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zoom RSS 八重の桜 第44話 「襄の遺言」

<<   作成日時 : 2013/11/04 07:50   >>

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徴兵令施行以来10年が過ぎた
だが兵役を担ったのは該当者のわずか1割にすぎない
このままでは国を守れない

長州事変では清国が大軍を率いて日本を牽制した

列強諸国から日本を守るには軍備の拡張を急がねばならない

徴兵の徹底は急務である


政府の要職にあった山県有朋の主導により
私立学校は徴兵免除の特典から除外される事となったのである




その翌年
この事が思わぬ形で襄に降りかかる



襄はスイスのある部屋にいた


襄は激痛にもだえながら窓越しに浮かぶ月を見つめていた



「神が作りたもうた世界はこんなに美しいのか・・・

主よ
ちっぽけなこの生命を
神と祖国を愛する人々のために使わせて下さい・・・」





襄が倒れる半年前
襄は徴兵令改正の件で伊藤博文の下を尋ねた



「3人顔をそろえるんは岩倉卿の使節団で渡米した時以来ですな」

「あの時梅子さんはまだ・・・」

「6歳でした」

「お口添え頂き早々に伊藤さんとの面談がかないました」


「梅子さんには妻と娘の家庭教師をお願いしています」





「お願いします
私学の学生たちから学問の機会を奪わないで下さい


私学は政府の管轄外ですからな
それに私学は設備や学科において官立に劣っとるところが多い


ですから同志社は大学に作り替えます
専門学科を置き優れた教師陣をそろえ国を担う人物を育てるために


国を背負う人物は国がつくります
そのために東京大学があるんです
徴兵ぐらいで恐慌を来すんはその学校に魅力がないっちゅう事でしょう
現に稲田の東京専門学校じゃ騒ぎは起きておらん
のう新島さん
自主独立をうたい文句にしながら
こねえな時だけ官学と同列を願うんは
ちいと・・・虫がええんじゃありゃせんかね」


伊藤の言葉に襄は何も反論できなかった



全ての学校に与えられていたはずの徴兵免除は
官立学校の大きな特典として残った



その日の新島家の食卓で襄は不機嫌そうに食事をしていた


「今日は天気がいいのに雷が落ちそうですね
襄は「女今川」を読んだ事がありますか?」


「「女今川」・・・そんなばかな本は読みません」


「子どもの頃に手習いで教わったけんじょ少しはいい事も書いてありますよ
「己の不機嫌に任せて怒りをうつすは 無礼の事なり」」


「・・・すいません
いらいらしていて・・・」


「うちの中に雷が落ちんのは構わねえ
んだけんじょ怒りながら食べたら体に毒だ
嫌な事があったなら話してくなんしょ」


「学生が退学届を持ってきました
官立学校に転校したいと
私立だけが徴兵猶予の特典を失ったからですか?
政府のやる事は勝手すぎる

急がなくては私たちの同志社が潰れてしまう」


そして同志社のため奔走していた襄も徐々に体調を崩していた





大学設立に向けて学生を集めたい時なのに
去年の暮れからもう10人が辞めていた


その事で八重と覚馬と話していた

「大学を作るにはまず金が要る
賛同者を大勢集めねえとな」

「資金を集めるためにアメリカに行くと言ってるけんじょ
私は襄の体が心配で・・・」


そこに時栄がやってきた

「旦那様
お約束のお客様どす」


「覚馬さん!」


覚馬にとっては聞き覚えのある声だった


「広沢さんか!」


「はい!
お久しゅうございます!」


「これは・・・あなたは?」



「妹の八重にございます」


「公用方の頃から話は聞いております」


広沢はあれから牧場を経営し
困窮する会津藩士の職業斡旋に尽力していた


「今日は会津から若いのを連れてまいりやした」


「青木栄二郎です
お目にかがれて光栄です
私の遠縁でよくできる男です
今は牧場で手伝いをしております」

「青森で大きな牧場を作ったそうだな」

「今年で12年
ようやく形になってまいりやした
広沢さんの牧場で暮らしが立った会津人が大勢いると聞いてる
大したもんだ」


「いいえ
世の中のために何かしたい
そうしなければ死んでいった者たちに叱られてしまいます
これ食べてくなんしょ
広沢牧場の自慢の品です

覚馬さん
青木の事で相談があります
いずれは牧場の運営を任せます
そのために新しい学問を学ばせたい

しかし青森ではながなが・・・

書生としてこちらに置いで頂けねえでしょうか?
下働きでも何でも致します」

「先生お願いします!」

「いや・・・こんなうちだ
満足な世話はできねえ
それに俺の学問もだいぶ古びてきた・・・」


「駄目ですか?」


「んだら同志社に入るのはどうです?」


そこに八重が割って入った


「同志社
それはいい話だが・・・
今から入ってついていけっかなし?」

「さすけねえ
兄様の手ほどきを受ければすぐに追いつけます

襄には私から頼んでみっから」


「分がった
うちで引き受けよう」


「よろしくお願いします!よがったな!」


覚馬は青木を山本宅に住み込ませ
その世話を妻・時栄に任せた



それからまもなくして襄が欧州に向かう日がやってきた

大学設立のための資金を得るのが目的である

「心臓の薬のみ忘れないようにしてくなんしょ」


「はい
気を付けます」

「塗り薬は 持ちましたか?」

「今!
今入れました
はい」


「旅先から手紙送って下さいね」


「行くさきざきから送ります」

「長い手紙は要りません
手紙を書ぐのに徹夜なんかしたらよぐねえがら
葉書に「当方無事」と一言 書いてくれれば」


「では一言だけにしましょう」

「もう二言三言書いてくれてもいいげんじょ」

「はい」

「あっそれがら・・・
あ〜!
やっぱり 私も行きます」

「渡航手続きはどうするんですか?」

「なんとか手配して後から追っていきます
私が見張ってないと襄は無理ばっかりすっから」


「それは困る
せっかく厳しい番人の目を逃れ羽を伸ばすつもりが・・・」


「襄!」


そう言って襄はちょっとおどけてみせた


「心配いりませんよ
イタリア
スイスと回ってもう一つのふるさとアメリカに行くんです
日本でくよくよしているよりよほど健康にもいい
八重さん
留守を預けられるのはあなたしかいません
英学校の方は覚馬さんと市原さんにお願いしましたが
女学校はあなたに目を配ってもらわないと」


「はい」


「父と母を頼みます」


「はい」


「毎日あなたの幸せを祈ります」


そこに襄の両親がちょっと心配そうな表情を浮かべてやってきた

「あ・・・梅干しとお茶持っておいき」


「わしらもその何だ・・・異人のように
ノックをする癖をつけなければいかんな
ハッハッハ・・・それじゃあ達者でな」


「はい」


明治17年4月大学設立の資金集めのために
襄は神戸から船に乗り欧州を回る旅へと向かっていった



同志社英学校では彰栄館がもうじき出来上がろうとしていた


青木はそれを見て異国のようだと感じていた


学内を青木に案内する八重

「まだ普通科と神学科しかねえけんじょ
同志社の学生は優秀ですよ

東京大学にだって引けは取らねえ」


「おい
まだそこまではいってねえ」

「襄が目指していんのは
東の東大
西の同志社と言われるぐらいの大学ですから
会津の名に恥じないようにしっかりやってくなんしょ」

そこに同志社英学校の教師・市原がやってきた


覚馬は市原に
青木を新入生として紹介し
転校騒ぎについて聞いてみた


市原曰く
ようやく落ち着いてきたが16名が学校を辞めたとの事であった



「襄の留守中にもう学生を減らしたくない
なんとか食い止めましょう」


「八重先生!」


その時
八重は女学校の方から呼ばれた


女学校の生徒達が舎監室に立て篭もりをしたというのだ


八重は生徒達にそういう行動に至った経緯をうかがったところ
女子生徒達は男子学校と同じように学びたいのに
女学校の先生はそれを許してくれないとの事であった

何度許可願を描いたものの結局難癖をつけて認めてくれないとの事であった


八重は早速教師達になんでも禁じていてはいけないと忠告したが
教師達は耳を貸す様子はなかった



それから数日後
襄の父・民治が息子から妙なはがきが届いたと八重に言って来た



「先に届いた手紙は早合点した者が誤って送った
さぞ驚いたろうが心配はいらない
当方無事」


「これ何の事だべ?」


「先の手紙・・・悪い知らせでも届いてたのか?」


「いいえ
でも襄に何かあったんだ・・・」



それからすぐ民治は異人からの手紙が届いたと声を荒らげた

もしかしたら息子の事が書いてあるのではないかと



八重はその手紙を読んだ





「お父様・・・


これ… ・・・遺書だ
襄の字です


この日付・・・8月6日だ」

覚馬はさっきの葉書の日付を八重に聞いた



「8月9日です」


「よし
新島さんは無事だ
事情は分かんねえが送るはずのねえ遺書が手違いで送られ
慌てて書いた無事を知らせる葉書が先に着いちまったんだろう」


「そうか
よかった

でもなじょして遺書なんか・・・」


八重はその手紙を読み上げた

「「これを読む人は我が愛する祖国のためにどうか祈って下さい

主の大いなる愛が日本を包み我が同志社にも
救いの手を差し伸べて下さるように

私の髪を 一房 切り取り日本で待つ妻に届けてほしい」

「神の名の下に結ばれた私の愛する妻に。2人の絆の証しとして」


・・・この遺書は本物だ

命を削って襄は戦ってる

難しい戦いだ
政府も世間も
時には身内の宣教師も敵に回る
世界中が敵でも構わねえ
私は一緒に戦う

襄のライフは私のライフだ」



八重の下に手紙が届いたその頃
襄は一命をとりとめていた



「私はまだ生かされている
やらねば」



その後
女学校では女学校の生徒達が勉強のため
男子校に見学にいったところ
先生の言いつけに背いたとして謹慎処分となっていた

八重は男子校の先生の許可を得ていたと教師達に言ったが
今度は学校の運営に口をだすのかと八重を咎めた

そもそもこの学校はアメリカン・ボードが作り
その運営資金を出しているのである

これ以上口をだすのであれば
アメリカン・ボードはこの学校運営から手を引くと


それはこの学校の教師がいなくなってしまう事を意味していた


その教師達の言葉は八重には脅迫であると感じた

教師達を睨みつける八重




「待ってくなんしょ

すまねえなし
生徒に間違いがあったならそれは
舎監の私の落ち度だ
娘たちから学問の場を奪わねえでくなんしょ

私が舎監を辞めっから。
どうかそれで収めてくなんしょ」


こうして佐久が舎監を辞めることで事態は一応の収束をみた




「なにもおっ母様が辞める事はねえのに」


「私も年だ
そろそろお役御免にしてもらわねえと」


「んだけんじょ
襄の留守に・・・」

「留守だからこそもめ事を起こしてはなんねえ
八重は強く言い過ぎる
今宣教師たちが引き揚げたら困んのはこっちだべ


一歩引いても学校守んのが八重の務めだ」


こうして襄の留守を守ろうと奔走する八重であったが
だが更なる嵐が山本家を待ち構えている事を八重達は知る由もなかった――――――





私立学校の存続のためには
大学設立のための資金確保のために奔走せざるをえない


そういう日本の状況が襄の命を縮めた

と考えられなくもないですかね


けれども襄は己の命を危険にさらす事も厭わなかった


これはこの先の日本にとって必要だと思っているから


だからこそ
襄の大学設立の夢に
八重も襄を献身的に支えていったのでしょうね

それがわかっているから覚馬も佐久も八重を支えていったのでしょうね


一方覚馬の妻・時栄はこれまでと同じように
覚馬を支えているものの

時栄の娘・久栄は不満をもっていた

母がしているのは覚馬の身の回りの事で
いつも頑張っているのに

その頑張りがこの家では認められていない気がしていて


母はそんな事を口にしないけれど


そんな時にやってきた青森の書生・青木

彼は青森では優秀ともてはやされたが
京都にきて自分の学力では立ち行かない事に挫折を感じていた


時栄は青木の世話をすることになったのですが
そんな青木の置かれた状況に

彼の愚痴を親身になって聞いてあげるうちに
その二人の距離が・・・


みたいな感じになってしまった

みたいなところでしょうか


その事が山本家のみならず
学校にも大きな影響を及ぼす事になりそうです



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タイトル (本文) ブログ名/日時
【八重の桜】第44回 「襄の遺言」感想
襄(オダギリジョー)は、同志社英学校を大学にする資金繰りのため、八重(綾瀬はるか) が心配するなか、欧米に旅立った。 留守を任された八重だが、女学校の運営方針をめぐって米国人宣教師たちと口論となり、 険悪な状態に。 すると、そこへスイスの襄から遺書が届く。 ...続きを見る
ドラマ@見取り八段・実0段
2013/11/04 12:52

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ikasama4様、こんにちは。

広沢牧場創業者と・・・大日本帝国の創始者の
二枚看板、トレビアンでございますねえ。

まあ・・・「平家物語」だってフィクションなので
徳富文学のネタをそのままいただきでも
目くじらを立てるに及ばず・・・とも申せますが
「出来事」そのものが創作ではないのかという虚構を
そのままやっちゃうとなると・・・
ものすごく理不尽なものを感じますな。
もちろん・・・もっと描くべきことが
あるのじゃないか・・・という不満もありますが・・・。
それから劇的手法というものの・・・
意味ない時系列の変更もなんだか・・・いただけない気がいたします。
朝ドラに続いて昼メロに移行する大河ドラマ。
まあ・・・本当に面白ければいいのですけどねえ。
しかし・・・年齢不詳の登場人物乱立の中・・・
さりげなく年増の感じを醸しだした
谷村美月の時榮は素晴らしかったのでございます。

キッド
2013/11/05 16:48
キッド様
こんにちはです

真田信繁という人物をモデルにして
真田幸村という人物の物語をつくったら

いつのまにか真田幸村が表舞台に出てしまい
真田信繁としての活躍が消えてしまう

そんな事が
この作品でも繰り返されようとしてる訳ですな

ただ今回の場合は
どうも徳富さんに思い入れがあるんじゃないかと
思ってしまうくらいの感じがしてきますかね

物語がマイナーなだけに
こういう大河という舞台での作品だと
真実だと思われてしまう

まぁ人が歴史を描く限り

歴史に自分の感情が混ざり
どうも自分の主観というものが出てしまう

それはそれで面白いものですけどね ̄∇ ̄

それにつけても谷村さんは本当に
ベテラン女優の貫禄が出ておりますなぁ
ikasama4
2013/12/30 13:15

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八重の桜 第44話 「襄の遺言」 渡る世間は愚痴ばかり/BIGLOBEウェブリブログ
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