風林火山 第21話 「消えた姫」

東光寺にて由布姫が勧める甘酒。

それを萩乃は一気に飲み干した。

しかし、毒は入ってなかった。


私を疑う。
それでよいのです。

この私を憎んで下さい。
お慈悲などでは私の心は討てません。
他国の姫と見下して構いません。



御館様がいた。


彼女の目はまっすぐに御館様を見据えていた。



萩乃は御館様を恨んでいると思うか。
三条夫人は萩乃にこう訪ねた。

由布姫のあの目に三条夫人は嫉妬を覚えていた。




その頃、諸角虎定、飯富虎昌、武田信繁が勘助を激しく責め立てる。



必ずや御子が出来まする。

この一言を言うのがやっとだった。


その後ろにいた甘利虎泰が言う。

「何もわかっておらん。
子が出来たら出来たで新たな懸念が生じる。

如何にして禍根を断つのじゃ。」


某が御守り致しまする。


「誰をじゃ!」


御館様にござりまする。




そなたはもう武田の人間だ。もうここで生きる他はない。

晴信の母・お北の方が由布姫の下を訪れていた。


何を苦しんでおる。私では力になれませぬか。


由布姫はその問いに答える事はなかった。





それから晴信は由布姫の寝所を訪ねた。
そなたの笛を存分に聞いておきたい。




この日以降、晴信は由布姫の寝所を訪ねる事はなかった。






村上義清は信濃守護・小笠原長時のいる林城を訪ねた。


湿った炭に火をつけるのは骨が折れるわい。




小笠原と村上が手を組んだとの報せは板垣信方の耳にも入ってきた。




それから間もなく、晴信は勘助に由布姫を諏訪へ送るように命じた。



しばし、甲府より遠ざける事で
家臣達の怒りを落ち着かせる事
そして由布姫の怒りを落ち着かせる事が目的らしい。



「諏訪に着いた勘助に板垣は言う。
このまま由布姫をこの城にはおけぬやもしれぬ。

この城は由布姫が育った場所。
もし、武田家への恨みが少しでもあるのならばこの場所は相応しからぬ。

観音院がいい。あそこは湖の眺めが綺麗だからな。」



勘助は早速行動に移した。


去り際に板垣がこう言った。



「此度ばかりはそちの見通しが甘かったかの。」








由布姫は観音院に住むこととなった。

勘助は姫が住めるように屋敷の清掃を行った。


そして、姫様の乗った駕籠が参られた。


勘助が慇懃に挨拶するも、返事がない。



駕籠の中を拝謁した勘助は
姫様が寒さで震えている故に奥の間にお通しするように配下の者に命じた。




駕籠の中にいたのは
懐刀にて死んでいた由布姫の侍女・マキであった。




そして、勘助は姫を探した。

ただひたすらに。


そして、今の地位も全て投げ出してもよいと思った。




・・・姫様

勘助か。

姫様。ご無事にござりまするか。


勘助、私は甲斐に参る。
それを承知してくるのなら、そこを開けてよい。




甲斐へ何をしに参られまする。


あの方の御印が欲しかった。


某が間違っておりました。
御館様と引き合わせた事がそもそもの間違いでござった。
申し訳ござりませぬ。

某と共に二人で逃げましょう。




それは出来ぬ。

御館様と離れて暮らすなど私には出来ぬ。

今はただあの方にお会いしたいだけ。

一目でよい。
あの方にお会いしたい。

私は浅ましい女です。

御印を頂戴すれば、あの方は私だけのものになる。

お方様に渡すのも嫌。

戦で死なれるのも嫌。

あの方と一緒に生きていきたい。

さすれば、父の恨みにも振り回される事はない。

そのような浅ましい事を考えていた。


私を殺して。

それが御館様のためです。

父上を殺し、私を我が物となさり
それが今は私をお放しなさろうとなさる憎きお方。
でも愛しい。愛しいのです。


勘助。私を助けて・・・私を殺して。



侍女のマキは駕籠の中で自ら命を絶ちました。



泣くのはおよしなされ。
そこまでの思いを話しながら
泣くのはお止め下され。

なんと小さき事をお考えなさりまするか。



・・・小さき事?


小そうござりまする。


諏訪の姫、父上の娘などと
小さき事はお忘れ下され。


御館様のご寵愛を存分にお受け下され。

御館様は天下人になられる方にござりまする。

この勘助が御館様を天下人に致しまする。

この勘助がそうするのです。

この勘助が。

姫様に御子が生まれし時は
その御子が天下人になられまする。


この勘助を信じてお待ち下され。

信じて諏訪にてお待ち下され。


御館様は必ず諏訪に参られまする。


今後、信濃では戦が起こりましょう。

その時、必ず御館様は諏訪へ参りまする。

何としてもこの勘助がお連れ致しまする。




足が凍えて歩けぬのじゃ。


某が暖めまする。

そうして、勘助は由布姫の足をさすって暖めた。


皆、明日をもしれぬこの乱世。
人を以って死を選ぶなど愚かしい事はござりませぬ。


だからこそ、一時の事であっても
愛しい人の愛を受け入れるべきです。


これからはいつでも御館様が姫様を御守り致しまする。


由布姫は勘助の胸の中で泣き崩れた。
彼女の葛藤、悩み全てを彼の中に残して。



数日後、諏訪の由布姫の下へ晴信が訪れた。


冷たい手じゃな。


そして由布姫を抱き締めた。

由布姫はその思いを受け入れていた。



諏訪の湖に御神渡りができていた。



これでよい。


勘助はこれでよいと思った。

これが姫様の幸せなのだから―――。





回を重ねる度に由布姫がキレイになってきてますね。



勘助を糾弾していたのは
甘利虎泰:基本的に勘助を嫌ってる。
飯富虎昌:嫡男・太郎の傅役。故に太郎の母・三条夫人側につく。
諸角虎定:勘助を軍師に勧めた経緯があるため
武田信繁:諸角は彼の傅役だったので。


まぁこういう理由があって糾弾した訳ですね。

普段、いいとこを持っていく勘助に対するヤッカミのようなとこもありますけどね。



そして信濃では村上義清と小笠原長時が手を結びました。

と言っても歴戦の勇者である村上と違って
このドラマでの小笠原は気位ばかりが高くって
ちょっと弱腰な感じの風が見て取れます。

村上が彼を動かすためにぼやくのもよくわかります(笑)






さて、今回はなんといっても由布姫と勘助でしょうね。


由布姫は父の敵である晴信を討ちたかった。
彼は諏訪にとって敵である人。


でも、彼女は彼を愛していた。

そして、三条夫人から彼を独り占めしたかった。



ならば、小さき事は全て捨てて
ただ素直に御館様の寵愛を受けて下され。



この言葉がまたいいですね。

もしかしたら
もし、勘助が由布姫と晴信を引き合わせた事が間違いだったなら

勘助は由布姫と二人で生きていたかもしれない。
武田家家臣という地位を投げ捨てて。
自分の夢を捨ててでも。


でも、勘助は間違っていなかった。
ただ由布姫は彼への愛と諏訪の姫との立場で揺れ動いていた。


だから、勘助はまた武田家家臣として生きる道を選んだ。


泣き崩れた彼女の涙を彼の胸で受け止めた。

でも、勘助は彼女を抱き締める事が出来なかった。

彼女の心を知ったから。

そして勘助は既に再び武田家家臣と決めたから。



その後、勘助は由布姫との約束を果たす。


諏訪に晴信を連れてくる事。


そこで由布姫は己の冷たい手と凍った心を温められる。


御館様の寵愛を受ける事が由布姫の幸せならばそれで良い。


ここの勘助の心情がなんとも切ないですね。

でも、それが自分の選んだ道なのだから。



三条夫人の由布姫に対する嫉妬。

由布姫の父の敵・晴信に対する恨み。


それら小さき事は全て忘れ去って己の宿命に生きる。



その事を教えてもらったのは
由布姫と同じような生き方を歩んできた
お北の方ではなく
三条夫人ではなく

勘助だったというのがいいですね。



さて、来週から6月。
北条、今川が動き出しますね。

ここから、また軍師・勘助の活躍が見れるのでしょうね。

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この記事へのコメント

2007年05月28日 09:56
ikasama4さん、こんにちは。
>それら小さき事は全て忘れ去って己の宿命に生きる。
い~こと仰いますね~流石達観してらっしゃる◎朝っぱらから一生懸命読んじゃいましたよ(><)ワタシ今回ドラマもレビューもパスしたんですが、みなさんの記事を拝見して概要はつかめましたよ。あとね由布姫の気持ちも分かる気はするんです「憎い、でも愛しい」ってやつですか?ただこの激しい感情を表現するのに柴本幸には経験不足だったかも知れませんね・・・。
で、今後、村上によって「誰と誰が」討ち取られるのか分かりましたよ!「え~っ!!」ってカンジですよね?「まいらぶ」も新たな展開に突入しそうですし☆
2007年05月28日 19:39
小さき事・・諏訪の姫、父の娘だと言うことにこだわり続けている事。
もうね、由布姫自身が小さい、って感じてしまいましたよ。
この機会に一つ大きな心を持ってくだされば、それで良いのですが。

↑なおみさんも感じておられるようですが、柴本さん、大変だったのではと思います。
難しいですよ、この複雑な感情を表現するのは。
結果、表現し切れていないと思うし・・。
ikasama4
2007年05月28日 20:28
なおみ様
こんばんはです。
>い~こと仰いますね~流石達観してらっしゃる◎朝っぱらから一生懸命読んじゃいましたよ(><)
ありがとうございます。
お北の方も三条夫人も似たような発言をしていたのですけどね。
でも、由布姫の心に響いたのは
勘助の言葉だというのがポイントですね。

>ただこの激しい感情を表現するのに柴本幸には経験不足だったかも知れませんね・・・。
これについては柴本さんを勘助演じる内野さんや他の役者さん達が引っ張っていってくれたとこがありますね。
それにこれが初ドラマとなる柴本さんが一人で見事に演じきったらそれはそれで驚きですけど(;・∀・)ゞ

次回から周辺国がにわかに騒がしくなりますからね。
これから楽しみになってきますね。
ikasama4
2007年05月28日 20:31
さくらこ様
>もうね、由布姫自身が小さい、って感じてしまいましたよ。
>この機会に一つ大きな心を持ってくだされば、それで良いのですが。
勘助に胸のつかえを全て吐き出した事で
きっと大きな大望を抱く事が出来るんだと思います。
勘助のように。

>難しいですよ、この複雑な感情を表現するのは。
>結果、表現し切れていないと思うし・・。
たしかに。
私も↑で書きましたが
その感情の不足分を勘助をはじめ他の出演者が補ってくれたようですね。

最近、柴本さんのCMを見ました。
この作品での頑張りの成果でしょうかね。

これからも頑張って欲しいです。
くう
2007年05月30日 01:05
勘助は自分の気持ちを抑えて、軍師として
お館さまの側室に尽くす決心をしたって感じでしたね。。。
ちょっとしつれんモードが気の毒でした(; ;)
2007年05月30日 15:20
ナイス・ガイなikasama4さん、こんにちは。度々スイマセン。
今日はお願いがあって参りました~◎実は今回「小山田さま・不在」のため「クラブ活動」もお休みさせて頂いたんですが、来週はクラブが盛り上がるような活躍を見せてくれる・・・とか、くれないとか・・・。
で、ですね以前ikasama4さんがお描きになった「小山田さま」のイラスト・・・これを次回のクラブの記事に貼らせて頂きたいのですが・・・お許し頂けないでしょうか?
ま、写真を貼ってもいいんですが「著作権」「肖像権」に触れるのも嫌だしikasama4さんのいいラストで充分OKなんで許可して頂けると嬉しいにゃん♪

あとお「リクエスト」なんですが、ゼンゼン急がないんですが・・・つまりその「小山田さま・最終回」のイラストをひとつお願いできればと。モチロンその前後にikasama4さんがご自身の記事でお使いになってからで構いません!ただひとつ「リクエスト」として・・・ジョシの間で非常に人気の高い「髪を解いたロン毛」の小山田さま(笑)でお願いしたいんですよ。こちらの方もご検討頂ければ幸いです。宜しくお願します。
ikasama4
2007年05月30日 22:25
くう様
>勘助は自分の気持ちを抑えて、軍師として
>お館さまの側室に尽くす決心をしたって感じでしたね。。。
もし、由布姫が御館様を全く好きでなかったら
勘助と二人で生きる道もあっただけにねぇ。

>ちょっとしつれんモードが気の毒でした(; ;)
由布姫が幸せであれば、それでいい。
そう勘助は考えたのでしょうね。

自分の気持ちは押し殺して。

そうして勘助は再び武田家軍師となり
軍師としての務めを果たしていくのでしょうね。
ikasama4
2007年05月30日 22:26
なおみ様
こんばんはです。
見かけはミドル
精神年齢&肉体年齢はシニアなikasama4です(; ̄∀ ̄)ゞ

小山田さんのイラストについては了解しました。
こちらでは「著作権」「肖像権」については
自分のイラストを使用する事で
そちらに何らかの金銭的なものが発生しない限り
ご自由にお使い頂いてかまいませんよ。

でもってこんな感じでちょいと修正してみましたので
良かったらこちらもオススメです(; ̄∀ ̄)ゞ
http://www7a.biglobe.ne.jp/~dessin-ikasama/ikasama/illust/2007/img/img0442.jpg

>あとお「リクエスト」なんですが、ゼンゼン急がないんですが・・・つまりその「小山田さま・最終回」のイラストをひとつお願いできればと。
いいですよ。
その時、よろしければイラストの構図とかが
あると助かります。

こういう構図探しが実は一番大変だったりするものですから
(; ̄∀ ̄)ゞ
2007年05月30日 22:56
>その時、よろしければイラストの構図とかがあると助かります
ホントだ!
>こういう構図探しが実は一番大変だったりするものですから
(; ̄∀ ̄)ゞ
ワタシも仕事でちょこっとイラスト描いているんですが(だったら自分で描けよ!とか言わないでね。下手なんで(><))「お任せ」とか言われるのが一番ツライですよね~。・・・分かりました探してみましょう!あとクラブ員さんからも情報を募りましょうね◎
ikasama4
2007年05月31日 01:18
なおみ様
そうなんですよねぇ。
この構図がなかなか大変なんですよ。

ちなみに画像について
欲を言うと大きくて解像度が高いヤツで
お願いしたいです(; ̄∀ ̄)ゞ

ではでは構図の方、お待ちしております( ̄ー ̄)/~~

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