風林火山 第25話 「非情の掟」

晴信は京の公家達のために歌会を催した。
今回、来られた公家達。
要は晴信の寄進をアテにした。
晴信は公家達を丁重に持て成した。

天子様の御為に信州をお治め致します。
武田晴信は戦国大名としての自信を深めつつあった。



最近の晴信は京や駿河など国外の事ばかりに関心が向かっている。

領国の事は誰よりもこのわしが心得ておる。


その自信が三条夫人は不安だった。



由布姫が授かった和子様―――四郎様。

勘助は四郎様に諏訪家を継がそうと考えていた。




それはならぬ。



諏訪家を継ぐのは寅王丸じゃ。

恨みで言うておるのではない。
寅王丸の行末を考えればどちらを立てるにせよ

このままでは寅王丸と四郎が争う可能性がある。

そんな運命に巻き込みたくはない。



勘助は諏訪にいる板垣信方を訪れていた。
寅王丸の伯父にあたる諏訪家家臣もその場にいた。


諏訪家家臣としては
できれば四郎様を諏訪総領として継がせたい。

しかし、それでは後々寅王丸様が成人した時に争いが起こる可能性がある。


その本音を聞いた勘助は言う。


寅王丸様はそれがしにお任せ下され。



その頃、寅王丸はお北の方と平穏な日々を送っていた。




勘助は晴信の前に現れた。


寅王丸様の事にござりますが
おそれながら寅王丸様には出家していただければと存じまする。

そうすれば諏訪の将来にも憂いを残しませぬ。

預けるには駿河の雪斎がよろしかろうと存じまする。


晴信はその申し出を了承した。


その事の仔細を晴信の小姓・飯富源四郎が聞いていた。




その時、晴信は良き君主たるために
今川家家中にある良き掟に習って、武田家の法度を作ろうとしていた。



その法度は駒井政武と春日源五郎が思案していた。


ふと御館様は勘助に告げた。

駿河には法度の他にもうひとつ良きものがある。

それは―――海じゃ。

いつか、このわしはあの海を手に入れてみたいものよ。






「あつかましい。」


武田家の使者にきた勘助に今川義元はこう吐き捨てた。

「おのが父親だけに飽き足らず甥までも追放するつもりか。」


しかし、今川義元の母・寿桂尼と軍師・雪斎には別の思惑があった。

寅王丸を雪斎の下に預けて出家させる。
つまりは新たな人質を駿河に使わすと考えてよいという事。

武田晴信はいずれ信濃を手に入れる。

万が一、武田家が今川家の敵になれば
我らはその若君を大将にして武田家に攻め込むとしても
かまいませぬな。


構いませぬ。


こうして、寅王丸は出家する事となった。
勘助の思惑通りに。


母上、あまりかの者を信用なされまするな。


心底人のために働く者はおりませぬ。
皆、己のためにしているものでござりまする。

勘助、そちはその己がその欲が強すぎるのじゃ。

主への忠節を隠し蓑にしておる。
それがそちの醜さじゃ。





たしかに寅王丸を戦に巻き込みたくないといったのは娘の願いであった。

しかし

もし、四郎が生まれておらなんだら妹の声を忘れておったのではないか。

晴信は母上に寅王丸の出家の事を伝えていた。


それで四郎が諏訪を継ぐ事で収まるかもしれない。

しかし、

四郎が諏訪を継ぎ
太郎が甲斐を継ぐ

それで丸く収まるとは思うておるまい。

四郎も太郎もそなたの子。

そなたがどちらかに情を傾ければ
その情を巡って二人が争うやもしれぬ。
そなたには父としての覚悟を決めなければならぬ。

父としての心構えをしっかりと持たなければなりませぬ。





勘助は馬場信春に城取りを指南していた。

そこには郭がひとつ多かった。
いずれ伊那郡代となられる方が入るための郭。

勘助は四郎の事を見越しての郭だった。

その勘助の思いを信方は嗜めた。



勘助、たとえ傅役であってもいずれその役は終えるのじゃ。
私利私欲のために育てる事はあってはならぬのじゃ。
それを忘れてはならぬ。



雨が降り始めた。



わしは醜いか

生まれたての美しさがわしには眩しい。

わしはあのように美しい和子様を見た事がない。

四郎様は汚れてはならぬ。

その汚れはこの勘助が一心に背負う。

あの美しい和子様に御館様の家督を継いでもらいたい。

そのためには如何に己が醜くてもかまわぬ。




その頃、駒井と春日は未だ法度の内容を思案中。

童同士の喧嘩は是非もない事。
しかし、そのために親が出てくると碌な事はないですからな。


そう、二人が笑っている中
笑えない状況が武田家家中で起きていた。





此度の寅王丸の出家について
三条夫人は御館様に苦言を呈した。

このままでは四郎に武田家の家督をも奪われてしまうのではないかと。


そないに四郎が可愛いのですか。

太郎と四郎はいかがです。

太郎は武田家の嫡男。

その座を四郎が奪うやもしれませぬ。

なればその旨、太郎にお聞かせ下さりませぬか。

家督は安泰だと太郎にお言い下さりませ。



・・・誰が安泰と言うた。
誰が家督を継ぐなどと決まってはおらん。

家督を決めるのはこのわしのむね、三寸じゃ!!




その話はお北の方をはじめ、家臣達に瞬く間に広がった。


諸角は言う。
あれは不仲であればある程同じ道を辿るようでござりまするな。


母は言う。
父としての歩みよりも
主君としての歩みの方が強いのかもしれぬ。



甘利は言う。
これはもしかすれば山本勘助の策謀なのやもしれぬ。


勘助はどうでもよい。
晴信の心が心配なのじゃ。





そうして法度は出来た。
駒井は御館様に提出した。

怖れながら、まだ1ヶ条足りませぬ。

その1ヶ条御館様自らがおつけ頂ければと存じまする。

「この法度に主君、自らも従うべき」と。

それでこそ正しき法度になるかと思いまする。

駒井、よう申した。その進言天晴れじゃ。



その頃、佐久ではまた不穏な空気が流れていた。

謀反の主は笠原清繁。

しかも、彼は
関東管領にまで援軍を頼っておる。

そうなれば、この戦は難しきものになる。



この戦で晴信は鬼の一面を見せる事になる。


その頃、勘助は四郎様を抱きかかえて、こう漏らした。

御館様に似て慈悲深い美しい笑みをしておりまする。



今回、今川家とのやりとりの時の画面割りは大河ドラマでは
とても新鮮な演出です。

ちょっと見ててドキドキしました。


今後もこういうのが見れるかもしれないですね。


それから、駒井政武が作成した甲州法度。
これは後に徳川家康が江戸幕府を開いた時に作成した
「武家諸法度」のモデルになったものと言われています。


そこで子供達の争いに親が口を挟んではいかんですなと笑っている中、
嫡男・太郎を武田家後継ぎが当然だと考えている飯富一族&三条夫人と
四郎をいずれは後継ぎにしたいと考えている勘助の争いの火種が
ここで起こっているのですからね。

飯富虎昌が勘助に「嘘を申すな」と言うたのも
晴信の小姓・飯富源四郎が全部聞いていたからなんでしょうね。



それから晴信の関心は駿河の法度、駿河の海、京と国外に向いていますね。

駿河の海を見た事で晴信の関心が国外に向けられた。

良い君主であるために。


その思いが強すぎて父親としての心根が薄まっている。



虐待を受けた子供が大人になり、親になると
その親が自分の子に同じように虐待をする可能性が高くなるという報告があります。

諸角虎定の言葉は自身が生きてきた経験から
その事を感じ取っているようです。

人の親になるって事はつくづく大変なものです。



また、勘助の心中を今川義元は見抜いていたようですね。
どこまでも己の欲望を貫こうとする。
そのために主への忠義を隠れ蓑にして。


たしかに今の勘助は
四郎様を武田家の当主にしたいという欲に支配されています。

それが武田家の争いの序章なんでしょうね。




さて、来週ですが・・・・・



笠原清繁との戦いですねぇ。



終盤の展開にとっても悲鳴が聞こえてきそうな気がします。

特に小山田ファンには(笑)

まぁそれも戦国の世ですからいたしかたないのかもしれないのですが
この戦いでの晴信の処断はあまりにも過酷でむごいものです。

この辺りは来週語るとして。




予告を見るといよいよ長尾家家中が見れるようですね。


あれからちょっとこんな感じで描き直してみました。




クリックすると色調補正してないバージョンが見れます。

ちょっと服の模様に凝ってみました。
だけど凝ってみたらなんかチャチイ気がしてきました(;・∀・)ゞ




さて、話を戻して。

その長尾家の家臣団ですが

直江実綱を西岡徳馬さん
柿崎景家を金田賢一さん

そして上杉家の軍師・宇佐美定満を緒形拳さんが演じられます。

景虎も含めて長尾家はどんな雰囲気になるのかが楽しみです。

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この記事へのコメント

2007年06月24日 22:41
Gackt描き直されましたね!
うふ、目がすごくいいですね~色っぽくて妖しげで~♪
模様も素敵ですよ!

諏訪家の跡継ぎやら、武田家の家督やらとざわざわとして来ました。

そんな中、晴信は法律の設定、甲斐法度となるものを作りましたね。
法に反すれば晴信自身も罰すると言う珍しいものですね。

次週景虎がまた見れそうですね!
2007年06月24日 23:27
義元が醜いと言っていたのは、見た目の事じゃなかったんですね~。。。
それが解った今週、ちょっと義元を見る目が変わった私でした(-.-)
来週は、先週よりも、も、ちっと現実味のある
景虎がみれそうで、楽しみ♪
ikasama4
2007年06月25日 00:59
小雪様
>うふ、目がすごくいいですね~色っぽくて妖しげで~♪
>模様も素敵ですよ!
どうもありがとうございます。
毎度毎度人物の目だけはいつも手間暇かけてます。
服の模様はどうも苦手で苦労してます(; ̄∀ ̄)ゞ

>そんな中、晴信は法律の設定、甲斐法度となるものを作りましたね。
>法に反すれば晴信自身も罰すると言う珍しいものですね。
そうですね。
この法度が江戸幕府の「武家諸法度」になっております。

こうして良いものは次の世代に受け継がれるって事なんでしょうね。

>次週景虎がまた見れそうですね!
ええ、今度は家臣団も揃っていて
どんな雰囲気なのかとても楽しみです。
ikasama4
2007年06月25日 01:00
くう様
>義元が醜いと言っていたのは、見た目の事じゃなかったんですね~。。。
>それが解った今週、ちょっと義元を見る目が変わった私でした(-.-)
主のためとか言いながら私利私欲ではないにしろ
己の目的を果たす勘助の性格を見抜いていましたね。
義元もまた並みの人物ではないという事ですね。

>来週は、先週よりも、も、ちっと現実味のある
>景虎がみれそうで、楽しみ♪
ええ、そうですねぇ。先週はちょっと
神懸っていましたからねぇ(笑)
2007年06月25日 09:51
今回の大河は「胸躍る合戦活劇」と「胸むかむかするダークな陰謀」とテーマが分かれてるような・・・(笑)後者はちと苦手ですねぇ・・・。
今回はikasama4さんや、くうさんが仰るようにワタシも義元の発言には「お!?」と思いましたよ。ちょっと義元を見る目が変わりました。
>終盤の展開にとっても悲鳴が聞こえてきそうな気がします。
特に小山田ファンには(笑)
・・・(笑)そうですね~一応覚悟はしてるんですが・・・ま、その後もikasama4さんには「存分に」お働きしていただくシーンを設けさせていただきますので、お楽しみに♪
ikasama4
キッド
2007年06月25日 14:11
ikasama4様、こんにちは。
まこさまああああああ・・・っとそれはじいやでした。
わこさまああああああと勘助が見果てぬ愛の夢にすがるとき・・・
キッドにはとても気分が分かる気がするのですが
お茶の間の受けはもう一つなのでしょうか。
瀬里の演技は見事なのですが・・・。
義元の「本質を見抜いているが配慮に欠ける」というあたりが
伝わっていないようです。
あそこで言葉を呑めるような穏便さがあれば
桶狭間はなかった・・・のでしょうからね。
キッドとしてはもっともっとドス黒く、
もっともっとじいやでOKでございます。
TBはれないけどコメントはどうでしょう・・・?
ikasama4
2007年06月26日 06:12
なおみ様
表に見える出来事の裏には
少なからずダークな陰謀があった。
それぞれの思惑とは別に。

これがこの世の常なのかもしれないですね。

>ちょっと義元を見る目が変わりました。
ええ、そのために勘助は
なんらかの感情を抱いたようです。
これが何なのか今後見られる事でしょう。

おそらく今度の武田家の処断には
ドン引きしそうですからね。

>ikasama4さんには「存分に」お働きしていただくシーンを設けさせていただきますので、お楽しみに♪
某の働き場所をお作り下さるとは
ありがたい限りでござりまする(笑)
ikasama4
2007年06月26日 06:13
キッド様
おはようございます。
「わ」と「ま」が違うだけでその思いが変わってくる。
とまぁ思いとは紙一重なのですが
ほどほどであれば、それは忠義なのでしょうが
これが過ぎれば私利私欲になり、
いずれはお家を争いに巻き込んでしまうのかもしれませんね。

>あそこで言葉を呑めるような穏便さがあれば
>桶狭間はなかった・・・のでしょうからね。
まぁ吉良のご先祖様ですから
こういう運命を辿ったのでしょうね(苦笑)
これについてはまた番外編で書いてみようかなぁ。

>TBはれないけどコメントはどうでしょう・・・?
全然OKです(笑)

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