲOK派?ですかしら・・・そしてご自身もヒゲ・・・?
ikasama4
2007年07月02日 01:06
くう様
>誰が本当に敵なのか、ライアーゲームですよね~。。。
>相木は結局は裏切ったわけではない、と。。。
裏切ろうにも家族が人質にとられているから
裏切る事ができない。

この点で御館様に対するイメージはマイナスですね。

>いや~な感じの武田サイドで、勘助が気の毒でした(>_<)
由布姫の「勘助がいなければ武田家はなかった」と
言われた事からずっと御館様は勘助に嫉妬してるようです。
かつて勘助に言ったように
小さき恨みは捨てて大望に生きて欲しいんですけど。

>しかし。。。小山田さまは痛いなぁ。。。
まぁ戦国時代という事で多めに見てはいかがでしょうかね。
(;・∀・)ゞ
ikasama4
2007年07月02日 01:06
なおみ様
こんばんはです。
>この台詞に凍ったのはきっとワタシだけではありませんよね?
まぁこれはある意味、己の今後の運命を指し示してますからね。
でも、この言葉は御館様を意識してのものですからね。

彼は認められたいんでしょうね。
自分にも御館様と同等の才能があるって事を。

このドラマを見れば分かると思いますが
甘利や真田はヒゲがないですね。
もちろん長尾景虎も(笑)

ヒゲには似合う人似合わない人がいますからね。

ちなみに小山田さんのヒゲはNO!!です(苦笑)
2007年07月02日 17:37
こんにちは!
小山田さん、いつもクールな素振りを見せていますが、実は誰よりもライバル心に燃えた熱い人のようですね。
、と言うのが、いつもチラちらっと垣間見えているのですが、今回はむき出しのようでした。
あ、私はヒゲOKです~v♪

前回は晴信も勘助も、壊れ気味でしたが、今回は勘助はまともだったので救われました。

それにしても首3000掛け並べよとは、あまりにも酷いですね。


2007年07月02日 20:03
ikasama4様、こんばんは。
もう、今回は見所満載で・・・。
パパムス7がなかったら
もう少しじっくりレビューしたい回でした。
とくにチラ出の越後兄弟戦争は
「むなしい・・・この世は空なのじゃ・・・
空であるから虚しいのか
虚しいから空なのか
・・・ふっ・・・また勝ってしまった」
的なビューティー謙信・・・。
楽しみでございます。
晴信はそろそろ病の兆しか・・・。
戦の勝利に悪しき酩酊をしたか・・・。
独裁者の孤独の影が美しいのでございますな。

ところで業務連絡ですが・・・。
aki様の初期ヴァージョンに
動物タイプがあるんですが
あの動物は・・・何ですか?
失礼な質問だったら
じいやは動物名が苦手ということで
お許しのほどを・・・。
ikasama4
2007年07月02日 20:59
さくらこ様
こんばんはです。
>小山田さん、いつもクールな素振りを見せていますが、実は誰よりもライバル心に燃えた熱い人のようですね。
そのようですね。
勘助というよりかは
御館様をライバル視してるようですね。

>あ、私はヒゲOKです~v♪
了解しました(笑)

>それにしても首3000掛け並べよとは、あまりにも酷いですね。
でも、これは史実として残っていますからね。
何度も反乱が起きる事と連戦連勝と晴信の若さが
晴信の驕りを生んだのかもしれませんね。
ikasama4
2007年07月02日 21:00
キッド様
こんばんはです。
>パパムス7がなかったら
>もう少しじっくりレビューしたい回でした。
実は私もその一人です(; ̄∀ ̄)ゞ

越後・長尾景虎の信念。
あの自信のちょっとでも
晴信に分けてあげたい程です(笑)

そして晴信は勝つ事の恐怖を
己の畏怖にしようと必死です。

ここが崩れ去っていく事が
ひとつの見せ場になっていくのでしょうね。

業務連絡について
あの動物タイプはaki様のプロフィールにある
写真(犬)でございます(;^∀^)ゞ
2019年05月08日 10:41
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