東京タワー 第10話

ボクが一番恐れていた事―――。


それが現実味を帯びてきた。


いつもの変わらない日常が終わりを告げる。


母は白髪を染めていた。
ボクに手伝ってくれと言う。


ふとオカンが言った。

オカン死んだら葬式する時
互助会に積立があるから、そこに連絡しんさい。

オカン、胃癌なんよ。

病院での診断書、見てしもたんよ。



また、すぐ治るけん。

また、前のように治るけん。
大丈夫、オカンは死にやせんよ。


そう言ってボクは笑った。
認めたくなかった。


ボクが一番恐れていた事

小さな頃から不安だった。

いつか確実に訪れる事。


グルグル近付いてくる。




オカンが部屋を掃除する。
ぬか漬けを漬ける。
マー君に朝食を作る。


新記録更新 開始8分(;∀;)






話があると。

朝はキチンと起きる事。
仕事の人に迷惑かけたらいけんと。
ゴジラにエサをやる事。

それからもうひとつ、オカンに何かあったら
そのタンスに箱があるけん、それをあけんしゃい。

マー君、そしたら
ちょっと行ってきますけん。

留守の間、よろしくお願いします。





元気になったら登らなね。
そうやね。


いつかと同じ風景。

それなのに今までとどこか違う。
オカンの背中は小さくて頼りなくて切なかった。

ボクがオカンの手をひいて歩くのはその日が初めてだった。



(;∀;)その2





オトンが見舞いにやってきた。

オトンは相変わらずだった。

ただ、いつもと違ってオカンの事をちょっと気遣っていた。


病室を出た後、オトンがボクに言った。

病室は相部屋か?
個室にいったらもういかんぞ。


どういう事?

もう永くはもたんって事よ。




手術はもうしとうなかよ。
医者が切るいうならせんとあかんやろ。


手術すれば、きっと治る。
そう思い検査の結果を待った。


「10時に検査の結果がわかるから。」



ボクは7時に起きた。

そうしておばちゃんとボクは検査の結果を聞いた。
ボクが最も恐れていた結果だった。

万が一の事を考えておばちゃんと相談して決めた嘘を
オカンは見抜いていた。



オカンに本当の事を言ってくれんね。


ボクは本当の事を話した。



スキルス性の進行性の胃癌だった。
手術はできんて。



そうね。


それでね、抗癌剤治療ってのがあるんよ。
やれる事はできるだけやってみよ。

がんばろ、オカン。



そうやね。がんばってみよ。




(;∀;)その3







オカンの抗癌剤治療が始まった。
オカンの体調は見るからに悪化した。




オカンの事を思うと仕事に手がつかない。



日に日に弱っていく母。


お医者さんは言う。

二度目の抗癌剤は更なる苦痛がともなう。
それでもあなたは抗癌剤を投与しますか。

そしてボクは絞り出すようにお医者さんに言った。


<「抗癌剤治療を続けて下さい。」






抗癌剤治療、また明日から始まるばってん。
大丈夫ね?

きっと・・・きっと治るけん。



そうやね。



(;∀;)その4




いつも当たり前にいた。

考えられない。いなくなるという事が
諦められる訳がない。

何がなんでも治って欲しい。



どんなに苦しくても頑張って欲しい。



手塚さんはただ無言でボクの肩を抱いてくれた―――。





オカンが苦しんでいた。
その姿を見るのが耐えられなくて
ボクはオカンを見舞う事なく病院を飛び出した。


家に帰ると友達がボクを励まそうとしてくれた。


嬉しかった。
けど、今は一人にして欲しかった。
誰もこの気持ち、わかるはずがない。




ふと、オカンが言ってたタンスが視界に入る。

その中には互助会のプランの用紙と

ひとつの箱があった。
その箱にはこう書いてあった。

「オカンが死んだら開けて下さい」




(;∀;)その5




その日、ボクは一睡もできんかった。



おばちゃんがやって来た。
オカンの着替えとかを取りに来たらしい。


病院行くよ。

いかん。

行って何になる?
無理や。もういえんのよ。
頑張れって。生きろって。



どげんつらい時にオカンは笑ってきたじゃないね。
いつだってオカンは笑ってきた。

今度はマー君がオカンを励ます番じゃないね。




(;∀;)その6



彼女がオカンのお見舞いに来ていた。

あの子が挫けそうになった時に傍におってくれんね。
二人でおれば、どこだって大丈夫だから。


その日、ボクは病室に行けなかった。



もうすぐオカンがいなくなる。
東京タワーの灯りが消えるように。

もうその現実は認めざるを得ないとこまで来ていた。




病室に向かう僕。

鏡を見る。
酷い顔だ。
鏡に向かって笑ってみた。



病室ではオカンが苦しんでいた。

ボクはオカンの背中をさすった。

一生懸命涙を堪えてボクは笑った。


マー君、もう止めたか。

オカンの手を握った。

もう止めようか。そうしよう。
よう頑張ったね。

もう大丈夫。
心配せんでよか。


オカンを抱き締めた。
オカンの身体はとても小さかった。


(;∀;)その7



その日、ボクは抗癌剤治療を止める事を医者にお願いした。

医者は言った。


あなたのお母さんの命はもって後2、3ヶ月だと―――。






ただただ涙です(;∀;)




前回あまり泣き所がなかった分の余波がここにやってきたようですね。



親のああいう姿を見るのってホントつらいですね。


親の背中が小さく見える。
いつのまにか両親を追い越していた。


いつも自分達の手を引いてくれた両親。
それがいつの間にか自分達が両親の手をひくようになっていた。



そんな時期が来るんですよね。
そう感じた時、なんか淋しくなるんですねぇ。


いつか必ず通る道とはいえ・・・なんだかんなぁ(;∀;)






この笑顔のオカンを描いてみたんだけど
今回の内容にその笑顔がなんとなく悲しく見えてしまうわなぁ。




この物語も来週で終わりを告げます。
ボクは一体どうなってしまうのかなぁ。


そう考えてしまうだけで切ないです(;∀;)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2007年03月12日 23:39
表紙イラスト見に来ました~。
。。。やばいです。。。(; ;)

>新記録更新 開始8分(;∀;)

私の勝ち(o^^o)ですね(何の勝負だ^^;)

私は、その前のHEY!HEY!HEY!でコブクロが「蕾」歌った時から
ウルウルしてましたから~!

もう今回は休みなく泣いてました。
来週は本当にヤバそうです。。。
ikasama4
2007年03月12日 23:56
くう様
>私の勝ち(o^^o)ですね(何の勝負だ^^;)
・・・無念(笑)

>もう今回は休みなく泣いてました。
もうこれでもかというくらいに泣いてました。
まだ目がちょっと赤いです。
明日会社は大丈夫かなぁ(;・∀・)ゞ

>来週は本当にヤバそうです。。。
それはもう間違いないですね(;∀;)
2007年03月13日 00:20
こんばんは!

おぉ同士よ!泣き過ぎやねん(笑)
でも、今回は冒頭からコブクロがかかって泣かせるとは(苦笑)
泣き過ぎて目が痛いのです(>_<)
またイラストが涙をそそるっちゅーの。
抗がん剤の副作用ってすごいんだね。
見ててつらかった。
来週はどうなっちゃうのか?ikasama4さんが(笑)
ikasama4
2007年03月13日 00:33
アンナ様
こんばんはです。
>おぉ同士よ!泣き過ぎやねん(笑)
とは言っても、涙が止まりそうにありません(TДT)

>泣き過ぎて目が痛いのです(>_<)
私もまだ目が赤いです。

>またイラストが涙をそそるっちゅーの。
そそってやって下さい(笑)


>来週はどうなっちゃうのか?ikasama4さんが(笑)
多分・・・目が腫れそうです(笑)
2007年03月13日 15:23
おばちゃんのビンタのシーンが一番涙が流れてしもたんやけど
今回は初っ端からうるうるしたとよ・・・
今、ikasama4さんの泣きツボポイントをおさらいしてたら
やばい・・・涙が・・・
そして、最後に笑顔全開のオカン!!!
。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン!!
2007年03月13日 20:54
オカンのイラスト、秀逸ですね!
確かに笑顔なんだけど悲しそうにも・・。
今回は冒頭からコブクロソングで、飛ばすなー
とか思ってたら怒涛のごとく押し寄せました。
誰しもいつかこういう時が来るとは言え、
この手の話はやはりぐっと来ます。
もう、みなさん泣きまくりですね。
「涙 オカン」の検索結果も膨大です。^^;
ikasama4
2007年03月13日 22:15
まこ様
>おばちゃんのビンタのシーンが一番涙が流れてしもたんやけど
>今回は初っ端からうるうるしたとよ・・・
ホントそうですね。
今回は終始ウルウルでした(;∀;)

>そして、最後に笑顔全開のオカン!!!
>。・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。ウワーン!!
なんか嬉しい( ̄ー ̄)b
ikasama4
2007年03月13日 22:17
ろーじー様
>オカンのイラスト、秀逸ですね!

>今回は冒頭からコブクロソングで、飛ばすなー
>とか思ってたら怒涛のごとく押し寄せました。
二の矢、三の矢どころか
七の矢まで相手は用意していたようで
その策略にすっかりハマってしまいました(;∀;)

>誰しもいつかこういう時が来るとは言え、
>この手の話はやはりぐっと来ます。
そうですね。
当たり前の事が当たり前でなくなる。
その時、当たり前こそ幸せがあるのかもしれないですね。

この記事へのトラックバック

  • 【東京タワー】第10話

    Excerpt: じゃあ、ちょいと行ってきます。光が差す明るい部屋を振り返る。息子と2人で暮らした部屋。そうして、オカンは東京タワーの見える病院に入っていった。ずっと一緒におったけん。考えられんのよ。おらんことなるなん.. Weblog: 見取り八段・実0段 racked: 2007-03-12 23:38
  • 東京タワー オカンとボクと、時々、オトン 第10章:最期の選択

    Excerpt: つらかねぇ(_ _;)。。。ウゥ、、、 今回は冒頭からマーくんのナレに泣かされそうに・・・ つか最初から最後までうるうるしっぱなしやき・・・{/face_naki/} もう2度とこの部屋には帰ってこ.. Weblog: あるがまま・・・ racked: 2007-03-13 00:05
  • 東京タワー オカンと僕と、時々オトン 第10話~最期の選択~

    Excerpt: 母親と息子って特別なものがあるよね。オカンの小さくなった後姿、オカンの手を握るマー君。おばちゃんに叩かれて「バカちん!あんた誰の子ねん!」って。。。浅田美代子が良かった。号泣しちゃいました。。。いつか.. Weblog: アンナdiary racked: 2007-03-13 00:16
  • 《東京タワー オカンとボクと時々オトン》#10

    Excerpt: マー君が一番恐れていたこと。仕事も手につかず、上の空で、ひたすら、病人である、オカンを頑張らしてしまった。辛い辛い抗がん剤の治療を選択したマー君。オカンの病気で一話を引っ張るのは、ひどいなぁと思った。.. Weblog: まぁ、お茶でも racked: 2007-03-13 01:44
  • ・・・やめよっか・・・よう、がんばったね。(速水もこみち)

    Excerpt: プリンを残してもらって「いつまっでん、子供やないけ」でも良かったのだが、方言聞き Weblog: キッドのブログinココログ racked: 2007-03-13 08:21
  • 東京タワー オカンとボクと、時々オトン ・第10話

    Excerpt: 東京タワー オカンとボクと、時々オトン ・第10話 鳴沢もすっかりチーム・オカンのメンバー。 みんなと一緒に飯食っちゃってま.. Weblog: めざせ生活向上! racked: 2007-03-13 19:51
  • ?????????????????????#10

    Excerpt: ? ???????(DVD?)???? ????? ?????????????????????(�????) ?????? ???????????????????????????? ?????????.. Weblog: ???????????? racked: 2007-03-13 23:16
  • 東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン 第10章「最期の選択」

    Excerpt: あと、二回。 「最期」の「選択」……よーし心置きなく泣くか! Weblog: TV雑記 racked: 2007-03-14 12:31
  • 子宮癌

    Excerpt: 一般に子宮癌と呼ばれている癌には、子宮頸癌と子宮体癌の2種類があります。 Weblog: 癌 の悩み 相談室 racked: 2007-03-22 12:52
  • 菊池凛子☆ヌードで外国から指名手配をくらう!画像

    Excerpt: アカデミー賞 ノミネートのとき、菊地さんはパリにいて、 こんなコメントが紹介されました。 「もうWohって感じです。お母さんに電話したらとても喜んでくれて、私もうれしい」 .. Weblog: 菊池凛子☆ヌードで外国から指名手配をくらう!画像 racked: 2007-04-30 15:15