わたしたちの教科書 第11話

あなたと明日香さんはどのような関係でしたか。


明日香さんは私の手をひいてくれた。


『先生、こっちこっち』

狭い空き地にはむせ返るほどのキンモクセイの香りがした。

私たちは大きな木の根元に腰を下ろし

彼女は夢の話をしてくれました。


学校の先生になりたい。


私はあの子が大好きでした。

将来を夢見るあの子が大好きでした。


あの子が自殺を考えるはずがありません。

それは今も変わりません。

その一方で彼女には二面性がありました。
ひとつは感受性が豊かだった事。
もうひとつは虚言癖でした―――。





加地が職員室の先生達に切り出した。

皆さんに相談したいのは兼良陸の事です。
彼の父の事を告発したのは彼です。
そして兼良は自分がイジメをしていた事も認めました。

だから?
そんな事、言われてもねぇ。

熊沢先生達らにはイジメに向き合えるだけの勇気がなかった。
というか、向き合う事=戦う事が怖かった。


殊更に騒ぎを大きくしたくなかった。




法廷では積木珠子と雨木副校長とのやりとりが繰り広げられていた。

雨木は
イジメという事実について全て狂言だと言う。

純粋さと残酷さを併せ持つ子供。
それを全身全霊で受け入れる仕事。

それが私たち教師なのです。








カネヨシリク。



その名前を聞いて男は笑った。



法廷を終えて積木は雨木に詰め寄った。

認めなければイジメが続きます。

これ以上過ちを犯さないためにも


私は過ちを犯しておりません。


そうして雨木は去っていく。



これが学校を守るって事なのでしょうか。

認めたくない理由があるのよ。


雨木音也


彼の中に雨木副校長の秘密があるのかもしれない。






訴訟は重要な時期を迎えております。

色々とあらぬ噂もあるでしょう。
先生達はそれを真に受けてはいけません。


先生達は向き合うのが怖かった。
雨木先生に逆らうのが怖かった。
逆らうとどうなるのか知っているだけに。



そして、雨木は身をもって感じていた。

イジメを認めてしまうとマスコミ達のバッシングにより学校は潰されてしまう。

私たちは学校を守らなければなりません。

それが教育委員会の方針でもあるのだから。





積木は雨木音也と接触した。

かつて雨木音也は二人の人間を刺した。


あなたに刺された二人はどちらもイジメの加害者だった。


そのとおり。

悪いイジメっこは僕が処刑する。




そして、もうひとつ。

ふたつの事件には共通点がもうひとつある。


それは事件後、ふたつの学校からイジメがなくなった。

僕のおかげでイジメはなくなった。

かつて、母さん達の学校はイジメを公表した。
しかし、学校側がバッシングされて
何の解決にもならなかった。

そして母さんは気付いた。
僕のやり方が正しかったんだって。






それから積木は兼良陸からある証言を得た。

それは兼良に雨木副校長が話していた事。
彼女自身がイジメがあると認めていた事。
そして藍沢明日香に雨木が宛てた手紙がある事。


それから積木は
兼良陸が手紙を埋めたという河川敷に幾日も探し続けた。












忘れ物を取りに来た仁科。

そこで一人の男性がノートを破っていた。



あの・・・何してるんですか?
それ兼良君のノートです。

知ってるよ。
イジメっ子でしょ。

そんな悪い奴、死刑になった方がいいんじゃない?


思いません。


何で?


仁科はその問いに答えることができなかった。








先生、僕の事を教室で話して下さい。

僕が藍沢さんをいじめていた事、話して下さい。

そうすれば何か変わりませんか。


兼良がイジメを認めている。



それなのに大人であり先生である自分達にはそれができない。


この学校にあるいじめについて話し合います。

イジメは僕達一人一人の問題なんです。

僕達一人一人が解決しなければならないんです。



それでも雨木はイジメを認めない。

彼女の権力を持ってしても。

彼らは従わない。




副校長、イジメはあると認めて下さい。
お願いします。

認めて下さい。

お願いします。



当校には・・・当校にはイジメはありません!







そして雨木副校長は「透明人間」になった。




人の気持ちを考えるという事は簡単なようで難しい。
みんなには今一度考えて欲しい。

これは他人事ではない。

全員が自分自身の心に問い掛けなければならない。

私たちが何をしたのか
私たちが何をしなかったのか

今一度考えて欲しい。




教科書がなくなった時の気持ち
靴がなくなった時の気持ち
体操服が隠された時の気持ち








その夜、雨木の前に積木が現れた。


嘘だと思ってました。

あなたが証人尋問で明日香と話した思い出は。

しかし、本当だったんですね。


雨木副校長が明日香に宛てて書いた手紙

雨木はイジメを認めていた。

わたしはあなたを助けます。

だから、兼良君とも個人的に会いイジメを止めようとしていた。

しかし、間に合わなかった。
何故間に合わなかった。


あなたは以前イジメを認めたためにバッシングを受けていた。


息子さんが言っていたように
『イジメっ子を排除する事でしかイジメをなくす事ができない。』
その考えに支配されるのが怖かったんじゃないですか。

怖れがあなたの考えを鈍らせた。

そうではありませんか。

私はこの事を裁判で争いたいかどうかを言っているのでないのです。



私はお聞きしたいのはあなたが明日香をどう思っていたかです。

あなたは明日香のために努力された。苦悩された。

しかし、それでも私はあなたを許せません。


あなたは明日香を「嘘つき」だと言いました。


あの日、キンモクセイの木の下で明日香はあなたに言った。

『先生になりたい。』

雨木先生のような先生になりたい。


あなたに憧れていた明日香は
あなたのことが大好きだった明日香は

教えて下さい。

明日香は嘘をつきましたか?




・・・いいえ。


意外な返事だった。


積木さん。
私の考えは変わりません。
イジメを認めれば学校は壊れます。

しかし、これだけは言えます。

藍沢明日香さんは嘘をつくような子ではありませんでした。



・・・はい。


雨木は積木に紙袋を渡した。

「お返しします。」

その中身は明日香が質屋で父の大事なモノを売った
お金で買った教科書だった。


雨木はこれ以上、藍沢明日香が傷つくのが耐えられなかった。






翌日、雨木は教育委員会からも見放された。


自分には音也がいる。


そう思って戻った自宅には
ぬいぐるみに包丁が突きたてられていた。



ぬいぐるみの下にはメモがあった。

そこに『カネヨシリク』と書かれていた。






雨木は事態を察知した。

息子が何をしようとしているかを。





急ぎ学校に戻った雨木。

兼良は教室で掃除をしているらしい。

その報告を受けて安堵した雨木の後ろに兼良がいた。



そして音也がいた。



兼良の首筋にナイフを突き立てて。


職員室が凍りつく。



大人達はなす術がない。



母親の目の前であの惨劇が三度繰り返されようとしている。


男は狂っている。


その凶刃に加地が倒れる。


大人達はなす術がない。








法廷では積木が藍沢明日香の教科書をイジメの証拠として提出した。


「私に証言させて下さい。」

法廷に一人の女性の声が響く。


仁科朋美さんは明日香さんの同級生です。

では、証人になるには次の法廷で・・・


ダメなんです!
今じゃないとダメなんです!!




そして、仁科朋美は証人として証言台に立つ。



「原告代理、尋問を始めて下さい。」



仁科朋美さん・・・


「私、明日香が死んだ時

その教室にいました。」




突然の出来事に法廷が凍りつく―――。














キタ━━(゚∀゚)━━!!!!!



ここにキテかなり衝撃的な展開を持ってくるなぁ。


第1話の感想
もしかしたら藍沢明日香は自殺じゃなくて他殺で
その実行犯が仁科朋美という自分でも「まさかなぁ」とかっていう
予想をしてみたけど、もしかして実現(;・∀・)?

それはそれでなんか嫌だなぁ。

まぁ予告を見る限りではそんな感じには見えなかったので
ちょっと安心したんですけど(;^∀^)ゞ




それにしても教科書を燃やしていた陸君が
何故手紙だけ埋めたってのはちょっと強引な設定じゃないでしょうかねぇ(苦笑)





それから雨木副校長が頑なにイジメを認めなかった理由。

・・・なんかアト付けだなぁ(苦笑)

まぁドラマにはありがちな展開といえばそれまでなんだけど

雨木副校長は最初からこの学校にはイジメがある事を知っていた。

でも、あくまでそれは内密に。

それを公表してしまうと
マスコミのバッシングにより学校が潰れてしまった。

それを2度も経験していた雨木は
公表では何の解決にもならない事を痛感していた。


そして、息子が犯した事件によってイジメがなくなったことから
その判断が鈍っていた。

って事みたいですね。

あくまでも彼女は聖職者だった。

決して息子のために「イジメ」がなかったと否定していた訳ではなかったようですね。

高い理念があってそのように言っていたみたいですね。

ただ、そのために生徒達の心を踏みにじってしまう事になっても。


大望のためには多少の犠牲は致し方ない。


そんなところが彼女にはあったのかもしれません。




そして今回の鍵となった二人の人物。



一人は職員室の先生達を凍りつかせた雨木音也。

彼は自分がイジメの加害者を刺して、
その後イジメがなくなった事に対して自信をもっていた。


イジメをなくした自分は正しい。

母親が出来なかった事を自分はした。


そのバックボーンがあるかだとは思うんですけどね

何故自分の人生を犠牲にしてまでそのような事をするのか。

それはおそらく彼の母親は
自分を省みずに生徒達に心を砕いてきた姿を見ているからかもしれません。

普段から家に帰る事も遅かった事なのでしょう。


自分を見てくれない寂しさと
そうやって仕事をする母親に対する尊敬の念と
認めてもらいたいと思う心とか色々な感情が絡み合って


歪んだ正義が生まれたのかもしれません。




そしてもう一人が法廷を凍りつかせた仁科朋美。



あの時、藍沢明日香が死んだ現場にいたと言う。

そして、いじめの始まりを知っている。


イジメっ子は排除しなければならない。

始まりは同じかもしれない二人の人間。



一人は大人達が自分達と向き合おうとした事で「人」になる決心をした。
そしてもう一人は自分の考えの正当性を認めさせ、今でも貫いている。




自分の中にある正義を貫く事が正しいと思う人が増えれば

犯罪を犯した者は皆死んでしまえばいい。

極端に言えばそういう人間が生まれてしまうって事なのでしょう。



それはダメなんだ。

何がダメなのか。

どうしてダメなのか。


その事を大人がキチンと説明してあげないといけないのでしょうね。

今回、先生達が生徒達に訴えかけたように。



社会には「法」があり犯罪者は「法」に乗っ取って裁かれる訳ですが
時として「正義」と「法」は反するものなのかもしれません。

あいつはいい人なのか。悪い人なのか。
敵か味方か。
被害者なのか加害者なのか。

そうやって何でも白黒決め付けるのは
分かり易いし時として生きやすいものかもしれませんが

「人」として生きるにはとても生き難いもののような気もするんですけどね。



来週は
どういう結果になるにしろ雨木音也と仁科朋美
二人がそれぞれ人が持つ光と陰を見せてくれる事でしょう。

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この記事へのコメント

2007年06月22日 01:34
本当に衝撃のラストでした。
もっと見たい、早く見たい!と思いますよね。

音也の歪んだ心の裏も知りたいし、ラストで
どのように皆の心が変わるのか。。。
それも知りたいです。
(あ、一応、加地はどうなるのかも~^^;)
2007年06月22日 13:56
朋美が裁判所に現れたときは、ikasama4さんの「他殺説」来たか???
って思いましたよぉ。
彼女が何を語るか、すっごく気になりますね。

できれば、「後付でしょ(;一一) 」と言いたくなるような
エピソードのオンパレードだけは止めていただきたいですね。
納得いくラストを期待します。
ikasama4
2007年06月22日 22:13
くう様
終盤はもう衝撃で言葉を失ってしまいました。

音也のはじまり
イジメのはじまり

全てがラストで示されるのでしょうね。
どのようなラストになるのか気になりますね。

>(あ、一応、加地はどうなるのかも~^^;)
あ、そう言えばそうでしたねぇ。

まぁ何とかなる・・・んじゃないかなぁ(;・∀・)ゞ
ikasama4
2007年06月22日 22:14
にな様
明日香がいた教室にいたという
仁科朋美の証言

そして「いじめのはじまり」を知っている

これが裁判の運命を握る鍵になるのでしょうね。


>できれば、「後付でしょ(;一一) 」と言いたくなるような
>エピソードのオンパレードだけは止めていただきたいですね。
それが一番私が恐れている事です(笑)

いいラストになるように今からお祈りしておきます(-人-)
2007年06月23日 17:29
>何故手紙だけ埋めたってのはちょっと強引な設定じゃないでしょうかねぇ
やっぱりねえ・・教科書燃やしてたくらいだから、手紙も普通の感覚では燃やしますよね。そうしなかったのはドラマで残さないといけないからでもありますが、自分にも働きかけてきた雨木の手紙だというのが心理的に燃やすのを忍びなくさせていたのかも。明日香をいじめてきた悪魔のような子ですが、
それでも父親を尊敬していた時期もあるし、色んな気持ちを併せ持つ子でもあります。10代ってそういう時期なんでしょうかね。

意外だったのは雨木です。高い理念でもって教育を実践していたようです。
でも息子の件もあるし、過去の例も判断を誤らせていたようです。
どんなことをしても正解になるとは限らないので、人間が相手だから教育現場は試行錯誤なんでしょう。
とりあえず朋美の証言で真相が語られそうなので楽しみにしてますわ!
ikasama4
2007年06月24日 09:32
かりん様
あの教科書はどうも演出というか
ストーリー上必要だったって感じですね。

まぁいたしかたないという事にはしましたけど(笑)

自分も父親を尊敬していた時期もありましたし
父親を含めて大人が信用できないとか
思っていたりした時期もありましたけどね。

ある時期を境に「それも仕方ない」って思うんですけど
それまでの葛藤を他者にぶつけるような事は
しなかったですね。

そういう点では今の子はちょっと大変なのかもしれません。

そして雨木は崇高なる理念がありました。
それが息子の事件と過去の過ちから彼女自身の判断が鈍った。
とはいえ、何がいいのか悪いのか

これは簡単に答えが出るものではないですからね。

次回の朋美の発言によって
ようやく事件の真相が明らかになるようです。

どうしてイジメは起こるのか
その辺りとかも焦点になるのかもしれないですね。

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