風林火山 第17話 「姫の涙」

お逃げ下され。


逃げて何とする。


何処にも行かれお好きなようになされませ。

ただし、諏訪の姫君には死んでもらわなければなりませぬ。

一人の女人として生きて下され。



そのような事をして、そちの立場はどうなる。


某の事はお考え下さるな。

姫様は自ら望んで生き残ったのです。
国を捨ててお強く生きて下され。




そなた、何故に私を助けた。


某の守護神が摩利支天なれば、それをお持ちになる人は見捨てられませぬ。




諏訪から落ち延びていく。

あの時、あの者が私に偽りはなかった。
そう思っていた。




そうあの時までは。


そうあの時までは。


姫様の命を救うには、逃げるしかないと思っていた。

「どんなにつらくとも生きていたい。」

この言葉を聞いた時に

その言葉に勘助は幻影を見た。

そこにあったのはミツの姿・・・。



勘助!

我に返る。

その言葉を発したのはミツの兄・伝兵衛





伝兵衛から御館様への命が届く。

姫を甲斐国に連れてくるようにと。

甲斐には御館様が姫様を側女にするとの噂が流れてると。


何て事だ!


さすれば、姫様は生きていられる。

それもこの地で。

わしの目が届く場所に。




浪人共から私達を救ってくれたあの男。

しかし、その者は言う。

あの浪人共を雇ったのは、眼の前にいるこの男だという。



姫様をこのまま生かしておいては
後に憂いを残すから、浪人共に私達を殺害するように命じていたと。


しかし、武田の御館様が
姫様を甲斐にお連れするようにとの命が下り
こうして、この男が迎えに来たという。


―――裏切られた。



あの時のそなたの言葉は偽りはないと信じていたのに。


姫の眼差しは勘助に対して憎悪の念が宿っていた。


姫は勘助の顔を真っ直ぐに見据えた。



姫は勘助を嫌った。
しかし、彼女は
勘助の醜い顔を嫌った訳ではなかった。
勘助の醜い心を嫌った。


勘助は彼女の顔をまともに見る事ができなかった。
彼女の真っ直ぐな眼差しを受け止める事が出来なかった。

浪人共との戦いで眼帯が外れ、白く濁った左眼が晒されたのを
見られたくなかった訳ではない。

己が彼女に嘘をついて傷つけてしまった事に
罪の意識を感じていたから。




姫の心は凍っていく。




悲しみと恨みを宿した涙が姫の頬を伝う。



―――これでよい。

どんな形であれ姫様が生きて下されば。




今回は姫と勘助との間で揺れ動く心情を描いた話がメインでしたが
色々と今後の伏線となるサブストーリーが展開されていましたね。



1.
飯富虎昌、晴信の嫡男・義信の傅役となる。

これは後々の勘助との確執を生む序章ですね。
今はまだわかりませんけどね。
で、虎昌の弟・源五郎がその挨拶をする訳ですが
その時に板垣信方と御館様のやり取りを話す訳ですね。
そのやり取りをあの侍女が聞いてしまい
次↓に至る訳ですね(笑)




2.
「諏訪の姫君が晴信の側女となる」との噂が流れる。

噂の出所はわかってはいるんですけどね(笑)

噂は噂と三条夫人の前で断言した晴信ですがねぇ。
こうしてどんどん身内を裏切っていくのでしょうかね。

そして、この噂は板垣・甘利の両氏を脅かします。
もし、側室となった姫君が御館様を殺めてしまうのではないかと。

そうなる前に憂いは絶つ=姫君の命を絶つ。

あ~怖い怖い(;・∀・)




3.
晴信、自分の中に父の姿を見る。

兵を挙げた高遠家に対して
小山田は諏訪総領の遺児・寅王丸を推したてて戦う事を進言します。
寅王丸を推し立てて武田家はその後見となる。
そうすれば諏訪の残党は武田家につくと。

晴信はその言を受け入れます。

ただ、それは妹の心を更に傷つける事になる。

それでも晴信は断行します。
それが国を治めるという事なのだから。


親愛なる兄に裏切られたショックで壊れていく妹・禰々。

今の兄上はお可哀相。
あれほど憎まれていた父上と同じ道を歩んでおられる。

でも、今は微塵も同情する気持ちにはなりませぬ。


妹は兄の中に父の醜さを見た。

その時、兄は気付く。

父上が自分を憎んだのは
自分の中に己自身の醜さを見出していたから。

裏を返せば
父は自分を憎む事で嫡男としての自分を認めていたのだと。

寅王丸もいずれはそうなろう。

死んだ父と勝った伯父
どちらを認めて生きるべきか。

そうして寅王丸を伴って晴信は戦地へ向かった。


おそらく母・御北の方も息子の中に夫の陰を見たような気がしますね。



その結果、高遠軍は大敗し、
武田は諏訪全域を治める事と相成った次第ですね。




4.
ヒサと平蔵は共に生きる決意をする。

諏訪へ向かう平蔵と矢崎十吾郎。

そこにヒサがいた。

ヒサが嫁いだ西方衆は武田に通じていた。

その事を父に伝えようとして

高遠軍に辱めを受けた。


これ以上、生き恥を晒す事はできない。

そう語るヒサに平蔵は言う。


ヒサ様はこの平蔵が御守りします。
ヒサ様をお預かり致します。



日頃、平蔵の思いを知っていた父・十吾郎は平蔵に自分の脇差を託す。

「ヒサを頼む」と。

十吾郎は決意します。

武田は諏訪の仇敵。

だから、諏訪の地を落ち延びて生きると。

そしてヒサは平蔵と手を取り合って歩いていく。


武田は諏訪の仇敵。
この父の思いが平蔵にずっと刻み込まれていく訳ですね。
おそらく川中島までね。


今回のもうひとつの注目点は
勘助と平蔵、それぞれの思う人に対する向き合い方ですね。

平蔵は下人という身分でありながらも
ヒサを守っていく決心をする。
共に生きて欲しい。

そして、その思いを率直に自分の主にぶつけていく。


けれども、勘助にはそれが出来なかった。
「自分の嫁にしたい」

それが彼の願い。
しかし、そのようなことは彼にできるはずもなかった。
自分は新参者。
そのような勝手が許されるはずがない。

彼にできることはただ一つ。

―――生きていて欲しい。
どんな形であろうとも。

さすれば、自分が彼女を守っていく。




平蔵と勘助。
互いの願いは同じだけれども
自分の思いに真っ直ぐに生きる男と
自分の思いを偽らねばならない男。


勘助にとって「姫の涙」は悲しみと憎悪でしかないですが
平蔵にとって「姫の涙」は嬉し涙と変わっていったのですからね。

この辺の対極が感じられますね。



さて、次回より
しばらくは由布姫が物語のメインとなっていきます。

由布姫を演じる柴本さんはいいですね。

凛とした雰囲気が彼女の美しさを輝かせてるようです。


今後もどうなるのか楽しみですね。

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この記事へのコメント

2007年04月29日 22:24
私も、この由布姫さまは好きですね(顔は何となく見慣れた^^;)
勝ち気な所が何とも言えません~。
ただ今回に限っては、もっと勘助の言葉のウラを
読んで欲しかったなぁ。。。と、思っちゃいました(-_-;)
2007年04月29日 23:07
勘助と平蔵
それぞれの想い人への気持ちは同じなのに
表には出せない勘助・・・
何れ由布姫には伝わるのでしょうか?

晴信に対する禰々の怨みは深いですね。
かなり心が病んでしまった様子・・・見ていても胸が痛みました。
追い討ちを掛けるように寅王丸が・・・
ikasama4
2007年04月29日 23:55
くう様
>ただ今回に限っては、もっと勘助の言葉のウラを
>読んで欲しかったなぁ。。。と、思っちゃいました(-_-;)
そうですねぇ。
勘助の眼を見て本心を見抜いた由布姫ですから
眼をそむける勘助の眼をしっかと見て
嘘か真実か見抜いて欲しかったですね(;・∀・)
ikasama4
2007年04月29日 23:55
小雪様
>勘助と平蔵
>それぞれの想い人への気持ちは同じなのに
そうなんですよねぇ。
勘助も自分の本心を真っ直ぐに伝えればいいんですが
それができないんでしょうね。

勘助にとって自分よりも武田家を第一にしなければならないから。

という事なのでしょうね。

>晴信に対する禰々の怨みは深いですね。
>かなり心が病んでしまった様子・・・見ていても胸が痛みました。
彼女には今ある現実こそ生き地獄なんでしょうね。
2007年04月30日 15:09
しばらくは、由布姫がメインの話。
何分新人なので、大役、大変だと思いますが、柴本さん、頑張って欲しいですね。
今回、由布姫に心底憎まれてしまった勘助ですが、甲斐で共に過ごす間に、勘助の本当の姿に由布姫が気付いてくれたら、いいな、と思っています。
その心の変化が、これからの見どころでもあるのかな?

「姫の涙」ヒサもそうでしたね。
彼女もまた辛い出来事がありましたが、他の姫たちとは違って嬉しい出来事もあり、それが今回唯一の明るい話題だったでしょうか。

ikasama4
2007年05月02日 00:26
さくらこ様
>何分新人なので、大役、大変だと思いますが、柴本さん、頑張って欲しいですね。
そうですね。このまま由布姫の凛々しさ
時には弱さとかも見せていって欲しいですね。

>今回、由布姫に心底憎まれてしまった勘助ですが、甲斐で共に過ごす間に、勘助の本当の姿に由布姫が気付いてくれたら、いいな、と思っています。
ここは是非気付いて欲しいとこですね。
勘助の本心ってやつをね。

たしかに由布姫に禰々と悲しき涙が続きましたが
ヒサの涙は悲しみから嬉しさに変わりましたからね。

ようやく平蔵が自分の本心を言えて
良かったなぁって思えますね。

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